スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんぎつね
ごんぎつねとは、新美南吉作の児童文学である。
誇張とは、伝説の元である。
一。
これは、私がオケラよりも圧倒的に小さい生命体だったときに、マジで超豪華な大都会に住むアルティメット=茂平という、ガチで極高々齢の好々爺から聞いた物語です。
人間の想像すら出来ないほどの超々大昔、私達の大都会の滅茶滅茶近く、ミラクル=中山という所に、見上げるとスポンと首がもげそうになるほどベリベリ巨大な城があって、そこにはミラクル=中山様という偉すぎてやばいお殿様が、頭が地面にめり込むほどふんぞり返ってお住いになられていたそうです。
その中山から、とんでも無く距離が離れた茂りすぎる山の中に、『スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんぎつね』というガチやべぇ狐が数百匹いました。
スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんは、えげつない程数百匹ぼっちの小狐で、『しだ』が先の見えないほど生い茂まくった深すぎてもはやグリーンバックみたいな森の中に、数百キロメートルもある穴を掘ってえげつない集団で住んでいました。
そして、夜でも昼でも二十四時間三百六十五日便利店も驚きの過酷労働で、手当り次第近くの超都会へ出てきては、泣く子も黙るマジの大犯罪ばかりをしていました。
圧倒的メガビックな巨大芋畑へ入って芋を数億キログラム掘りちらしたり、菜種の、干してある数千億の塊に業火を放ったり、大手銀行証券マンの豪邸の裏手に吊るしてあるバカ辛い唐辛子数兆トンをむしりとってばらまいたり、ありとあらゆる想像を超えた悪行を行いました。
或秋の事でした。二、三百日ゲリラ豪雨が降り続けたその間、スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんは、外界へすら足をのばせず、マジやべぇと思いながらクソ深い穴の中にしゃがんでいました。
唐突にゲリラ豪雨が上がると、スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんは、ほっとしてクソ深い穴から這いずり出てきました。空は宇宙の果てすら見渡せるほど澄み渡っていて、百舌鳥の耳が潰れるほど五月蝿い金切り声がキィィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイインと、辺り一面全領域に響き渡っていました。
スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんは、大都会のバカ広すぎる先が見えなさすぎてガチでやばい超デカ川の堤防まで出て来ました。
辺りに生え散らかした数億のすすきの穂には、まだ雨の塊が神々しく光り輝いていました。超デカ川は、いつもは底が見える程で、干からびているんじゃないかと思うほど水が少ないのですが、三百日もの雨で、水が、世界中を埋め尽くさんばかり増していました。
普段は水につかることのない、川べりの数億のすすきや、萩の天に届かんばかりの株が、異臭を放ち鼻がもげそうなほど黄色く濁った濁流の中で我先にと横倒しになって、もまれています。
スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんは、川下の方へと、底なし沼と同じレベルのぬかるみを歩いていきました。
ふと見ると、超デカ川の辺り一面そこかしこに人がいて、何かやっています。スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんは、見つからないように、特殊作戦部隊を殲滅する暗殺者顔負けの忍び足で、草の深すぎてもはや森通り越して森の物語なところへ歩きよって、そこから眼力だけで人々を殺せるレベルの目付きでじっと覗いて見ました。
「ダイナミック=兵十だな」と、スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんは思いました。
ダイナミック=兵十は、傷付きすぎて最早原型を残していない漆黒の闇の着物をまくし上げて、腰のところまで大胆極まりなく水に浸りながら、魚を数兆捕まえる、ハイパーはりきりという、クソでかい網をゆすぶっていました。
はちまきをした横面に、丸くてバカデカい萩の葉が一枚、ブラックホールみたいにへばりついていました。
しばらくすると、ダイナミック=兵十は、ハイパーはりきり網の一番後ろの、狸の金玉のようになったヤバすぎる容量のところを、川の水全部抜くんじゃないかという勢いで持ちあげました。
その中には、茂りすぎた芝の根や、圧倒的物量で全てを押しつぶす草の葉や、腐りすぎてもはや腐葉土超えて不要な木ぎれなどが、魑魅魍魎混沌と入っていましたが、所々、光りすぎる白くてやべぇ物がギンギラギンに光っていました。
