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~代官を問い詰めましょう~

~代官を問い詰めましょう~


 扉を破壊して外に出た。ピンポイントで鍵を壊したので大きな音もしなかった。


 リーリカに周辺を探索してもらったら、この奥の執務室でヴォンドが仕事をしているのがわかった。


 私を守るように戦闘をオーゴが進み真ん中に私、後ろはミューズという編成で移動している。執務室に行く前に他の部屋も確認しながら進んでいる。


 今いる場所はヴォンドのほかに荒くれ者達がいたのだが、リーリカにすべて気絶させてもらっておいた。


 ってか、生きているよね?加減しなくていいとは言ったけれど。まあ、多分大丈夫だと信じておこう。


 ヴォンドについては荒くれ者達がいると信じているからか油断をしている。


 オーゴが扉を開けてヴォンドに向かって剣を向ける。


「おやおや、代官に意味もなく剣を向けるとはとんだ野蛮人ですね?」


 多分、荒くれ者が助けに来ると思って落ち着いているんでしょうね。あ、天井にも隠れている人がいたんですね。


 リーリカが倒してくれたみたいです。グッジョブ。リーリカ。影が少しだけ揺らいで合図してくれた。


 ってか、リーリカが居れば大抵のことは解決できるんじゃないかと思ってきた。そう思うのはまずいかしら?


「資料は確認いたしました。この資料は何ですか?」


 そう資料の中にまずいものがあった。『魔薬』を製造するための材料の一つ『ヒポポリ草』をこのカージェスのはずれで育てているのだ。


 その『ヒポポリ草』は聖ブブロ王国に売られているのだ。これは外交問題になる。


 いや、思い出した。アネモネの時はイレスティア王国と聖ブブロ王国の関係は悪かった。他の国ならば神殿勢力は所属する国に配慮をするが、イレスティア王国内の神殿はずっと中立をかたくなに維持していたし、イレスティア王国で内乱が起きた時は、イレスティア王国との国境にある城塞都市の門は開けられることはなかったのだ。


 戦乱を逃げるために聖ブブロ王国に落ち延びようとしたものたちは閉ざされた門の前で嘆いたという。


 飢えて苦しんでいるものたちがその城門前で死亡していくのを、ただ燃やすだけしかしなかったのだ。


 中には生きていたものもいたのではと言われていた。どこかで聖ブブロ王国の反感を買ったのかと思っていたが、もしかしたらこの『ヒポポリ草』を販売していたことが原因なのかもしれない。


「それはこのカージェス領の売上の大半を占めている商品ですね。それが何か?」


「これが何か知らないとでもいうのか?『ヒポポリ草』を栽培することは国際法上の大罪だ。しかもそれを他国に売りさばいているとなると国際問題になるぞ!」


 オーゴが怒りながら机を叩く。


「それがなんだ?法をただただ守っていたとしても飢えは解決しない。この地は不毛なのだ。土地は痩せていて、小麦は育ちにくい。森に入れば強いモンスターがいる。いつだって死と隣り合わせだ。知っているか?その『ヒポポリ草』があればモンスターは近づいてこないんだぞ」


 それはそうだ。モンスターは自分たちに危険なものだとわかっているから『ヒポポリ草』を食べることはないし、その独特の甘い匂いがすると本能的に逃げるのだ。


 そのため、魔物避けとして昔は使われていたこともある。だが、害悪の方が多い。


「言う事はそれだけか?イェーガー卿。あなたは等しく罰を受けるべきだ」

「ほう、それができますかな。お前たち出て来るがいい!」


 ヴォンドがそう叫んだが、当たり前だが敵は全てリーリカが無力化してくれている。あ、少し離れた所にある詰所からも人が出てくるみたいだ。


 けれど、残念。リーリカが一人ずつ股間を攻撃して無力化している。男性って下から股間を付き上げられたら動けなくなるのよね。ご愁傷様です。その痛みはわからないけれど、口から泡を吹いているのを見ているとその辛さがわかる。


