~クラフトを頑張ってみましょう~
~クラフトを頑張ってみましょう~
このイージェ村はアネモネ時代とかなり違う所がある。一番は面積だ。今はかなり狭いのだ。田畑と家屋が混在しているのは変わらないのだが、もっと面積を広げる必要があるが、そのためには森を切り開く必要がある。
森にはモンスターも居れば猪や鹿などの害獣もいる。
それに、面積を広げたとしても、モンスターを撃退するための城壁もない。
今はは尖らせた丸太を一定間隔に突き刺し、丸太と丸太の間をツタやツルでしばっているだけだ。防衛にもならない。モンスターが突進してきたら一瞬で崩壊してしまう。
まずは、この防衛ラインをどうにかしたいな。
「ミューズ。木を切って村の境界となっている防衛をしっかりしたものにしたいのですけれど手伝ってもらえますか?また、今の境界を広げたいのです」
私はそう提案した。
「境界を広げると言ってもどうされるおつもりですか?」
「もちろん、焼くのよ」
「はい?」
ミューズは変な声を出した。私が魔力暴走をさせたのではないと知ってはいるが、魔力がかなりあることも知っている。だから止めようとしているのだ。
村のはずれにある木々が生えている場所にやってきた。
「大丈夫です。見ていてください」
私はそう言ってファイアーボールを4発撃ちこんで森を焼き払った。
元々イージェ村には焼畑農業と呼ばれる農法があるのだ。それをアネモネ時代に見て来たし、手伝いもしたことがある。
ただ、ちょっと火が思った以上に強かったみたいで、その後にクリエイトウォーターで火を一気に消したけれどね。
焦った、焦った。だって、あんなに燃え広がるとは思っていなかったんだもの。それに高温で一気に焼き払ったので木はもうボロボロになっていた。
「この燃えた灰を土に混ぜ肥料とすることで田畑となります」
まあ、当初の3倍くらいの場所が燃え尽きたけれど問題ないよね。
「問題だらけです。領民が怖がっています」
振り返ると領民が私を怖がって距離を取っていた。困ったことだ。怖くないよ、怖くないよ。むちゃくちゃ笑顔を振りまいたのに、みんな叫んで逃げて行った。
解せぬ。まるでこれだと悪辣女王みたいじゃない。あ、そうだったわ。
森の一角を焼いた後はその付近は農地として受け入れられたけれど境目をどうするのかという話しになった。
木を切り倒して突き刺す作業は村の力自慢の男性にお願いした。お礼はクリエイトブレッドでつくったパン3日分だ。
そういうと結構な人数の男性が協力してくれた。
こういう力仕事は男性向きだ。だが、パンを食べたいと言って来た人は多かった。そのため、孤児院でやっていた作業をお願いすることにした。
孤児院は村の一つの作業を請け負っていたのだ。それはレンガ造りだ。
レンガといっても、日干しレンガだ。窯で焼くとなると窯も木材も必要だ。
森に木はいっぱいあっても生木は燃えない。乾燥させないといけないからだ。今回は古木をつかってレンガの枠を作ってもらった。
次に粘り気のある土と砂だ。これは山間の中でそういう土や砂が手に入るところがあるので、そこまでの道を作ったのだ。
ええ、もちろんファイアーボールで焼きはらいながら道を作りました。また、一部の領民から引かれました。
いいかげんなれてよね。
というわけで、レンガ作りも行いましょうって言ったけれど、なぜかこの村の人はレンガの作り方を知らなかった。
おかしいな?誰かがレンガ作りを孤児院に教えたから広まったのに。
というわけで、実演してみました。
粘り気のある土や砂などを水に混ぜ込み粘土状にしてから、さっき古木で作った型に流し込みました。そして、そのまま日干しを行う。
この粘土状のものが乾いたら日干しレンガの完成でね。今は日干しをしているレンガを大量に作ってもらっているところだ。
「そのレンガってお嬢様の火魔法で乾燥させたらすぐにできるんじゃないですか?」
ミューズがそう言って来た。
焼成レンガは乾燥させた後に高温で焼かないといけないのだ。私のファイアーボールは攻撃魔法だからな。
うまくいかないんだよな。そう言うとミューズが「クリエイトファイアー」という魔法を教えてくれた。
これは調理する際に火種を作るだけの魔法なのだという。初歩の魔法ということで教えてくれた。
ってか、この魔法があれば焼畑農業はもっと楽だったじゃない。もっと早く教えてよ。
そんなこんなで気が付いたら3年も経ってしまった。
イージェの村は私が知っている時以上に発展し、残りの二つの村も廃村になることなく発展を遂げて行った。
私は8歳になった。
このカージェスの村一つを焼き尽くしたと言われる時が近づいてくる。
私はそんな出来事が起きることはないと思っていた。だが、私は知らなかったのだ。
このカージェス領に私がどうしても踏み入れることできない場所があることを。その隠れた村のことを知ったのも8歳になった時だ。そうあの事件が起きて知ったのだ。




