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CLEAN MISSION No.2

八ヶ岳ベアです。

やっと2話です、のんびりしすぎました。

何回かうっかり消したり

文字に起こすのがとても大変で(汗)

何がともあれ本編どうぞ~!

暗い部屋

狭いか広いかも分からない空間に光が一つ。

そこに筆を走らす音が部屋に響く。

『カリカリカリカリ』

その音が止むと、呪文のような声が聞こえてくる。


「……イ-ハイカス・クギャ・ツシュダッ……」


しばらくの沈黙の後、ため息が聞こえたと共にまた筆の音が響き始めた。




―――グラシン・トルメキアの逮捕から4日後。彼の悪事と真の姿はセントリアース中に公表され、重い重罰を受ける事となった。


そんな彼を逮捕、もとい確保したクラストはとある場所へ車を走らせていた。

愛用の小型車のラジオからは

昔に流行ったダンス・ミュージックが軽快なリズムを奏でている。


『……はい、ただ今お送りしましたのは、

アース&ワイドファイアーの名曲Octoberでした~。』


彼の愛車は型が古めな為、TVや最新のナビゲーションなどは付いていない。

その代わりにラジオプレイヤーが一つ。これが車内唯一の娯楽であった。


「October(10月)ねぇ……」


今は5月、まだ5ヶ月先の話。

セントリアースには四季があるため

春の陽気から少しづつ夏へ向かう所だ。

もっともクラストは騒がしい曲が好きなので選曲が悪いだの、なぜ5月にOctoberなのかなど、1人でラジオにぶつぶつとツッコミを交えつつ大通りを走る。

セントリアースの中心街へと進みクラストが車を止めたのは巨大な病院だった。


『セントリアース中央総合病院』


セントリアース及びワイドアース一番の規模を誇る病院である。

総合病院の名は伊達でなく

内科、外科は勿論の事、種族特有の病気から、ロボット系の修理まで行なうほど幅が広い。

医師もトップクラスの技術者が揃い、最新設備が月で更新されていく程だ。


そんな所にクラストがやって来た理由は

怪我や病気の診断ではなく仕事である。




昨日―――


クラストは病院にいた。

セントリアース中央総合病院ではなく、

CLEAN MAKERの近くにある『ココロのびょーいん』という名の精神科病院だ。


中型の大きさで、外から見ると白を基調とした外観、まさに病院といった感じだが

その真ん中にドーンと大きく「ココロのびょーいん」とホップな字体がある風変わりな所だ。

もちろん本当に病院であり

子供だけでなく全年齢を対象に、うつ病、精神的な病、PTSDに、簡単な怪我の治療など幅広く診療している。


そんなびょーいん、もとい病院で彼はお見舞いに来た。

格好は私服の革ジャケットにダメージジーンズにピアスとお見舞いにしては派手な格好だ。


「すまない、クラスト・ガバメントだ。アインに会わせてもらいたい」


広めの待合室で受付に声をかけると

ナースはにっこり微笑み、受付内の扉を開けた。

周りの患者は何故風変わりな男が

受付の中に入るのだろうと疑問に思うが、ナースはなんの問題もないといった顔をしているので、そのうち疑問を持つのを止めた。


クラストは奥へと進み

業務員用のエレベーターから地下を選択する。

しばらくして扉が開くと

そこにはホテルのように個室が並ぶ廊下があった。

といっても扉は硬そうな金属で出来ており廊下が長く、さながら監獄の様だ。

クラストはそんな不気味な廊下をしばらく歩き、とある扉の前で足を止めた。


【コンコン】


クラストは硬い金属の扉をノックした。

返事は無いがそのまま入室する。

目前には小さな部屋。

そこには椅子にライト、棚、枯れた花の花瓶、そしてベッドと人。


「よう、アイン」


クラストが声をかける。

だがアインと呼ばれた人間は反応せず目前の白壁を見続けていた。

長い黒髪に真っ白な肌をした姿はクラストと比べると小さく童顔であり不思議な瞳の色が特徴的だが、その眼は虚ろで身体は全く動こうとしなかった。


「花、枯れてるぜ。新しいの持ってきたから変えとくな」


クラストも返事が無いのを知っているのか

持ってきた花束を花瓶に移し替え、ペットボトルから水を足す。


「アインとは久しぶりだけどさ、俺最近髪伸ばしたんだよ。それでこうやって縛っててさ、アインと同じだぜ?」


クラストは得意気に後ろで束ねた銀髪をアインに見せる。

アインも同じく黒髪を後ろで束ねているのだが、彼はそれを見ることは無かった。