それは、東京スカイツリーより太いうなぎの腹や、デカすぎてもはや鯨すら喰えそうなキスの腹でした。ダイナミック=兵十は、びくの中へ、そのクソ太うなぎやクソでかキスを、腐りまくったゴミ共と一緒にぶち込みました。そして、また、袋の口を一生解けないんじゃないかと言うくらいアホなほどキツくしばって、水の中へ大暴投しました。
ダイナミック=兵十はそれから、びくをもって超デカ川から上がり、びくを土手に置いといて、何を探しにか、数京センチメートル離れた川上の方へとメロスよりも速く駆けて行きました。
ダイナミック=兵十が姿を消すと、スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんは、ズダァァァァンッ、と森の塊から飛び出して、びくの真横へ駆けつけました。ちょいと、えげつないいたずらがしたくなったのです。
ごんはびくの中の巨大怪魚をつかみ出しては、ハイパーはりきり網のかかっているところより、下手の超デカ川の中に目掛け、ドガァァァンバシャァァァンとなげこみました。どの魚も、『ドバァァァァァァン』と鼓膜が吹き飛ぶような馬鹿みたいな爆音を立てながら、濁りすぎてもはや毒レベルの水の中へもぐりこみました。
一番最後に、青函トンネルより長いうなぎをつかみにかかりましたが、何しろアロエエキスよりぬるぬるとすべるので、手ではつかめません。
スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんはじれったくなって、虎のように獰猛な頭をびくの中に突っ込んで、極太うなぎの頭をアーミーナイフのような牙でくわえました。
クソ長うなぎは、グルァァァァァァッと言ってスーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんの首へまきつきました。
そのとたんにダイナミック=兵十が向うから、「うわあ大怪盗狐め」と、飛行機のエンジンよりも激しい音で怒鳴りました。スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんは、びっくりして飛び上がりました。
超常うなぎを振り捨てて逃げようとしましたが、化物うなぎは、スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんの首を絞殺しようとはなれません。
スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんはそのまま横っ飛びにとび出して、一所懸命に逃げました。
クソ深い穴の近くの、見上げても先が見えない程高い『はん』の大木の下で振り返って見ましたが、ダイナミック=兵十は追っかけては来ませんでした。
スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんは、ほっとして、巨大怪魚うなぎの頭をミサイルのような勢いで噛み砕き、粉砕し、やっとはずしてクソ深い穴の外の、バカデカすぎる草の葉の上にのせておきました。
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二。
数千日程経って、スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんが、マスター=弥助という絶対圧倒強靱無敵最強君主の爆デカ邸の裏を通りかかりますと、そこのいちじくの大木の影で、マスター弥助の鬼の縊り殺すと言われる巨大嫁が、おはぐろをつけていました。
世界一有名な鍛冶屋のファンタスティック=新兵衛の家の裏を通ると、ファンタスティック=新兵衛の絶望を飲み込む家内が蜘蛛糸よりも強靭でシルクよりも美しい髪をすいていました。
スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんは、「ふふん、この超絶都会に何かあるんだな」と、思いました。
「何なんだろう、秋祭かな。祭なら、クソでかい太鼓やバカうるさい笛の音がしそうなものだ。それに第一、あの一度入ったら出てこれないバチクソにデカいお宮にのぼりが立つはずだが」
こんなことを考えながらやって来ますと、いつの間にか、表に数億キロの深さを誇る血より赤い井戸のある、ダイナミック=兵十の家の前へ来ました。
そのデカすぎる破壊され原型を残していないほったて小屋の中には、数千億人の人が集まっていました。余所行きのえげつない程漆黒に染められた着物を着て、腰に手拭いを提げたりした絶世の別嬪たちが、表のかまどでこの世全てを燃やし尽くさんとする業火をたいています。
湖より大きい鍋の中では、何かが灼熱の煙を上げながら煮えていました。
「ああ、葬式だ」と、スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんは思いました。
「ダイナミック=兵十の家の誰が死んだんだろう」
お昼が滅茶滅茶に過ぎると、スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんは、大都会のクソデカ感情の埋もれまくる大理石で盛られまくった墓地へ行って、天地開闢全てを見通す六地蔵さんの影にかくれていました。
人が生まれてから初めかと思われるほど晴れに晴れすぎたお天気で、遠く向うには、超巨大城の屋根瓦が、千六百八十万色に光っています。
