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2-1:Dark Function


《反逆者達の宇宙船》


 等間隔に列ぶ照明が通路を照らしている。

 通路は真ん中に青い線が引かれており、その線を境界線にするかのように右にスキンヘッドの男が、左に白衣を着た女性がそれぞれ歩いていた。

 男は見た目三十代ほどの彫りの深い顔つきで、その大木を思わせる体躯は軍人のようである。

 対する女性の方は、白衣が似合う細身で運動とは無縁のような体つきをしている。

 顔つきは二十代の半ばのようだが、終始ニコニコ顔をしているため実際はもっと幼く見えてしまう。


「みいぃんなぁで、話ぃ合いなんてぇ、久々だねぇ」


 白衣を着た女性――ドレイル――が相変わらずの変に間延びした声で隣を歩く男に言う。


「そうだな。だが、議題が議題故、皆の意見を一致させておかねばならぬまい」


 スキンヘッドの男――シャーグル――はその容姿に逢った深みのある渋い声で答えた。


「『ティアァ・ブレスゥ』のことだからねぇ。一体ぃ誰がぁ、担当にぃなるのかなぁ?」

「儂にも分からぬ。だが、お主では無いことだけは確実だな」

「うぅぅぅぅ。あたしはぁ、『ティアァ・ブレスゥ』のことがぁ、研究くしたくてぇ、ここにぃ、来たって言うのにぃ」

「ティア・ブレスはここにも、二つあろう。しばらくはその二つで我慢することだな」

「嫌ぁだよぉ。二つたってぇ、『風ぇ』の方は、絶対ぃにぃ、貸してぇくれないんだよぉ。『花ぁ』だけじゃあぁ、つまんないよぉ」


 頬を膨らまし、子供で分かるような不満顔になるドレイル。

 対するシャーグルは相変わらず落ち着き払った表情だ。


「そのような不満は儂に言っても、無意味であろう。儂はティア・ブレスについては関与しておらぬ。文句はティア・ブレスの持ち主に言うのが筋であろう」

「うぅぅぅぅ。シャァーグルゥのぉ、いけずぅ」


 シャーグルの前に来て、その不満顔を見せつけるように背伸びして顔と顔を近づける。

 だが、それでもシャーグルは暖簾を払うようにドレイルを脇に動かすと、とある扉の前にやってきた。

 センサーがシャーグルを確認して、扉が自動で開かれる。

 相変わらず、後ろからドレイルの駄々をこねた声が聞こえるがシャーグルは無視して部屋の中に入った。

 そこは薄暗く中央に円形のテーブルがある部屋だった。

 円形のテーブルには全部で七個の椅子が配置されておりシャーグルは自分の指定席に腰を下ろし、テーブルに設置されたボタンを操作して自分の椅子を照らず光量や椅子の高さを微調整する。


「っよ」


 気がつくとシャーグルと二つ隣に、全身黒のライダー服に包まれた若い男が長い足を机の上で伸ばしながら座っていた。

 見た目の年齢は10代の終わりから20代になったばかりかというぐらいで、その陽気な顔つきは何処か地方の暴走族を思わせる。

 しかし、不思議なのは、シャーグルがこの部屋に入った時には彼の姿が見えなかった事だ。

 薄暗い部屋に黒づくめなのだから見逃す可能性もあるかもしれないが、シャーグルは彼の気配すら感じていなかったのだ。


「机の上に、足を上げるな。そのような態度はほめられたものではないぞ」


 何の前触れもなく現れたライダースーツの彼だというのに、シャーグルは驚きもみせず、当たり前のように注意を促した。

 彼のこのような登場の仕方は、いつもの事なのだ。


「へいへい。マロード姉さんか、ロッグが来たらちゃんと座るさ」


 シャーグルの忠告をライダースーツの男は適当に手を降るだけで受け流す。

 そんな彼の態度にシャーグルはそれ以上何も言わず、両手を組み目を閉じて、彼ら反逆者が全員そろう時を静かに待つのだった。


「もぉぉお。シャーグルぅ、あたしのぉ話ぃは、全然終わってぇないんだ……あれぇ? アーガぁ来てたのぉ?」


 扉が開き、薄暗かった部屋に廊下の光と共に入ってきたのは白衣をはためかせて両腕を腰に当てて体全体で怒りを表情したドレイルだった。

 入ってきた瞬間こそ、怒気を含んだ顔をしていたドレイルだが、しかし、部屋の中にシャーグル以外の人物がいることを知るとその顔は一瞬で笑顔に変わった。


「っち」


 ライダー服の男―彼の名はアーガ―は、ドレイルに聞こえるように大きく舌打ちしたのだが、そんなことドレイルには何の効果も示さなかった。ドレイルは笑顔でアーガの元へ歩み寄ってくる。


