まだ梅雨だから
雨、緑濃く、空が少しだけ明るい。
逆さまにそんな景色を眺める、手伝いの合間。
同じ時を過ごしたいのに、ここにあなたはいない。
心は分からなくても、向かい合って楽しく会話したい。
「決めつけなくていい」
そんな言葉、初めて聞いた。
何故?
あなたはどうしてそんなに真摯なの?
天邪鬼なくせに嘘がつけない素敵な人。
気温が午後に向かってじわじわと上がって、蝉がついに鳴き出した。
時間は偉大だ。
謎を優しくほどいてくれて、惑う思考を落ち着かせてくれる。
でも、時間は意地悪だ。
思いを募らせて、寂しさを覚えさせる。
「あなたがおじいさんになってもそばにいたい」
嗚呼……
私はなんて軽率なんだろう。
単純で愚かな子供のまま必死で笑ってる。
青い青い空に入道雲が広がる頃までに私は、あなたに屈託無く微笑みたいから。
もっと考えて大人になるから。
逆さまの景色を元に戻し、頭に血がのぼったクラクラのせいしにて、涙ごと少しだけ目を閉じた。