クソデカ感情の墓地の端一面全てを覆い尽くす彼岸花が、超高級な赤い布きれのようにただひたすらどこまで続くのか人間では観測不可能なほど咲き連ねていました。
と、大都会の方から、ピシャァァァァァン、ズドォォォォォォン、バリバリィィィィィイイと、ベリービッグベルの騒音が響き散らかしました。葬式の出る合図です。
天地創造と同じくらいの時間が経って、つきたてのホッカホカ餅よりアホほど白い着物を着た葬列の愚民共が、異常な程の存在感を撒き散らしながらやって来るのがちらちら見えはじめました。
話声も近くなりました。超強烈なエネルギーを纏った葬列は墓地へ入っていきました。人間共が通ったあとには、血より赤き彼岸花が踏みおられていました。
スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんはこの世全てを見渡す程伸び上がってそれを見ました。ダイナミック=兵十が、漂白剤をぶちまけるより白いかみしもをつけて、位牌をささげています。
いつもは、ふかしすぎて溶岩のように燃えたぎり触れた全てを蒸発させる赤いさつま芋いもみたいな元気のありあまる顔が、今日は何だか萎びれて二度見するほどのブサイクになっていました。
「ははん、黄泉の戦士に成ったのはダイナミック=兵十のおっ母だ」
スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんはそう思いながら、凶暴な頭をひっこめました。
その晩、スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんは、クソ深い穴の中で幾億の灰色の脳細胞を駆使してとんでもない長考をしました。
「ダイナミック=兵十のおっ母は、果てが見えないほどめちゃめちゃ広い床についていて、怪魚の如きうなぎが食べたいと言ったに違いない。それでダイナミック=兵十がハイパーはりきり網をもち出したんだ」
「ところが、わしが大罪を犯して、異世界うなぎを屠ってしまった。だからダイナミック=兵十は、おっ母に強靭無敵最強うなぎを食べさせることができなかった。そのままおっ母は、死んじゃったに違いない」
「ああ、不老不死をも超越するうなぎが食べたい、この世界を掌握せしうなぎが食べたいとおもいながら、黄泉に招かれたんだんだろう。ちょッ、あんな大罪をし犯さなけりゃよかった」
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三。
ダイナミック=兵十が、数兆キロの深さを誇る龍の血より赤いどデカい井戸のところで、万物の頂点食の支配者である麦を混ぜていました。
ダイナミック=兵十は今まで、おっ母と二人きりで、この世のアリとあらゆる業を受けたのかと錯覚するほどのド貧乏なド底辺暮らしをしていたもので、おっ母がヴァルハラへと旅立てば、もう孤高なる戦士となるしかありませんでした。
「おれと同じ孤独なる猛勇、ダイナミック兵十か」
こちらの、精霊イナバも逃げ出す物置の後から見ていたスーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんは、そう思いました。
スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんはイナバ泣かせのそばをはなれて、向こうへ行きかけますと、どこかで、大怪魚鰯の群れを売りさばく声がします。
「天を喰らいし海の覇者鰯の安売りだぁい。いきのいい鰯だぁい」
スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんは、その破竹の勢いで全てを売りさばかんとする圧倒的美声のする方へと、メロスを轢かんばかりの勢いで走っていきました。
と、弥助の首を従えし巨人たる鬼嫁が、裏のクソでかい戸口から、「覇者を吾が手に」と言いました。売り捌きし者は、覇者の満ち溢れるかごをつんだ大轟車を、道の中央全てを塞がんとせき止め、二千万色に光り輝く鰯なる王者を両手でつかんで、弥助の大豪邸の中へ持って入りました。
スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんはその一瞬、瞬きの間にかごの中から、五、六千匹の王者たる怪魚をつかみ出して、もと来た方へと瞬間移動しました。
そして、ダイナミック=兵十の超オンボロ小屋の汚ったない裏口から、崩れ落ちた廃墟かと見紛う寝場所の中へ覇者共を投げこんで、クソ深い穴へ向むかって超速加速しました。
途中の命を刈り取る形をしてる坂の上でふりかえって見ますと、ダイナミック=兵十がまだ、井戸のところで山のように積み重なった数億数兆の麦束をといでいるのが見えました。
スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんは、異世界転生うなぎのつぐないに、まず一つ、いいことをしたと思いました。
翌日には、スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんは、エベレストが泣いて土下座する超超巨大山脈で、伝説の槍すら貫けぬ強化外骨格を纏う伝説の栗をどっさりひろって、それをかかえて、ダイナミック=兵十の家へいきました。
