~リフォームしましょう~
~リフォームしましょう~
降り立った場所はイース帝国の最南端の防衛都市「イシュクール」の更に衛兵の詰所前というとんでもないところだった。
私一人だけなら魔力を暴走させて周囲を爆発させてもよかったんだけれどミューズもいるし、それに関係ない人を巻き込むのは問題だものね。敵国でも倒すべきに民間人は含まないもの。というわけで、ここで暴れるのは違うと思ったので流れに任せようとしたのだ。
ミューズは剣と鎧を奪われているが、私は何もなくても魔法を使えるから武器と呼ばれるようなものは短剣くらいしか持っていない。それも別に無くなっても困るものではない。
衛兵は私たちの主張も確認せずに、地下牢のような不衛生な所に押しこめたのだ。うん、最低だ。
なので、クリエイトストーンで床と壁、天井を作り替えて押しこめられた場所をかなり快適な空間に作り替えてみました。
床については大理石使用にして、壁については黒曜石で統一をしてみた。天井は強化した不透明なガラスにした。
壁の上段にある小窓は形を変え、太陽光の入りをよくしたのでなかなかに部屋の中は明るいが、明るくなりすぎると遮光できるように開閉できる扉をつけてみた。
トイレにも衝立すらなかったので半地下にトイレを造り周囲に衝立も作った。後は鉄格子から直接見られるのもいやだったので手前に扉を一つ作ったのだ。これでプライバシーもばっちり保護されます。
「おいおい、お前一体何者だよ?」
斜め向かいに捕えられていた者がそう言って来た。ちなみに、私の向かいはミューズだったので私と同じように地下牢を造り直してあげたら喜んでくれた。
「え?あなたの所もリフォームした方がいいのかしら?」
「いやいや、そうじゃなくて。というか、俺の所もできるのか?」
のぞき窓から見ると若い人間だった。男性か女性かよくわからない中性的な人物だ。
「ねえ、あなたって男性なの?女性なの?どっち?」
気になったのでつい聞いてみた。
「はぁ?それって必要なことなのか?俺は女だ。まあ、こんな話し方だし、誤解されることは多いがな」
「誤解されるのなら話し方変えれば?」
誤解されるのが嫌なら変えればいいだけだ。
「まあ、癖みたいなもんさ。それに俺は図体もでかいし、顔つきもどちらかというと男性顔なんだ。だからさ、かわいいとか、おしとやかとかそういうのから程遠いんだ」
まあ、変わろうとしていない人を無理に変えることは誰にもできないものね。
「それで、あなたは何をして捕まっているのかしら?」
「いや、ちょっと俺を男と勘違いした領主の娘が、俺を気に入り、すり寄った後に女だと知ったら詐欺だとか、裏切られたとか言い出してきてな。それで捕まったってわけさ」
なんというかエリーゼのような感じなのかもしれない。危険人物か?そう思っていた。
「お嬢様。その女性は『魅了』のようなスキルはないかと思います。その女からは不快感しかありませんから」
うん、なんかよくわからないけれど、エリーゼのような脅威はないのだろう。
「それで、ここも快適にしてくれよ。いいだろう?」
なんだかこの話し方にいらっとしてきた。
「う~ん、なんか頼み方ってあると思うんだよね。なんだかいらっとしてきた」
そう思いながら、床を2回蹴ってみた。すぐにリーリカから連絡がきた。
「ブジデ、ヨカッタ」
「うん、大丈夫よ。あ、そうそう。ミューズの装備を回収しておいて」
ミューズの装備はそこまで高いものではない。けれど、剣はちょっとだけ特別性だ。私が魔力を練りに練ってクリエイトストーンで作り上げた剣だ。まあ、同じものを作ることも可能だけれど、結構時間がかかったからね。
「ねぇ~ちょっと。無視すんなよ。こっちも改善してくれよ。な?」
うん、断ろう。
「お断りします。上からそういう風に言われたら行おうと言う気がわきません」
「はぁ!なんだよそれ!お前は最低だな!期待だけ持たせてこのやろう!ふざけんな!」
ああ、正しい逆切れを見た気がした。あまりにうるさいのでリーリカに後頭部を殴らせて意識を奪っておいた。
「ナニカ、ニギリ、シメテ、タ」
リーリカが戻ってきた時にメモを見せてもらった。それはどこか外の地図のようだった。この場所に何があるのだろうか?
「リーリカ。この場所を確認してきてくれないかな?」
「リョウカイ」
リーリカが出かける間、優雅にお茶を飲んでいた。もちろん、クリエイトウォーターで紅茶をだし、椅子とテーブルも出したのだ。後、一人だとあれなので、ミューズの地下牢とくっつけてみた。
看守はしばらく私たちを衰弱させることが目的なのは放置してくれている。おかげで優雅にリーリカを待つことができた。けれど、リーリカからの報告で強引にここを出ようと思ったのだ。
「ジョセイ、ツカマッテイタ。テキ、タオシタ。カズ、オオイ。キュウシュツ、マダ」
「ミューズ。助けに行くよ!」
「はい、暴れていいんですよね!」
うん、それはどうかしら?