「アーガぁ、そんな足をぉテーブルぅの上に乗せてるとぉ、怒られるよぉ」


 ちょうど、シャーグルとアーガの間に腰掛けたドレイルがまるでお姉さんのように言うが、アーガはこの女が苦手だった。

 彼女の言葉には取り合わず、完全に無視を決め込んでいる。


「あぁあ、アーガぁまでぇ、あたしぃを無視するぅ」


 ドレイルがアーガを思いっきり指さしながら、不満を述べるのと、再度、部屋の扉が開き新たな反逆者が入ってくるのは、ほぼ同時だった。

 新たな反逆者二人。

 一人はどう見ても小学生ほどに見えない子供で、もう一方は顔から全身を覆うローブに身を包んでいた。

 一瞬、場の空気が凍ったような何ともいない微妙な雰囲気なったが、少女は気にせず自分に与えられた椅子に座り、ローブを着た女性も少女に習う。

 座席はシャーグルを中心として、ドレイルとアーガの反対側に少女とローブを着た女性は座った。


「人形使いと操り人形の登場か」


 明らかに侮蔑の感情を込めた声で、アーガが二人の反逆者を揶揄する。

 少女とローブの女性はそんなことはなれているとばかりに何の反応も示さないが、そんなアーガに非難の声をあげたのはまたしてもドレイルだった。


「違うよぉ、アーガぁ、ちゃんとぉ、ルイぃとカザミスぅって名前で呼んでぇあげなちゃぁ、駄目だよぉ」


 人形使いことルイが少女の方で、操り人形ことカザミスがローブを着た女性の方だ。

 アーガがそのようにルイとカザミスを揶揄するのは彼女たちの能力に由来してのことであり、その能力故、彼女たちは反逆者の中でも浮いており、もっと正直に言うなれば邪険に扱われているのだ。

 唯一、彼女たちに対して好意的に接してくれるドレイルでさえ、その好意はあくまで彼女たちに対して研究対象としての興味があるからにすぎない。

 自分たちがこの場所でも、いかに邪魔な存在であるかはルイ自身がとてもよく分かっていたから、あえて何も反論をしなかったが、それが一層アーガの気分を害する。

 ルイとカザミスの登場で部屋は静寂に支配された。

 シャーグルは相変わらず、腕を組んだ状態で目を閉じているし、アーガも机の上に両足を乗せた状態でふんぞり返っている。

 ドレイルはというと、誰も自分の相手をしてくれないことに腹をかいてあさっての方向を向いている。

 ルイはまるでお人形であるかのようにぴくりとも動かず、その隣のカザミスは目深にかぶっていたローブの頭巾を外して、褐色の肌をさらけ出した以外はコレといった動きを示していない。

 そんな静寂が何分ほど続いたのだろうか。

 またしても、扉は開き、最後の反逆者が部屋に入ってきた。


「アーガ。ロッグ様の前ですわ、その足をおろしなさい」


 まず最初に入ってきたのは、皺一つ無いスーツに身を包んだ女性だった。

 凛とした目つきと縁なし眼鏡が印象的な女性で、何処かの会社で秘書として働いていても何ら違和感を感じさせないだろう。


「あ、やべえ」


 先ほどまで、シャーグルやドレイルの忠告をさんざん無視してきたアーガはその秘書風の女性の言うことには素直に従い、慌てて机から脚をおろした。

 彼女の名はマロード。

 この反逆者の中において二番目の地位を持っており、調査や事務などのまさしく秘書のような仕事を全般的に請け負っている。

 そして、彼女から遅れること数歩あとに、彼が部屋に入ってきた。

 それだけで場の空気が張りつめた。

 見た目は何処にでもいそうな青年だ。

 背格好だけを見るとそこら辺のサラリーマンと対して変わりがないだろうが、彼とそこら辺の男性とを多きく隔てているのは、その人間から温かみをすべて消し去ったかのような顔つきにあった。

 肌の色は雪のように白く、だがその顔つきには病人様な弱々しさはなく、逆に氷河のような触った者をそれだけで傷つけてしまいそうな怜悧だけが宿っていた。


「みんな、そろっているか」


 ロッグは、感情などという無駄な物をすべてそり落としたような冷淡な声でそれだけ呟くと、アーガの隣、シャーグルとルイと対峙する場所に座った。彼の登場によってこの場の空気は冷え切った。

 誰もが、遊びとか冗談とか、そんな余計な感情を切り捨て、自らの使命のために静かに、会合が始まる瞬間を待った。

 ロッグが席に座るのを見届けると、彼に従うように入ってきたマロードも、ロッグとカザミスの間、最後の空席に腰を落とすと、その優雅ささえ漂う黒髪を一度掻き上げ、ロッグの変わりに宣言した。