「おい、おい、お前ら、なんで来ないんだ!」


 ミューズは背後を気にしているがそこからは誰も来ませんよ。だって、すでに敵はリーリカが倒しきってくれているからね。


「この『ヒポポリ草』について『誰』の提案ですか?まさかイェーガー卿の独断ではないでしょう?話した方が楽になりますよ?」


 オーゴがそう言って剣をヴォンドの右手に突き刺した。


「痛い、痛い、やめろ。こんなことしていいと思っているのか?この俺様に何かあったらどうなると思っている?俺様には『あのお方』が付いているのだぞ!」


 あれ?そう言ったヴォンドの様子がおかしくなった。


「そうだ、あのお方が、お方が、お方、お方、お方、お方、お方、お方、」


 なんか壊れだした。体もプルプル震えているし、目も大きく見開いている。後ろからミューズが私を抱き寄せてきた。


「あれは危険です。離れましょう」


 そうだろうね。ってか、あれは何だ?まるで『魔薬』の末期症状のようではないか?


 ヴォンドの筋肉が膨張しだし、服を破き肥大化していく。


「まさか、魔薬をつかっていたとでもいうのか!」


 オーゴがそう言って距離を取る。だが、不自然過ぎる。何かがおかしい。まるで、大量に『魔薬』を摂取した中毒症状にも見える。


 この状態だと皮膚もかなり厚くなり剣戟などの攻撃は受け付けなくなる。力技で倒すのは困難だ。だけれど、私には倒す術がある。


「ミューズ。大丈夫です。『クリエイトウォーター』」


 私は1メートルくらいの水球を発生させ、ヴォンドの顔にぶつけた。これが攻撃魔法のウォーターボールならぶつかった衝撃で消滅するが、クリエイトウォーターは水を生み出す魔法だ。


 そのままその水球はヴォンドの顔の近くでとどまっている。


 私が狙っているのは溺死もしくは酸欠だ。ただ、これだと今回の『ヒポポリ草』を育てていたことの背景を知ることはできない。


 ん?本当にそうだろうか?


 だって、こんな大がかりなことをヴォンド一人で行っていたとは思えない。


 私は地面を2回叩き、リーリカにこう命じた。



 この村から逃げようとしているものが居たら意識を奪っておいてほしい。



 ヴォンドは暴れているが、水球をどうにかできないことに気が付いたみたいだ。


 私を狙おうとしてきたが、ミューズが私を小脇に抱えて逃げてくれている。


 小脇って私は荷物扱いだよね。まあ、小さいから肉弾戦では何の役にも立ちませんけどね。ふん。そのうち大きくなるんだから。


 オーゴは距離を取りながらヴォンドに斬りかかっているみたいだけれど、硬い皮膚ですべて防がれている。


 まあ、ここからは時間の問題だろうな。でも結構ヴォンド頑張るな。あ、そうか。


 私は魔力を流してヴォンドの顔周りの水を黒色にしていった。


 これで、視覚も奪えただろう。



 距離を取り、あばれるヴォンドを遠巻きから監視するだけ。10分経過したら動かなくなった。ただ、胸は上下に動いているからまだ生きているのはわかるけど、こうなったヴォンドには理性なんか残っていないだろうな。


 そう思っていたら更にヴォンドの体が更に大きくなってきた。


 爆発しそう。そう思ったら地面に吸い込まれるように消えて行った。


 影魔法?リーリカが行ったの?


 地面を2回蹴ってリーリカを呼んだらどうやら影の中で戦っているみたいだった。


 影渡りを使えるもの。そう言えば他にもいたのを思い出した。


 ただ、それは味方だったはず。


 ラース帝国の魔法師団長と呼ばれていた男だ。だが、会ったことはない。


 一兵士が会えるような相手ではなかったからだ。


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