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幸せを掴むために-拒み続ける本心-  作者: 黒空-kurosora-
あの日出会った運命
4/14

運命の再会

…私は、この街「メニルミア」という街で小さな頃の友達ミユの家で暫くを過ごした。

その間に、私はこの世界でどう過ごせばよいのか、少しずつ学ぶことができた。


「輝晶、ちゃんとある?」

「あるよ、大丈夫」

輝晶-こうしょう-。この世界のお金らしくて、世界中に存在する採掘スポットから入手できる希少な結晶だと言う。

入手方法は数あれど、一般的には何かを作って売るのが常識なんだって。

一番の方法はハーツイーターを倒すことなんだってことも聞いた。

どうやら輝晶はハーツイーターが好んでいるものらしくて、ハーツイーターを倒すと数多く落とすんだって。


私たち2人は、この結晶の大地を削り取ってアクセサリーにしたものを売り出して輝晶を換えている。

あまり売れないけど、生活する分は稼げている。

「そうそう、そんな感じだよ。カノンお姉ちゃん上手だね」

「そうかな?ミユはすごく上手で羨ましいな」

えへへ、という照れ笑いを浮かべるミユを見て、私はこの世界でどうしていきたいのか。

ずっと考えていた。

目的も、何もないままずっとここにいるのだろうか。それも悪くはないけど、なんとなくスッキリしない。


そんな生活が、大体一月分くらい続いた。

少しずつミユとの生活にも慣れてきたある日。

「お姉ちゃんお姉ちゃん!大変だよ」

ミユが私を起こす声がする。

「…ん、ミユ。どうしたの?」

「ハーツイーターが街に来たの!

早く逃げないと!」

ハーツイーターが…?

大地を喰らい、人を襲う存在と教わったハーツイーターがこの街に来ている。

逃げるとは言え、どこに行けばいいかわからなかったけど。

私とミユは慌てながらも家を飛び出していった。



街の住民全員が必死にハーツイーターから逃げている。

影のようなハーツイーターは俊敏に動き、住民たちを襲う。

私とミユはひたすら、必死に外に出るため、ただ全速力で走り抜けた。

「お姉ちゃん!ハーツイーターが追っかけてきてるよ!」

寝間着として用いているローブで走りづらく、ハーツイーターが追いかけてきていることに気付いていながらもなかなか逃げ切れていなかった。

「くっ…。このままじゃ追いつかれちゃう!」

気が付けば、既に外に出ていた。

外にもハーツイーターが出現する恐れはあるものの、狭い街中で逃げ回るよりかはマシだ。

「お姉ちゃん!右に曲がって!」

突然出されたミユの指示に私は咄嗟に反応して右に曲がる。

「この先に橋があるの。地図によればハーツイーターと戦う傭兵達がいる拠点地がその橋の先にあるらしいから、そこまで逃げよう!」

ミユはその小さい体で私を先導してくれる。

まだ幼い年齢で、ミユ自身も怖いはずなのに。

冷静さを保ちながら私を導いてくれる。

…私、なんだか情けないな。

本当なら私がなんとかするべきなのに。

そう思いながら走り続けると、橋が見えてきた。木製で、ロープによってつなぎとめられているそれは。あまり頑丈そうには見えなかった。さっさと渡りきって、橋を切ればとりあえずは無事かもしれない、と考えた私は。

「早く渡って道を絶とう。帰り道に困っちゃうかもしれないけど、時間稼ぎにはなるかもしれない」

「…ん、そうだね。それじゃ早く渡ろう!

追いかけてきてるのは変わらないから!」

不安定なその橋の下を見ると川が流れていた。

下までは結構な距離があり、仮に落ちてしまった場合、命の安全は保障できなかった。


橋の真ん中を過ぎた辺り。

「ミユ!ハーツイーターがここまで追いついてきてる!!」

「早く渡ろう!」

ハーツイーターが追いついたのを私は見て、私たちは歩くスピードを上げた。

「お姉ちゃん、まずいよ!ハーツイーターが橋を切ろうとしてる!」

今度気付いたのはミユだった。

ハーツイーターは橋のロープを喰らい始め、その綱は徐々に切れ始めていた。

まだ橋を渡りきるには少し距離があった。

どうする…。

そう思った時、私はある決断を下した。

「ミユ」

私はかつての、そして今の友達の名を呼ぶ。

「お姉ちゃん…?」

こんな時なのに私の声に振り向くミユ。

そして私の表情を見て、少し不思議そうな顔をして。

「お姉ちゃん。どうしたの…?」

ハーツイーターのいる方向に顔を向けると、既に橋の綱はほとんど切れかかっていた。

「このままじゃ、間に合わないから…」

そう言って私はミユを橋の終わりの方向へと振り向かせて、その方向へ精一杯押し出した。

「お姉ちゃん!?」

突然のその行動に驚いたミユは橋の外から私を見つめて来る。

「どうして!?お姉ちゃんも早く!このままじゃ橋が…!」

「ごめん、こうでもしないと2人とも危険だったから…」

言葉を交わしている内に橋の綱は切れて、私の足場はその不安定さを増していく。

怖さは、ないわけではない。

だって本能の私は生きたいと思っているわけなんだから。

でも心を壊してしまって、既に小さな本能しかない私には感情というものはあまり大きくないから。

せめて、大切だと、そう思ったミユだけはなんとかして助けてあげたいと思った。

だからこその、行動だった。

「お姉ちゃん!カノンお姉ちゃん!!」

私の名前を叫ぶのが聞こえる。

落下するスピードは想像しているよりずっと早くて、ミユの姿はすぐに見えなくなった。



あれから、どれくらい時間が経ったのだろうか。そもそも、私はどうなったんだろう。

少しずつ、意識がはっきりしていく。

無事、だったのかな。

視界が少しずつ開けてくる。

空が見える。私が思い描いたものと同じの。

心臓の鼓動が聞こえる。

生きているんだ。

咄嗟の行動。ミユを助けるために取った行動。

でも、今にして思えば怖かった。

それほどまでに、私の本能は生きたいと思っていたんだと気付いた。

なんとか川から離れると、身体が重かった。

着ていたローブはボロボロになっているし、ところどころ怪我もしていた。

とはいえ何とかして安全な場所に向かって、どこにいるのか確認を取らないといけないと思った私は重い足取りで歩き出そうとした。

すると。

「…最悪だね…」

周りを見ると、ハーツイーターに囲まれていた。

逃げ切れる自信はないし、また川に落ちても今度は無事なのかどうかわからない。

四面楚歌とはまさにこんな状態のことなんだろう。

まさに絶体絶命、どうするべきか頭を悩ましていた時に閃光がハーツイーターを貫いたのを確認する。

「…何!?」

私は少しだけ驚く。

何が起きているのだろうか。

ハーツイーターを倒した?

遠くから誰かが走り出すのが見えてくる。

「…はぁ!」

また、閃光がハーツイーターを切り裂く。

瞬く間にハーツイーターたちを全滅させた。

それを成し遂げた人物は、昔の私がよく知るその人物の姿と酷似していた。

「…カノン。無事だった?」

「ユウ、くん…?」

その少年は、私が過ごした大切なあの時の、大切な人物。ユウ君だった。

更に改訂しました。

次の話からようやく新しい話になります。

とりあえず今までカノンは推測でものをいっていましたが、それらが明らかになります。

まぁ推測とはいえあながち間違ってないのですが…。

話が本格的に動くのはもう少し先だと思います。

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