「では、始めすわ」


 マロードがテーブルに設置されたキーをいくつか操作すると、七人の反逆者の前にそれぞれ画面が現れた。

 画面が写しているのは、反逆者が『プラント・ゼロ』を脱出するときの映像で、彼ら『プラント・ゼロ』に置き去りにした同士と戦う二人のティア・ブレスの戦士が映し出されていた。


「皆は既に聞いているでしょうが、確認ために現状を説明します。まず、我々の予想通り、ティア・ブレスを持った戦士が、我々を追ってこの楽園に進入してまいりました。『プラント・ゼロ』からの脱出の際、我々の神聖な行為の邪魔をしたのは、『水』と『光』のティア・ブレスで、この楽園に我々を追ってきたのも、この二人です」


 反逆者達の画面に、晴菜と明里の顔写真が映し出される。


「そして、ティア・ブレスの戦士達は『水』、『光』以外にも彼女たちが所有しており、装着者が不在だった『雷』のティア・ブレスもこの楽園に持ち込んできた。ここまでは、我々の予想の範疇でした。しかし、予想外の事態が起きてしまいました。この楽園を汚した罪深き原住民が『雷』の装着者へと選ばれてしまったのです」


 そして、画面に映し出されていた二人のティア・ブレスの戦士達の横に空白が現れ、顔写真の変わりに『雷』のティア・ブレスが埋め込まれる。


「マロード姉さん、その原住民の顔は分からないのか?」

「ええ。シャーグルが原住民の捕獲中に出会った少女が、偶然にも『雷』の戦士へとなったようですから、画像はありません。ですが、シャーグルの報告によると、『雷』の戦士は、この星の原住民の年齢で10代後半という事ですわ」

「ってことはなんだ、そいつは、若造か? マロード姉さん」

「女性ですが、恐らく、戦闘の経験などはほとんど無いと見て、よろしいでしょう。この星で言う所の日本という場所にいることからしても、過去に戦争などを経験したとも考えにくいですわ」

「でもぉ~、あいつらも、『雷ぃのティア・ブレスゥ』わざわざぁ、ここまで持って来るなんてぇ、馬鹿だよねぇ」


 アーガとマロードの会話の中に、ドレイルのいつもの間延びした口調が割り込んできた。

 彼女の場合、どんなにまじめに喋ろうとしてもこんな間延びした声になってしまう。

 その点は反逆者の面々も承知済みで、特に気にしていない。


「馬鹿とはどういう事ですか、ドレイル」

「だってさぁ、マロォードォ。五個の『ティア・ブレスゥ』が、ぜん~ぶぅ、あたし達ぃの手に入ったらぁ、『闇ぃ』の力ぁが、あたしの物になる危険性がぁ、あるんだよぉ。それなのにぃ、わざわざぁ、『プラントォ・ゼェロォ』から『雷ぃのティア・ブレスゥ』持って来たんだからぁ、馬鹿だよぉ」

「ドレイル。あなたの『闇』の力ではありません。私たちの『闇』の力ですわ。その点、間違えないように」

「はぁ~い」


 つまらなそうに手を挙げて、マロードからの訂正をドレイルは受け入れる。

 確かに、ドレイルの言うとおりだった。

 反逆者達が『プラント・ゼロ』を脱出する際には、まだ『雷のティア・ブレス』の装着者は現れてこなった。

 そのため、彼女たちはこの楽園の原住民の中から『雷のティア・ブレス』の装着者を見つけ出さざるをえなかった。

 結果論から言えば、無事に『雷のティア・ブレス』の装着者を見つけ出すことが出来た。 しかし、もし見つけ出せず、『水』と『光』のティア・ブレスの戦士が反逆者に負けた場合、『五つのティア・ブレス』がすべて、反逆者の手に落ちることになる。

 ティア・ブレスが五つそろったとき、現れる『闇』の力がいかほどな物か、『プラント・ゼロ』の住民が知らぬ訳がない

 。現に、装着者の見つかっていないティア・ブレスは星を挙げての最重要管理品であり、反逆者の全力を持ってしても、『花』のティア・ブレスを奪い取るだけで手一杯だった。

 それを考えれば、確かに『雷のティア・ブレス』をこの星に持ち込んだのは、浅はかとも思えてくる。


「所詮は、よその星という訳か」


 シャーグルが嘲るような口調で発言した。


「ええ、おそらくはそうなのでしょうね」


 マロードもシャーグルの意見に賛同して頷きを返すが、これだけでは他の反逆者には何のことだがいまいち分からない。

 案の定、アーガとドレイルが不平の声を挙げた。


「シャーグルに、マロード姉さん。ちょっと待って、もう少し分かりやすく言ってくれ」

「そおだよぉ、ぁたしもぉ、わからないぃよぉ」


 彼らの疑問に答えたのは、マロードではなく、シャーグルの方だった。


「つまりだ。『闇』の力がいかほどに危険な物であるかは、皆存知ておろう。万が一にもでも生み出せば、その星を消滅させることも可能な力。そのような物は、自分の星で厳重に管理するよりも、他の星に持ち去った方が、面倒が少ないということだ」

