表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/81

第9話 先輩であり親友でもある人が道を違えた時


 放置したエリーであったが次の日には全部忘れたよ

うだったので思い出させてあげた。聞きたい事もあっ

たしね。


「エリー、昨日俺の部屋に入ってきた時に見た事覚え

 てる?」


 あっ!という表情になり言った。


「神様2人にあんな事させるなんて一体あんたなんな

 の!」

「むしろ俺が聞きたいんだけど。クロエ様以外の神様

 って誰も知られてないはずじゃなかった?」

愚問(ぐもん)ね! わたしはアリス様に会った事があるも

 の」


 衝撃の事実だった。クロエ様以外の神様って人に接

触してこないんじゃなかったの! おもいっきり接触

してるじゃん!


「言ってもどうせ誰も信じないし発表もしなかったの

 よね」

「確かに」


 みんなが知らないものを証明する事は難しい。特に

対象が神様だし。

 よし、なんとか膝枕とかなでなでされてた事から話

題をそらす事ができた。ついでに聞き忘れてた事を聞

いておこう。


「エリーが既に取得してたスキルってどういう効果だ

 ったの?」

「大魔導と詠唱ね! これ昨日教えてもらった方法で

 見ればいいのよね。ちょっと待ちなさい!」


 目をつぶってスキルを見ているのかな。

 こうやって目をつぶって物思いに(ふけ)るエリー

って元お嬢様だけあってすごい綺麗なんだよね。普段

の性格はすごい直情的だけど。


「大魔導は魔導の発展型で詠唱は詠唱関連のデメリッ

 ト軽減って書いてあったわ! よくわからないわね

 !」

「両方とも魔法に関するスキルみたいだね」

「わたしが初めてアリス様にお会いした時に大魔導が

 どうとか言ってた気がするわ!」


 エリーは本当に頭が良い子なんだろうか。


「忘れるとこだったわ! ロック! あなた神様2人

 になんて事させてるの!」


 こういう所で頭が良い片鱗(へんりん)を見せなくても……。あ

とエリーさん、神様は「人」ではなく「柱」で数える

のですよ。

 俺もなんでいつもああなるのかわからないため誤魔

化し続けるしかなかった。

 



「理解はしたけど納得はできないわね!」

「俺にもよくわからないからそういう事にしておい

 て」


 しばらくしてこの話題から離れてくれるみたいだっ

た。エリーは俺の部屋を見回している。


「それにしてもロックって武器持ち過ぎじゃない?」


 俺が泊まってる宿屋の部屋にはあちこちに武器が置

いてある。武器コレクターと言っても過言ではないと

思う。


「これ全部使えるの?」

「もちろん。俺用のサイズにしてもらったオーダーメ

 イド品もあるよ」


 俺はまだ成長期が終わってないみたいで身長や体の

大きさが少しずつ大きくなっている。そんな俺では大

人用のでかい斧や大剣は扱えない。

 だから顔見知りの鍛冶屋にお願いして少し小さめで

俺でも扱えるサイズの物を作ってもらったんだ。

 顔見知りになった理由もジャックに紹介してもらっ

た後、武器コレクターの俺は毎日のように店に顔を出

してたからなんだ。


「良い職人さんだから今度エリーにも紹介するよ」

「それは助かるわ! わたしの杖って学院時代から使

 ってたから少し痛んできてるのよね」

「それじゃ少しの間次のダンジョンへ向けての準備期

 間にしようか。予約したスキルを取得して初心者ダ

 ンジョンで連携の練習もしよう」

「わかったわ! その慎重さ、ロック本当に前衛なの

 ?」

「この武器の山を見てどう思う? 紛れもない前衛で

 しょ」


 エリーは部屋を見回しながら、


「えぇ、そうね……」


 半笑いだった。




 みんなにオススメされてすぐに予約できたスキルは

3種類、隠密、鉄壁の壁、即死回避だ。

 これはもうスキル名を聞いただけで重要性がわか

る。

 ギルド職員さんもダンカンさんもジャックにもこれ

をオススメされた。事実デスれない俺はこの3つのス

キルに助けられていくのだが、この時の俺はまだ知ら

ない。


 俺がいろんな人に有用なスキルを聞きまくってたせ

いで戦闘狂になったんじゃないかと心配された。

 中でもジャックが一番酷かった。


「ロック! お前がそんなに戦闘を欲するようになっ

 ちまうなんて……。きっとあの女に(たぶら)かされたんだ

 な!」

「いやいやいや。エリーは全く関係ないからね」

「そ、そうか……。俺にも話せないように呪いをかけ

 られたんだな」

「どうしてそうなった」

「俺に任せておけ。必ずロックの呪いを解かせてみせ

 る!」


 エリーにめちゃくちゃボコられてた。もうやめたげ

てよ。デスらないように回復させながらとか酷過ぎる

よ! お願いだからもうデスらせてあげて!


 ジャックの勘違いも酷かったがエリーの対応はもっ

と酷かった。笑い声をあげながら魔法を撃ち続けるな

んて……。俺も気をつけよう。

 エリーにスキルを覚えさせていったら最凶になって

しまう予感がした。




 数日間をかけ予約した3つのスキルをエリーと一緒

に取得した。


 隠密は名前の通り隠れ、密かに行動する事を可能に

するスキル。

 鉄壁の盾は防御と魔法防御と状態異常耐性を少しず

つ上げるスキル。

 即死回避は即死攻撃を受けた際少しだけ体力を残し

死なないスキル。


 この3つのスキルはどれも成長型スキルらしい。オ

ススメされたのも早めに取得する事で成長を見込める

事とその汎用性からだ。


 例えばこの前取得した警戒と今回取得した隠密をエ

リーに使わせる。そうすると周囲の敵を事前に察知

し、敵から隠れたまま魔法で殲滅(せんめつ)できる。

 一人でなんでもできちゃうんだ。これはつまり俺が

いらない子になっちゃう。

 エリーには黙っておこう。絶対に。


 そんな裏技的な使い方をせずにパーティーとして正

攻法な戦い方の練習を初心者ダンジョンで繰り返し

た。

 冒険者パーティーに魔法を使える者がいる事はほぼ

ない。少なくとも俺は聞いた事がない。安定した仕事

がある魔法使いが冒険者になる事はないからね。

 俺は本当に運が良かったのだろう。目の前のエリー

を見ながらそう思う。


「どうしたのよ? さっさと次の敵を探すわよ」

「わかったよ。エリー」

「本当に変ね。 どこか具合でも悪いなら回復させる

 わよ?」

「俺がいつもエリーには感謝しているって事さ」


 首を(かし)げて心配していたがそれを聞いた途端


「もっと感謝してもいいわよ!」


 と、ニッコリ笑顔を浮かべた。

 俺は本当に、本当に運が良かった。


 ただトラウマを植え付けたジャックには謝った方が

いいと思う。あれ以来ジャックはエリーを見かけると

「ヒィッ」と声を上げ逃げるようになった。

 エリーがいない時に話しかけたらエリーの事を「エ

リー様」とか呼んでるし。


 おかしな事に目覚めてないよね!?

 1章はここで終わりです。次から2章に入ります。

なぜかもう一つの小説と同じ章切り替えタイミングですが、深い理由はないです。

 ブックマークとても励みになってます。


2018/07/19 1章をスマホでも正しく改行されるように修正しました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