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~視察団を受け入れましょう~

~視察団を受け入れましょう~


 視察団がやってくる。


 といっても、ヒポポリ草を育てている場所の確認とその焼却がメインだ。


 ヴォンド・イェーガーは死亡したが、領主館に居た者たちは全て捕縛済みである。


 ただし、捕縛したものは下っ端。情報なんてほとんど持っていなかった。


 つまり、今回のヒポポリ草を『誰が』、『どのように』指示をしたのかはわからないのだ。


 だって、ヴォンド・イェーガーは小物っぽかったですものね。彼が全ての絵をかいていたとは思えません。


 ただ、唯一の手掛かりは聖ブブロ王国に販売していた形跡があること。つまり他国ではあるが、そこに手掛かりがあるのだ。


 ヒポポリ草は禁制の商品だ。その商品を購入しているということは相手もまともではない。だが、そう簡単に他国に侵入もできないのだ。


 特に『聖ブブロ王国』は他国民の受け入れについては厳しいのだ。聖ブブロ王国は聖魔法のメッカ。つまり回復魔法ができるものが多い。だからこそ、その恩恵を受けたいものが多く居るが、その回復という『奇跡』は安売りされることはない。


 簡単に傷や病気ならば教会で治せるが、欠損した部位の復元や不治の病とも言われる病気の回復などは『聖ブブロ王国』の聖都でしか治せないらしいのだ。


 くわしくはしらないけれど、奇跡を安売りしないのは正しいことみたいですものね。


 ヒポポリ草の関係者と思われるものは全て一つに捕えており、私は視察団を待つだけでした。


 何事もなく平和に終わればいい。そう思っていました。


 ええ、視察団を迎えるまでは。




「疑わしきものは罰せればよいではないかぁ?すべて抹殺だねぇ。こんな村なくなっても誰も困らないし」


 使節団を取りまとめているのはオーガストという背も低く、モップを被ったような茶髪の髪をした目つきの悪い男性だ。


 背が引くと言っても5歳児の私よりは高い。だが、普通の成人男性としたらかなり低い方だろう。


 それなのに、自分を大きく見せるためなのか大股開きで、背をそりかえしながら歩いている。正直に言うとかっこ悪いとしか思えない。


 ミューズと話した結果、私は椅子に座り、ただ眺めているだけで何も口を出さない様にと言われている。


「オーガスト様。流石にそれは横暴です。それに、今回の件は我が国だけの問題ではありませんぞ」


 ミューズがオーガストの相手をしている。侍女はラナさんに対応してもらっている。


「地方に飛ばされた出来損ないが何か言っているようですねぇ。でも、残念でしたぁ。僕はね、視察に来ただけであって、解決に来たわけじゃありませ~ん。視察して、問題を見つけ、潰してくるぅ。それだけが僕の仕事なんですよぉ。僕が問題と思った所をつぶしておしまい。後のことは残されたものたちが頑張ればいいんだよぉ。僕にとっては関係ないことだしねぇ」


 こいつは最悪だが、ミューズからは私が介入しやすいように煽ってくると聞いていた。また、そういう人選でもあると教わっている。


 本当に最悪だ。だが、ミューズから事前に聞いていなかったら絶対に介入をしていただろうな。


 私はとりあえず、目の前にあるスコーンを手に取った。うん、はちみつがしみていておいしい。


「それは、私どもで『聖ブブロ王国』と交渉してよいという事でしょうか?」


「さあ?知らね。そういうのは本国の担当に聞けばいいんじゃないかなぁ。僕には関係なし。あ、そうそう。捕縛したやつらって尋問したのぅ?ちゃんとしたぁ?五体満足のままとかありえないよねぇ?」


 なんだろう。このオーガストという男の話し方を聞いてくると耳をかきむしりたくなる。


「人道的な尋問をしましたので」


「ぬるいなぁ。僕が直々に確認してきてあげるぅ。いっぱいいるんでしょ?なら少しくらいきつめにしたって大丈夫だよねぇ?」


 え?ちょっと待って。それってどういう事よ。


 つい反応しそうになった。ミューズが私を見つめてくる。まあ、無関係なものを尋問するわけじゃない。仕方がないことなんだ。


 自分にそう言い聞かせた。



 数時間後。


 捕縛していた者のうち3名が死亡。残っているものも、欠損だらけとなっていたと教わった。


「ふ~ん、新しい情報はなかったねぇ。それで、ヒポポリ草がある場所はもう焼き払ったのかしらねぇ。そこに焼くことだけは得意な子もいるからさぁ」


 そう言ってオーガストは私を煽ってきた。それもわかりやすく。あ、でもわたしってわがまま女王なんだよね。


「お前を焼けばいいのか?」


 そう言って手にファイアーボールを出現させる。しかも大きさは私くらいの大きさのを。うん、あつすぎる。これ失敗した。


「ま、待て。焼くのは俺じゃない。ってか、こんな村の中で何を考えている。おい、お前ら、なんとかしろ!」


 あら、いつものねっとりした話し方じゃなくなって早めに話せているじゃない。


「こんなのちょっとしたおふざけじゃないですか?うふふ」


 そう言って魔力を霧散させてファイアーボールを消し去る。


「でも、別に視察団なんて誰でもよいのでしょ?ならばあなたが燃え尽きても問題ないのでは?他にも視察団の方はいますし?あなたが先ほどしたことと何が違うのかしら?そうおっしゃっていたではありませんか」


 きょとん顔をしてオーガストを見てあげた。手にもう一度ファイアーボールを出現させる。それも先ほどよりも大き目のものを。


「ち、違う。全然違う。待て、待て。誰か、止めろ、止めろって言ってるだろうが!」


 仕方がない。おどすのはこれくらいにしておくか。ファイアーボールを消し去る。


「まあ、慌てられておかわいいこと。まあ、何もない領ですが楽しんでいってください」


 そう言って私は離れた。



 後でミューズから怒られた。むっちゃミューズも笑っていたのに解せぬ。


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