表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/13

十一、変わりなく

これを境に黑は来なくなるかと思ったが、翌年も黑は父親と一緒に店に来た。

そして、何事もなく朱のもとに来て、その膝上に座る。


朱は当然、疑問に思う。黑が来た時に客に呼ばれることはあの時だけだったが、黑はもう、朱が何を生業にしているのか理解しているだろう。それなのに懐き続けているのはどうしてなのか。猫のような目で、こちらを見上げてくる黑の顔を見つめても、朱には分からない。


変わった子だ。


商人の目を盗んで、朱は不躾ながら黑の頬を少し撫でてみる。黑は特に何の表情の変化もなく、何も言わない。まさかと思いつつ、自分に懸想をしているわけではないらしい、と確認してみたのだ。


当たり前か。


朱は思う。周りにもっとまともな職業や身分で、いい男はたくさんいるはずだ。きっと黑にとっては世話係やおもちゃの自分が何であれ、どうでもいいのだろう。その無味乾燥さが、彼には心地いい。


「そろそろ、膝にはのせられないね」


そろそろ、少し重かった。

朱は背が伸びてきた黑を見つめ、何気なく口にすると、


「どうして?」


と返された。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