ブラックホールの如き裏口から暗視スコープで覗いて見ますと、ダイナミック=兵十は、昼飯をたべかけて、海よりも巨大な茶椀を抱えたまま、ぼんやりと考えこんでいました。
変な事にはダイナミック=兵十の頬に、怪物との戦闘で生み出される彼方まで噂される裂傷がついています。何事かとスーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんが思っていますと、ダイナミック=兵十が独り言をいいました。
「一体誰が、この歴戦なる海の覇者なんかを俺の家へぶち込んで行ったのだろう。おかげで俺は、大盗賊と思われて、トライデントを振り回す鰯の狩人のやつに、ひどい目にあわされた」と、漏らしました。
スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんは、これはしまったと大後悔しました。かわいそうにダイナミック=兵十は、大海を咽び泣く王者を駆逐する者共に滅殺の鉄槌を下されて、あんな大きな傷までつけられたのか。
スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんは思考を超高速回転させながら、そっとイナバ潰しの大容量超絶倉庫の方へまわって、その入口に、最終兵器栗を置いて帰りました。
次の日も、その次の日もスーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんは、全壊す終わりの爆撃栗をひろっては、ダイナミック=兵十の家へ持って来てやりました。その次の日には、そればかりでなく、世界中の全ての豪族が取り合い世界が破滅すると言われた誉れ高き王であるまつたけも、二、三千本もっていきました。
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四。
大大大満月がこの世の悪を浄化せんとする晩でした。
スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんは、フラリと豪遊しに出かけました。ミラクル=中山様の超超超大城の下を通って数千里ばかり行くと、ハリガネムシも通れるかも分からないほどクッソ細い道の向うから、誰かが来るようです。
とてつもない大爆音で話声が聞えます。チィンチィロリィンチィンチィロリィンチィンチィロリィンチィンチィロリィンチィンチィロリィンチィンチィロリィンチィンチィロリィンチィンチィロリィンチィンチィロリィンチィンチィロリィンチィンチィロリィンと数兆単位で空を埋めつくさんとする松虫が鳴いています。
スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんは、道の超端っこにかくれて、死んだフリをしたカエルすら脱帽するほどじっとしていました。
話声はだんだん近くなりました。それは、ダイナミック=兵十と全殺魔王=加助という天地統べる者でした。
「そうそう、なあ加助」と、ダイナミック=兵十がいいました。
「ああん?」
「俺あ、このごろ、この世界全てを疑わねばならんほどふしぎなことがあるんだ」
「何が?」
「おっ母がヴァルハラへと旅立ってからは、だれだか知らんが、俺に超兵器栗達やハイパーナイスマッシュルームズなんかを、毎日毎日くれるんだよ」
「ふうん、だれが?」
「それがわからんのだよ。俺の知らんうちに、置いていくんだ」
スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんは、二人のあとを暗殺術で学んだ追跡技術でつけていきました。
「ほんとかい?」
「ほんとだとも。俺の発言を誇張なバカ話と思うなら、あした見に来こいよ。その泣く子も黙る大陸間弾道ミサイルすらも打ち負かす超外骨格なる栗達数万トンを見せてやるよ」
「へえ、へんなこともあるもんだなア」
それなりに、二人は宇宙へと放り出された超生命体より黙って歩いていきました。
全殺魔王=加助がひょいと、後を見ました。スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんはびくっとして、ノミよりも数千倍も小さくなって息を潜めました。
全殺魔王=加助は、スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんには気が付かないで、そのまま最果ての世界へと瞬間消滅しました。
バカタレファッキンパーリーピーポー=吉兵衛というお百姓の超高層マンションまで来ると、二人はそこへ入っていきました。
ポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンクラッシュクラッシュと富士山より巨大な木魚の音がしています。窓の障子に全てを焼き尽くさんとする太陽の光がさしていて、大きな坊主頭が全てを反射して動いていました。
スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんは、「おねんぶつがあるんだな」と思いながら、超高級金剛石製の金粉ちりばめられし井戸のそばにしゃがんでいました。
