なろう批判があるなら、なろう賞賛があってもよくない?
私の名前は暮伊豆。
初めての作品『異世界金融』を書き始めてもうすぐ三年になる酔いどれ物書きだ。
私は以前、批判というものをしたくてエッセイ『批判をしたい。どうやったら批判ができるのか。』を書いた。
酔いに任せてボロクソに文句を言ってやりたかったのだ。
だが、知識や能力が足りなくてできなかった。
そして今日、エッセイの日間ランキングをさらっと眺めて思ったことがある。
「うーん、相変わらずなろう批判って多いんじゃのお」と。
「あ、そんだら別に批判じゃのおても、なろう賞賛があってもええわのお?」ということも。
だから今から、後先考えずに『なろう賞賛』をしてみたいと思う。
時は今から一年半前。2019年11月12日、私は未曾有の危機に襲われていた……
先述の『異世界金融』が運営より警告を受けたのだ。理由は『性描写』だった……細心の注意をはらって書いたつもりの自分では……どこか悪いのか分からない。運営に聞いても教えてもらえない。このままでは大事な作品が削除されてしまう!
運営は気楽にノクターンやミッドナイトに移転しろと言うが、800話以上もある作品をどうやって移転させればいいんだ!?
八方塞がりだった……
そんな時、とある有識者がアイデアを出してくださったのだ!
そのアイデアとは!?
『部位を絞って複数人でそこだけ注力してみませんか?』
なぜなら……前述したように、その当時の異世界金融は800話を超えていた。期限は二週間……一人でチェックして間に合うはずがない、そもそも自分ではどこが悪いのかさっぱり分からないのだから。
だから!
50話とか100話ごとに割り振って、人海戦術で全てチェックしてしまおうという素晴らしきアイデア。問題はこんな私に、こんな作品に協力してくれる者がいるのか?
神は……いた……
なんと十名もの友人が名乗り出てくれたのだ!
そしてそれ以外の友人も有形無形、心より心配をしてくれた……
時間というかけがえのないものを私のために使ってくれるという熱き申し出!
涙で画面が見えなくなりそうだった……
その結果、仲間たちの力で見事に無事解決。
怪しい所を全て削除するという荒技で。
そして削除したシーンには全てではないが『〜〜削除しました〜〜』の文言。
今では笑い話で済むのだが、当時の私は激しい怒りを覚えていた。
運営に対する果てしない憎しみの炎がメラメラと……
だから、削除はしても……削除させられたという事実が消えないようにと『〜〜削除しました〜〜』を残しておいたのだ。ただのつまらない意地だ。
そんな私がなろうを賞賛する。
どこを賞賛するのか?
決まっている。
人と人との熱き繋がり。
お互いの作品を認め、ライバルと認め、優れた書き手だと尊敬する。その果てに結ばれた絆はかけがえのないものだろう。素晴らしいことだ。
だが、それだけではない!
運営を含むこれだけもの人間がドタバタと動き回ったにもかかわらず、発生した費用は0円であることだ。
運営側からすれば私のメール対応でそれなりの人件費を使ったことだろうが。
『なろう』とは金のかからない趣味だ。金が儲かることもないが金を使うこともない。場所も選ばなければ適正すら必要ない。
こんないいサイトがあるだろうか?
私はなろうが大好きだ。
『無職転生』
『用務員さんは勇者じゃありませんので』
『なまこ×どりる』
『武姫の後宮物語』
『麗子の風儀』
こんな名作をただで読めるんだぜ?
『辺境の老騎士』
『勇者様のお師匠様』
『わたし、聖女じゃありませんから』
『明らかに両想いな勇斗と篠崎さんをくっつけるために僕と足立さんがいろいろ画策する話』
『レジェンド』
こんな傑作をいくらでも読めるんだぜ?
GS美神の2次創作が大好きで。
様々なサイトを渡り歩き。
アルカディアの命運が尽き。
にじふぁんも寿命を迎えた。
気付けば私はなろうにいた。
当時はログインだ、アカウントだなんて意味が分かってなかった。
分からないまま数年。
ランキング上位の作品は全て読み。
いつしか感想を書いてみたくなり、とうとうアカウントを作った。
初めて書いた感想は、2014年 01月23日。
『そんなに日本が嫌いなら、国ごと地球から出て行ってやる!』だった。
それが今では5000件近く感想を書いている。
初めて評価を付けたのは2014年5月11日。
『異世界来ちゃったけど帰り道何処?』
それが今では2578作品に評価をつけている。
初感想から初評価まで約四ヶ月。つまり私は評価をすることを知らなかったのだ。
これは本題とは関係のない話だが、読者諸君よ。評価をしよう。何も難しいことではない。
下の方の⭐︎をポチッと押すだけでいい。簡単なことなのだから。
そう。
私はそんななろうが大好きだ。
好きだからこそ、つい酔った勢いで『異世界金融』を書き始めてしまったのだ。
『2018年 04月28日 23時45分』
酔いが回っている時間帯だ。
仕事でイライラしていたのだ。
どいつもこいつも約束を守らないクソばかり。約束を守ることなんて何ら難しいことではない。なのに、それすらできないクソばかり。
酔った頭でそんなことを考えて、その勢いで書いてしまった。
だが、そんな酔っ払いでも書けてしまうのが『なろう』なのだ。なんと懐が広いではないか。
プロットという名称すら知らず、一人称や三人称も知らず。
必然的に初めての感想は開始から一ヶ月後「視点を整理しよう」だった。
なお二つ目の感想は開始から三ヶ月後、話数にして200話近い時だった。
そう。趣味で書いているため、ほぼ反応がないにもかかわらず、200話も毎日書いていた。当時は一日二話更新だったから……
『タイトル詐欺じゃん』
『金貸し要素薄くね?』
などの声もあった。まったくその通りだ。今でもそう思う。
でもタダなんだぜ?
タダで読めるし!
タダで意見を言えるんだぜ?
しかも!
意見や感想をタダで貰えるんだぜ?
世の中タダで動くものは地震と何とかの腰って言うが、なろうでは!
タダで!
感想や評価を貰える!
だが……ただより高いものはない……
確かに作者を傷付ける感想はあるさ。
作者に筆を折らせるレベルの酷い感想もさ。
でも!
それだってタダだ!
私に金銭的損害は一切ない。そんな感想にすら返信する私の時間単価は損害と言える気もするが……
我々は皆、時間を金に換算して生きています。それは即ち命を削って金を稼いでいることに他なりません。
同じ一時間でも人によって千差万別でしょう。
大企業なら時給換算で4000円は普通ですし、秒で一億円稼ぐ男もいたと思います。
そんな命と同義とも言える金を!
一切使わずに楽しめる『なろう』は素晴らしい!
そうは思いませんか!?
『使っても、貯めても金はおもしろい』
そんな言葉がありますが、それはなろうでも同じではないでしょうか?
『読み手でも、書き手もなろうはおもしろい』