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短編とかその他

笑われてしまった

作者: リィズ・ブランディシュカ



 私ドジが多い体質なんだよね。


 そのせいで朝、大変な目にあってしまった。


 それは、学校に登校している時の事。


 盛大にドジをして、みんなに笑われてしまった。


 ああ、思い出しただけで顔から火が噴きそう。


 雪がふりつもった道を、鼻歌まじりに歩いていたら、すってんころりん。


 盛大に転んで、お尻を強打した。


 まわりにいた人達は「あはは」と笑って、私の横を通りすぎていく。


 薄情もの!


 見ていたのなら、助け起こしてくれてもいいじゃない。


 指をさして腹を抱えるやつまでいる。


 むかつく!


 叫びたかったけど叫ばなかった。


 私は不満をおしこめて、ゆっくりと立ち上がる。


 はぁ、足のケガが治りきってないから、バランスをとるのが難しいよ。


 私はちょっと前まで運動部に入ってた。だけど、走っている時にちょっと足をくじいちゃったんだよね。


 それで、歩く時は足をかばってるんだけど。


 まさかこんな時に、雪が降るなんて思わなかった。


 私はとぼとぼと、道を歩いてく。


 すると、いつも学校の門の前で挨拶している生活指導係の先生が声をかけてきた。


「おっ、どうした遠野。スカートに土がついてるぞ。転んだか?」

「えっ、うそっ!」


 慌ててみると、確かについていた。


 はやく立ち上がろうとばかり考えてたから、、見落としていたのだろう。


 そのまま歩いてきていたなんて、恥ずかしい。


 今日は散々だ。


 私が泣きそうになっていると、先生がぽんぽんと頭をなげて慰めてくれる。


「そうしょげるなって、元気出せよ。悪い事があったら後でそのぶん良い事が起こるって思っておけばいいんだよ」


 そうならない時があったら、余計落ち込んじゃうじゃん。


 世の中そういう事ばっかりじゃないんだよ、先生!


 私がもの言いたげな視線を向けていると先生は「気の持ちようだ」と言って来た。


 だったらと先生は続ける。


「じゃあ。もしなにもなかったら、俺の所にこいよ。他の先生には内緒だぞ」


 耳に顔を寄せられて呟かれる。


 私はどきっとした。


 ドジをする事が多いのを見かねてか、先生はたまにお菓子をくれたりする。


 私の事を笑わない先生は、嫌な事があった時はいつもより親切にしてくれるのだ。


 きっとそれの事だろう。


 そういう事があると、なんだか他の生徒と違って特別扱いされているようで、むずかゆくなる。


 カッコ悪い所を見せるのは正直かなり嫌だけど、こういう時はこのドジの多い体質がもうしばらく治らなくてもいいかな、なんて思ってしまう。


 はぁ、ジレンマだよ。



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