「アインが言った通り面白そうだと思うことは大体やったよ。例えばさ、ロック好きなの知ってるだろ?」


クラストはカバンからロックフェスのチケットと写真を出し、アインの目の前にもっていく。


「コレ、前から行きたかったフェスと憧れのコート・ワールの写真!」


そこには獣人ロックメンバー『コート・ワール』とポーズを決めるクラストの姿があった。


「本当にあのライブは良かった!特にラストの咆哮の所とかさ!ダンスミュージックが好きなアインも絶対“コト“ファンに変わるぜ」


いきいきと楽しそうに語るクラスト。

だが相手は何もリアクションをしてはくれない。

クラストは写真とチケットを片付け、アインの隣に座った。


「・・・だいぶ思い出してきた。単独戦闘のコツとか」


クラストが呟く。


「不思議なもんだよ、単独戦が得意だった奴が、一人になった途端弱くなるなんてな」


後ろで束ねた銀髪を握りさらに続ける


「これだって未練がある証拠だよな。

本当、自分だけになって痛感してる」


アインは動かない。


「でも大丈夫だ、アインは俺が絶対助ける…」


「ひゅーっ!かっこいいセリフ聞いちゃった♪」


クラストが振り返るとウサギがいた。

というよりウサギの着ぐるみがいた。


「……聞いてたのか ライトメア。今回はウサギか」


「そーだよーん、ぴょんぴょん可愛いウサギさんだよーん」


ライトメアと言われた着ぐるみはウサギらしくぴょんぴょん跳ねながら答える。


「アンタ、着ぐるみいくつあるのさ……」


「500着は優に超えるよぉ~、一応ここの院長でCLEANMAKERの専属医ですもの~。そして久しぶりね、クーちゃん!」


気が抜ける女性の声でライトメアが答えた。


ライトメア・スカーはこの「ココロのびょーいん」総医院長であり経営から診察監督の全てを担当している。

そしてこの病院の裏はCLEANMAKERの専属病院。

精神科だけでなく怪我、病気等の治療に必要な医療品までほぼ揃えてあり、医師はライトメアと精鋭が担当している。

政府から通常の医療機関は避けろとの命令から生まれた。


「長髪も似合うじゃない~、そういえばクーちゃんは怪我しないから治療したこと一回もないのよね~」


「クソ能力のせいでずっと健康体だ。あとクーちゃんはやめろ」


ところがライトメアはクラストをじっと見つめる


「嘘はいけないよクラちゃん、怪我はないけど健康とは程遠い生活してるでしょ。毎日適当な物しか食べてないでしょ」


「あー、バレたか。あんたの『 心を見透し読める』能力、ホント凄いな」


「うん、患者さんの痛い所とか分かるから医者としてはとってもありがたい能力なのよ。でもでも、この能力のせいで私は生身で患者さんを抱きしめられないの!」


ライトメアはプンプンと言った感じに怒るジェスチャーをしている。


「そうだったっけな。ライトメアの能力対価は即死系統だからタチが悪い」


「えーっとクラちゃんのわかってる範囲だとどんな能力だっけ?」


「……たしか『死なない代わりに他人が死ぬ』だ。

あと変なあだ名を付けるのはやめてくれ」


「んー、なんか引っかかる能力だよねー。

ホントに不死なら肉体の成長とかしなさそうだけど。でも昔より大きくなったし、本当に怪我したことないもんね」


ライトメアはウサギの頭をかしげながら言う。


「おかしいんだよ、機銃の嵐浴びて被弾しても痛いだけで穴は開かないし、殴られてもケロッとしてられる。なにより俺が助けようとした仲間から次々と死んだからな」


暗い表情になったクラストを慰めるようにライトメアは明るいトーンで話す。


「そ、そう考えるとそうなるのね~、でもそうするとアインちゃんはよく生きてたわね」


ライトメアはぴょんぴょん跳ねてアインに近づき頭をくしゃくしゃ撫でながら言う。

もちろん反応は無くアインはされるがままだ。


「アインは強かったからな、心配しなくても良かったんだよ。なんせ……」


【トントンッ】


ノックの音が響き、扉が開く。


「すみません、クラスト様はいらっしゃいますか?」


先ほどの受付ナースだ。


「ああ、いるぞ」


「ホルスター様からお電話です」


「ホルスターが?」


ホルスターという事は仕事関係の話だろう。

クラストは小型電話を受け取り出た。


「ただ今変わりましたっと」


『おう、仕事の話があるから20分で来いや。

3秒遅刻につきメフィの乳は10回揉まれる事になるからそれが嫌な…』


【ピッ】


