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~リーリカについて説明しましょう~

~リーリカについて説明しましょう~


 領主館を掃除しながらラナさんは厨房、オリビアは侍女、ジェムスは門番と役割を決めたのだ。


 この3人の中でまずトラブルを巻き起こしそうなのはオリビアだ。


 彼女は侍女として私の側に仕えてもらい、できるだけ監視をしようと思ったのだ。だが、私のそんな思いはミューズのこの言葉ですべてぶっ壊れた。


「領主館も修繕できましたので、お嬢様に確認したいことがあります。少し席を外してください」


 侍女とそばにいるオリビアは楽しそうな顔をして離れて行った。ちなみにラナさんは厨房で食事の下ごしらえでそばにはおらず、ジェムスは無愛想に門番として丸盾を手にもち旗のついた槍を持って待機してもらっている。


 まあ、この領主館に来客がすぐあるとも思えないけれどね。というわけでオリビアが去ってからしばらくしてミューズの顔つきが変わった。


「それで、そのお嬢様の影に潜んでいるものについて教えてもらえませんか?」


 すでに影にリーリカが潜んでいることがばれているし。まじですか?


 ミューズの目がマジで怖いんですけれど。いつも無表情なミューズだけれど、眼光がヤバい。これって、獲物を狙う目ですよね。捕食されそう。


「・・・あの、公言しないでもらえますか?色々と問題がありますので」

「それは内容によります。言わないのなら実力行使に出ます」


 ヤバい。これは本当にヤバい。そんな雰囲気しかしない。


「・・・わかりました。私には一人だけ信用できる従者がいます。リーリカ出てきて」


 そう言って私は地面を2回蹴った。影から褐色の肌、灰色の髪、血のような真っ赤な瞳のリーリカが出てきた。


「オジョウサマ、ヨロシカッタ?」


 リーリカがそう聞いてきた。


「ええ、誤魔化せないもの。それに、リーリカについて隠し通せるとも思えないし」


 リーリカはメイド服を着ている。それもオリビアもメイド服を着ているが、確実にリーリカの方が高級そうなのだ。


 というか、こんなに黒光りするメイド服を着ていたかしら?


「リーリカ、自己紹介しなさい」


「カシコマリ、マシタ。ワタシハ、リーリカ。エリザベート、オジョウサマ、ノ、チュウシン。ヨロシク」


 リーリカはしゃべるとたどたどしい。けれど、動きはスムーズだ。私の挨拶を真似したのかきれいなカテーシをしている。うん、どこかの令嬢みたいだ。


「え?その、あなた。人間よね?どうして影から出てきたの?」


 リーリカはリビングデッドだ。動く死体。意思のある死体だ。だが、魔力で腐ることはない。食事も睡眠も不要。


 ただし、日光を浴び続けると弱るし、聖水とか聖魔法に弱い。色々と制限があるのだ。


「カゲ、ワタレル。ソウイウ、マホウ、アル」


 リーリカは嘘を言っていない。『影渡り』という魔法は存在するからね。


「あなたはいつからお嬢様の側にいるの?」


 ミューズは質問ラッシュだな。


「エリザベート、オジョウサマ、リキュウ、イタトキ、カラ」


 これも間違いじゃない。


「本当よ。リーリカのおかげで私はあの離宮の火事から逃げることができたから。リーリカがいなかったら私は死んでいたわ」


 これもまた本当のことだ。


「そうなのね。それでどうして普段は影に潜んでいるのかしら?」


「私を守ってもらうためよ。リーリカは信用できるわ。私にはリーリカしか信用できるものはいない。ミューズ。あなただって、父上の部下であって、私の部下ではないわ」


 そう、私はどこか父上を信じきれていない。私を見る目が笑っていないことがあるからだ。特に女神の祝福の儀を受けてから。


「それは・・・」


「それにミューズ。あなたは護衛でもあるけれど、監視役でもありますよね。確かにオーゴと二人で助けてはくれましたが、あんな敵がいるとわかったけれど、オーゴの代わりは補充されるのでしょうか?」


 ミューズはここ数日何回も伝書鳩をつかって王都と連絡を取っているのを知っている。そのたびに大きなため息をついている。


「私は大事にされていないのですね?」


「それは違います!違うのです!」


 あれ?この反応だけは思っていたのと違った。


「国王は色々な思いがあって私たちを派遣しました。けれど、これまでの間お嬢様が不信に思う事はなかったかと思います」


「では、聞きます。どうして私も警戒対象なのでしょうか?警護とは違った雰囲気を感じますわ」


 革命軍に参加していたからこそわかる。夜襲や伏兵などが居る時のあのピリピリ感がミューズとオーゴからすごく感じていたのだ。


「・・・まさか5歳のお嬢様からそんな風に言われるとは思っていませんでした。確かに私たちは国王から護衛と監視の任を受けております。それは、お嬢様が普通ではないと報告を受けていたからです。報告を受けた時は半信半疑でした。けれど、確信しました。あなたは普通の5歳児ではないですね。麒麟児だったのですね」


 きりんじ?


 何それ?一瞬5歳の私がやりすぎて転生したことがばれたのかと思いました。


 きりんって確か首が長い動物ですよね。物語りで見たことがありますわ。


「それにご自身で護衛を探し従えているとは、感服しました」


 はい?なんだかミューズが誤解してくれているみたいですけれど。


「ただ、優秀すぎ、イレスティア王国に害をなす存在ならば抹殺も視野に入れろと命じられております」


 その瞬間リーリカが動いた。影をつたいミューズの背後に移動する。リーリカの手にはいつの間にか短剣が握られていた。


「本当に忠臣なのね。正直、今の状況を報告すると抹殺という結果になるかもしれない。だから言うわ。しばらくはおとなしくしておいてほしいの。目をつけられない様に」


「それはできないわ。だって、私にはやらないといけないことがあるから!それに『ヒポポリ草』についても調査が必要だもの」


 本当は『悪辣女王』が8歳の時に一つの集落を燃やし尽くす理由も調査したい。


「そう、その『ヒポポリ草』については中央が動くの。おそらく視察団がくる。悪いけれど、その視察団が来るまではおとなしくしておいてほし良い。そうでなければ本当に私はお嬢様を手にかけないといけないのだから」


 ああ、ようやくわかった。ミューズは父上からの命令でも私に手をかけたくないのだろう。


「わかりましたわ。しばらくおとなしくしておきます。リーリカについても視察団が来ている時は影に潜み外に出ないようにいたします」


 そう、これで話しは終わったかと思っていたのだ。だが、ラナさんが慌てて部屋に入ってきたのだ。


「お嬢様。お話し中申し訳ございません。門前に女性が集まり『オリビアを出せ!』と騒いでいます」


 ああ、そう言えばオリビアの件があった。まだひと波乱起きそうだ。けれど、視察団が来る前で良かったと思っておこう。


 ミューズを見ると頭を抱えていた。いや別に私が原因のトラブルじゃないからね。


「変なものを引きいれたからですよ」


 そう言われてしまった。だって、あの時は一人だけ受け入れませんって言いにくかったんですもの。


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