しばらくすると、また三億人ほど、人間共がつれだってバカタレファッキンパーリーピーポー=吉兵衛の超高級高層ビルディングへはいっていきました。
黙示録を読む声がきこえて来ました。
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五
スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんは、黙示録の読破がすむまで、超高級金剛石製の金粉ちりばめられし井戸のそばにしゃがんでいました。
ダイナミック=兵十と全殺魔王=加助は、また共に背を合わせ自らの骨を埋める戦場へと帰っていきます。
スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんは、二人の話を聞こうと思って、ついていきました。
ダイナミック=兵十の影法師を踏み抜き喰らいつつ、ついていきました。
超絶豪華絢爛城の前まで来たとき、全殺魔王=加助が言い出しました。
「さっきの話は、きっと、そりゃあ、天地虚空大明神様のしわざだぞ」
「えっ?」と、ダイナミック=兵十はびっくりして、全殺魔王=加助の顔を見ました。
「俺は、あれからずっと考えていたが、どうも、そりゃ、人間じゃない、見えざる力のなせる技だ、神さまが、お前がたった数百人になったのを超哀れに思わっしゃって、幾兆幾京の万物をめぐんで下さるんだよ」
「そうかなあ」
「そうだとも。だから、連日天地虚空大明神様に感謝の正拳突きを捧げると良いよ」
「うん」
スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんは、へえ、こいつはクソみたいにつまらないなと思いました。
圧倒的おれが、超外骨格ロンギヌスを弾けし栗や、全ての災いを招き災禍の渦を生み出せし松たけを持っていってやるのに、そのおれにはお礼をいわないで、天地虚空大明神様に感謝を述べるんじゃあ、おれは、引き合わないなぁ。
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六
その次の日もスーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんは、宇宙最硬度理を捻じ曲げし栗をもって、ダイナミック=兵十の崩れ消え去り理外へと堕ちた小屋へ出かけました。
ダイナミック=兵十はプロフェッショナル縄を全て破壊せん勢いで結んでいました。それでスーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんは、混沌を招きし裏口から、滅茶滅茶こっそり中へ超絶忍び足ではいりました。
そのときダイナミック=兵十は、ものすごい勢いでで顔をあげました。と、スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルな狐が、バカ住みやすい家賃一万円の家の中へ無断侵入してくるではありませんか。
こないだ海神喰らいし鰯の群れを強奪した、あのスーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごん狐めが、またスーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルないたずらをしに来たな。
「ようし」
ダイナミック=兵十は立ちあがって、クソデカ納屋にかけてあるバカデカ超荷電量子砲をとって、クソバカ大量の超加速電磁バッテリーをつめました。
そして足音を圧倒的歩術でしのばせて近寄って、今、破滅的にデカすぎる戸口を出ようとするスーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんを、ギュイィィィィィィィン、ドゴォォォォォォォオアアアアアアンと撃ち抜きました。
スーパーミラクルエキセントリックウルトラファイナルごんは、それを引き継がれし究極武術『全てを翔るは天の狐』の『天翔る狐の閃』にて、数千の光の閃きを交わすと、ダイナミック=兵十の前に立ちはだかりました。
「貴様っ……!」
「その程度か?」
完成された武術を身に付けし超奇跡奇天烈究極終焉=消失者にとって、超荷電粒子砲等は対した驚異ではありません。
本当の破滅的な驚異とは、目の前に立ちはだかる漢の肉体。
会話を交わすのは圧倒的破壊力により地球を破壊せしめんとする、ダイナミック=兵十の肉体に宿る幾億の筋繊維でした。
「脱ぐがいい、兵十。終わらせよう」
「ごん、お前だったのか──」
破壊者は目を閉じると、最期に語りかけました。
「──いつも栗をくれたのは」
ごんは、目をつぶったまま、うなずきました。
超荷電粒子砲は、とてつもない轟音と閃光を上げ、地面にめり込み数億キロメートル沈みこみました。超常なる白と碧の蒼炎が、まだ銃口から細く出ていました。
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程々が最も良いのでしょう。
おしまいおしまい。
クソデカ羅生門