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革命軍の一兵士だった私が悪辣女王に転生したんだけれど  作者: ミナセ。
(イレスティア王国編 そのに)
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~ダールトン辺境伯とお話ししましょう~

~ダールトン辺境伯とお話ししましょう~


 ダールトン辺境伯領に入った時に感じたイメージは、飾り気はないが高い城壁に堅牢な砦がある戦うための領地なのだということがわかった。


 衛兵の質も高く、また領内に入る際のチェックも細かいのにスピーディーだった。


 王都で話し合ったことについて情報は伝わっているようだった。できるだけ情報は秘匿していたけれど、王都からダールトン辺境伯までの間の貴族から情報が漏れたのだろう。


 まあ、防衛のために侵略戦争をしかけるのだものね。幸ちゃんが言うにはこうだった。


「防衛している所に、兵が集まるのはごちゃごちゃしている所に手を出すのと同じです。それに他国の防衛戦では参戦する貴族側にメリットが少ないです。今回は単に嫌がらせと近隣の村からの略奪と、イース帝国の国力低下が目的です。比較的安全な戦いかつメリットが多いので参戦する貴族は多いでしょう」


 ダールトン辺境伯以外の貴族は手柄が欲しい、ちょっとした金品や食糧、領民や兵士を奴隷として持ち返られるという期待から参戦しているのだ。


「まあ、すべての部隊がおいしい思いができるわけじゃないんですけれど、どこの貴族がどこに配置するのかでこちらは関係性を優位に出来るかと思います。そのあたりもムネリにはお願いしていますので」


 さらっと恐ろしいことをさっちゃんは言った。


 略奪班とそれ以外にどう分けるのか、その判断は全体の指揮を執る私たちが決めるのだ。


 その指揮をダールトン辺境伯と一緒に取る予定だったのだ。どうして一緒の指揮を考えていたのかと言うと、ダールトン辺境伯がイース帝国と内通している可能性も考えていたからだ。



 ダールトン辺境伯との面会をした時に思った。アネモネ時代の記憶ではダールトン辺境伯は30代くらいの黒髪で目つきが鋭く大柄で筋肉質な男性だった。


 だが、目の前にいるのは50代くらいの大柄の体形ではあるけれど、筋肉質というよりはでっぷりした体形の男性だ。


 黒髪ではあるがなんというか目つきが鋭いのではなくいやらしい感じだ。うん、なんというか私の顔、胸、太ももを見たかと思ったら横にいるさっちゃんの胸を見て、胸を見て、胸を見ている。ええ、私にはないボリュームですよ。ちなみに、鎧をまとっているミューズは一瞥しただけだった。


「方針はすでに伝達済みかと思いますが、イース帝国がアグリ公国に攻め入っていることの救援の一助としてこのダールトン辺境伯領からイース帝国に攻め入ります」


 そう話しながら今回の戦略計画を伝えた所、ダールトン辺境伯からは「帰れ!」と言われたのだ。


 うん、国王からの書面も渡しているにも関わらずこの対応だ。絶対に何かある。


「その発言は反逆罪と思われても仕方ありません。聞かなかったことに致します」

「ふん、いらぬ騒乱をこの地に持ち込むな」


 そう言った後小声で「それでなくとも今は大変なのだ」と言ったのを聞き逃さなかった。

 何か起きているのか?


「時にご子息はどちらにおられるのでしょうか?ご挨拶が出来ればと思っております」


 ダールトン辺境伯邸を訪問しての打ち合わせだ。執務室ではなく個人邸を訪問したのには理由がある。今、執務室についてはリーリカに監視してもらっているのだ。


 特にダールトン辺境伯の関係者でイース帝国とやり取りをしているものがいるかどうかを確認してもらっているのだ。今の所リーリカから連絡はない。


「ちょっと体調を崩しておるのだ」

「そうですか?館からはそのような気配は感じられませんが?ミューズ、いかがですか?」


 私は背後で私の護衛として立っているミューズにそう尋ねる。


「そうですね。今の所この館で眠っている人などの気配はないですね」

「は?そんなのわかるわけないだろうが!」

「働いている人は18人ですね」


 ミューズがそう伝えるとダールトン辺境伯の顔が引きつったのがよくわかった。なんでミューズがわかるのかは気にしちゃダメだ。ミューズはなんというか感覚の人なんだ。聞いても「なんとなくわかった」と返されるからだ。


「足音を聞けば違いが判りますもの。ゆっくりな人、急いでいる人、焦っている人。それに鼓動も耳を澄ませばわかります。今、一気にあがりましたね」


 ミューズがダールトン辺境伯を見て笑っている。ってか、怖すぎだわ。


「今日は帰ってくれ。受け入れは認める。勝手にするがいい。だが、我々は協力せぬ」

「それは、目下の問題が解決すれば協力してくれますか?」


 兵がやってくるのは3週間後だ。それまでは、ダールトン辺境伯を監視しつつ、良い関係にするか、何か弱みを握るかを考えていたからだ。


「お前らにできるとは思えぬが、問題をこの儂が解決できたと思えたのなら協力をしてらやぬことはない」


 なんとも貴族的な返答だ。まあ、ばきばきに心を折りにいってあげましょう。

 といっても、まだどんな問題が起きているのかこれから調べないといけないんですけれどね。


「では、ご期待に沿えるよう尽力いたします」


 私はいい笑顔でダールトン辺境伯邸を立ち去った。



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