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幸せを掴むために-拒み続ける本心-  作者: 黒空-kurosora-
あの日出会った運命
2/14

変わり始める運命

改訂しました。

以前のものとは大きく異なる内容となっています。

あの時、笑いあってた人。

私も、笑ってた。

でももう、それも遠い記憶で。

ただ深く私の空虚な心の世界へと。

…絶望の底へと堕ちていくだけだった。



どこかの病院。

どこかの病室でただ過ぎていく時間を見守っていくだけの生活。

私の名前ももうあまり鮮明に思い出すことができなくなってきた。

確か、名前は…。


カノン、そう、そんな名前だった気がする。

それほどまでに考えることができなくなっていたのだろうと思う。


私の心は、壊れてしまったんだ。

例え考えることができたとしても、思い出したくないくらい、辛いことだったように思える。

だから何があったかはわからない。

ただ、気が付いた頃にはここにいた気がする。

でもこの心はもう完全に壊れているらしくて。

誰かが話しかけてることはわかるけど何を言っているかわからない。

動くこともままならない。

ただ最期の時をひたすらに待つだけ。


そしてまた、時が過ぎる。



ある日、何だろうか。

どれほど時間が経ったのかわからない。

でもいつもより少しだけ聞こえる声があった。

私の手を握って、名前を呼んでくれたような気がした。

懐かしくて、暖かい、そんな声。

昔一緒に笑いあっていた、大切な人のような声だった気がする。


そしてその日、ある変化があった。


次の日の夜。

空虚な私の心の世界に僅かに残った理性と本能が言い争っていた。

これはよくある話。

私の中の本能は未だに生きたいと願っている。

私の中の理性はもう諦めて受け入れろと言う。

だけど今日はいつもと少し違った。

何かが、違った。


『私は…やっぱり生きたい。まだ諦めない』

本能の私が言う。

『生きたところで何があるという。

その先に幸せはあるの?』

理性の私が言う。

理性の私は理解しているんだ。

仮にもし、私の心が元に戻ったところで、心が壊れるような出来事があったほどなのだから、その先に幸福なんてないんだろうって。

でも、ならばなぜ本能の私はここまでに生きたいと願っているのだろうか。

それはやはり大切な、あの人の姿が未だに焼き付いているからなんだろう。

『確かに、幸せはないかもしれない。

だけど生きたい。まだやりたいことはたくさんあるんだから』


その瞬間、世界が、大きく変わった。


私の空虚な世界が崩れ、落ちていく。

これは…。

理性と本能が、離れていく。

これは一体何なのだろう。

心から色んなものが抜け落ちていく感覚は知っているつもりだった。

だけど、こんなことは初めてだった。



目が醒めると、そこは夢のような世界だった。

虹色のような、綺麗な色で。

星空のように空は輝いていて。

結晶の大地に横たわっていた私はその景色に思わず見とれてしまった。


そして、気づいた。

私が動くことができるということに。

何故なのかはすぐに理解できた。

最期を受け入れていた、理性の私がいないということ。

今、私の心の中には本能のみが存在しているんだ。

推測でしかないけれど、きっと私が普段動くこともままならなかったのは理性の私が制御していたから。

そう考えると色々と合点が行くのだからそう思うしかない。


でも、ここはいったいどこなんだろう…。

これに至っては、まるで推測できなかった。

いくら考える力が低下してしまっているとはいえ、さすがにこれは非現実的。

とりあえず歩いてみようと思った。

折角久々に動くことができるのだから、歩きながら色々整理したいと思ったんだ。

それにこんな綺麗な景色だ、歩きたくもなる。



理性と本能の私が分かれた…。

それにこの不思議な世界。

わからないことだらけだけど、この景色、何かで見かけたような気がした。

いつ、どこでこんな景色を見かけたのだろう…。そもそもこの景色を前にも見たなんて話、ありうるのだろうか。


…あ、そうだ。これは昔、私がこんな世界があったらいいなって思って描いた世界…。

大切な人と一緒に描いた世界だ。

でも、なんでそれとそっくりな景色が今ここに…。


しばらく歩いていると、何かが見えてきた。

あれはなんなのだろう。

大地を、食べている?

小さな影のような存在が大地を食べていた。

現実ではまず見ることのない光景に恐怖感を覚え、私はその場を離れていった。


必死に走っていると、何やら街らしきものが見えてきた。

今度は大丈夫なのだろうか。

考えている暇はなかった。


そのまま駆け抜けると…。


「大丈夫?君…」

何やら声が聞こえてくる。

大切な人の声ではない。だけど確かに聞いたことのある声だった。

息を整えながら、記憶を探っていると声の持ち主が誰なのか、少し見当がついた。

だけど、この世界は…。

「もしかして…ミユ?」

その姿は、かつての友人と酷似していた。


はい。いきなりですが新作です。

「混合世界は永遠に」ともずいぶん更新していない「暁月の栄光歌-グローリア-」とも並行で更新していく予定です。

なぜこの作品を書いてみたのかというと、フリーゲームも作っている身として、ラノベとフリーゲームの二つで何か展開することはできないだろうかと思ったからです。「私」の名前は次回明かされますが、とりあえず今回の話で説明したかったのは、

・「私」はある出来事から心が壊れてしまい、本能と理性が残っているということ。

・この場所では、彼女の本能のみがあるからか、動くことすらできなかった彼女が動くことができる。

ということです。

一体これは夢なのか。彼女はなぜここにいるのか。この物語の終着点は…。

まだまだ謎が多いですが、是非、読んでいただけるとありがたいです。

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