電話を切る。


「お呼びだとさ、遅刻したら秘書の乳揉み大会だと」


呆れた顔でクラストが言うと

ライトメアはクスクス笑った。


「あの人は相変わらずねぇ!彼にセクハラされない女性は私だけじゃないかしら」


「アンタの場合は『皮膚に触れた奴が死ぬ』からな。ホルスターも言ってたよ『あの着ぐるみの下にあるナイスボディを俺は指を加えてじっくり見ることしか出来ない』ってさ」


ライトメアはクスクス笑うと着ぐるみのままセクシーポーズをとる


「見るだけなら大丈夫だもんね~、クーちゃんは私のないすぼでー見たい?」


「時間ないから遠慮しとく。じゃアイン、ライトメア、行ってくる」


「ふーん、拒否しないのね…あ、いってらっしゃーいっ!」


クラストはライトメアとアインに声をかけるとCLEANMAKERに車を走らせた。


病院の医院長 ライトメア・スカー

職業 医者 (診療科) CLEAN MAKER専属医

担当 精神、メンタル担当医

優劣者能力 心を見透し読めるが人に触れる事は叶わない


人間 中部出身

患者大好きのメンタル面担当医

能力のせいで皮膚が触れるボディタッチが叶わないので

普段は着ぐるみを着ている。着ぐるみの種類は不定期。女性。ナイスボディ。

何かと抱きしめてくるが、

場合によっては人を殺しかねない(いろんな意味で)

能力を活かし世界一の心理カウンセラーとなった。

また治療関係の腕もある。


クラストが大好きなロックバンドについて


獣人バンド『コート・ワール』

ファンネームはコトファン


メインボーカル 銀狼のギャリック

ギター 獅子のキンガー

ベース 白狐のフォッグ

ドラム ゴリラのマックス

その他パーカッションコーラス

ハイエナブラザーズ ハインズとエーナ


コートワールの歴史について


特徴として曲の題名に合わせた激しい演奏とギャリックの熱唱が好評を得ている。

結構前から活動していたが、マックスが加入し作詞を担当してからは爆発的な人気を博した。特に自らの経験を生かしたマックス初作詞の

『☆K★O☆T★O☆W★A☆R★U☆』は、現代社会の断りにくいケースをズバズバ断っていく爽快な歌詞からリリース直後からセントリアース中の社会人に大ヒットした。

その他にも上司達に頭を下げまくる姿をヘッドバンギングに見立てたロック『banging!thebanging!』

残業による眠気と疲れとの戦いを表現した『 Drowsiness Devil』などがヒットしている。

現在も元気に活動しており新作も発表されるらしい。


メンバーについて


ギャリック 28歳

コートワールのリーダーにしてボーカル。

熱く、魂を震わせる歌声と神々しい銀毛はファンを魅了する。

フィニッシュを飾るギャリックの大咆哮は特に盛り上がりを見せる。

性格はカッコ優しい、子供やご婦人達にも大人気。

カッコイイ見た目に反してケーキが好き。


キンガー 28歳

ギャリックの同級生にして相棒。

銀毛に対して金色のたてがみを蓄えている。

メンバーの盛り上げが得意で

激しいギター演奏とギャリックの歌声対決は誰もが熱狂する。

性格はワイルド、獅子らしい性格。

見た目通り肉が好き。生肉より焼いた肉。


フォッグ 25歳

東部イートアース出身の白狐。

その美しさからたまに女性と間違えられるがオスである。

性格はクールタイプ...…を貫きたいのだがよくギャリックの無茶ぶりに翻弄される。

LIVEで女装登場した際はファンが鼻血ならぬ吐血したとか。

そこまで油揚げは好きじゃない。


マックス 37歳

コトファンの会社員系は必ずファンだという。

セントリアースのブラック企業で働いていた。

偶然ストリートライブをしていたコートワールに連れられドラムの楽しさを知りメンバー入り。

性格はお人好し、そのため苦労が絶えない。

久しく忘れていた「楽しい」という感情を思い出させてくれたメンバーに感謝している。

バナナはそこまで好きではないがファンの差し入れは全てバナナである。

もちろん残さず食べる。


ハインズ&エーナ 15&11歳

双子の兄妹、ギャリック達のお手伝いからメンバー入りした。

ハインズがサポートしつつ小さなエーナが一生懸命演奏する姿に応援するファンも多い。

性格はハインズがヤンチャ小僧、エーナはおませ。

コーラスはエーナが上手い。

好きなものは2人ともお肉。牛肉が好きらしい。

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