「『プラント・ゼロ』からしてみれば、自分たちの星が消えるのに比べたら、この地球が消滅する方がマシだと言うことですわ。一度、『闇』の力を使い、星を滅ぼせば、しばらくは『闇』の力は使えませんからね」


 そう言いながらも、マロードはキーを操作して、反逆者達の前に一つの映像を映し出した。

 それは、『プラント・ゼロ』に住む者達なら誰しもが知っている悪夢の映像だ。

 かつて、一人の科学者と彼を支援した狂気の姫によって、生み出された『闇の力』。

 それにより、一つの星が塵へと帰する瞬間を捕らえた映像だった。

 画面に映し出された映像に、反逆者は言葉を失った。

 彼らから見ても、星が一つ数秒で消え去る様は、戦慄を覚えざるを得ない。


「皆、勘違いするな。俺たちの目的は、この楽園から原住民を消し去り、南極の氷をすべてとかし、この楽園を水で覆いつくし、地上という汚れた部位をこの楽園から消し、この楽園を真の姿へと戻すことだ。『闇の力』など、我々にとっても邪魔な存在でしかない」


 凍えきった静寂を打ち破ったのは皮肉にも、反逆者の中でもっとも、怜悧な声だった。


「ロッグ様……」

「マロード、話し合いは終わりだ。これからの計画を皆に伝えろ」

「はい、ロッグ様」


 ロッグの命令に、マロードはまたしても画面を切り替えた。

 次に画面に現れたのは、表だった。

 反逆者個々人の名前と、その横に彼らがこの楽園でなすべき使命が記されている。


「では、これからの皆様にやって頂くことをお伝えしますわ。まず、シャーグルはこの星の原住民の捕獲に専念して下さい。

 アーガの方は、逆に原住民の捕獲から手を引き、捕らえた原住民の拷問に専念して下さい。

 それと、ドレイル。あなた『花のティア・ブレス』の研究をするのは自由ですが、こちらから頼んでいる研究については成果がさほど出ていません。これからもいくつかあなたに作って欲しい物が多々あります。リストは後ほどお渡し致しますが、個人の趣味はほどほどにしておいて下さい。

 そして、最後に、ルイとカザミス。あなたがには、現状特にこれといった命令は出ていません。ロッグ様、もしくはわたしの方から別命あるまでは、基本的に待機をお願いしますわ」


 この会議中、何の発言もしていないルイとカザミス。

 彼女達は自分らの名前が呼ばれたというのに「はい」とも言わず、静かに首を縦に振るだけだった。


「マロード姉さん、ティア・ブレスは放置するつもりなのか?」

「はい。それがロッグ様のご意志です」

「どうして。あいつらをのさばらしておいて何の利点があるっていうんだ?」

「おそらくは何の利点も無かろう。だが、野放しにしておいても、所詮は三匹の犬。こちらが警戒していれば、さほど害も無かろう」


 シャーグルが武将のような、低くよく響く声でマロードの変わりに答える。


「だが、それでも、生かしておく理由は何処にも無いだろうが?」

「アーガ、ロッグ様は待っておいでなのですよ。我々、反逆者に新たな戦力が加わるその時を。そうなれば、今の一対三が、二対三とほぼ互角になり得る。そのようになれば、我々が手を汚すことなく、ティア・ブレス同士の醜い争いで邪魔者は消え去る」


 まるで、禁忌を犯す愚か者を嘲るようにマロードは眼鏡のフレームを軽く押し上げた。

 今、この場に、ティア・ブレスの装着者がいるというのも全く気にしていない。

 そして、自分が侮辱されたかのような物言いに対しても『風』の戦士は何も反論しなかった。

 そんな張り合いのないローブ姿の女性を無視して、マロードはこの議会を締めにかかった。


「では、他に質問はありませんか? 無ければ解散にいたしますが」


 反逆者達はもう何も言わなかった。

 マロードは最後のキー操作を行い、反逆者達の前から画面を消して、わざと落としていた照明の光量も上げた。

 話し合いは終わったが、まだ誰も席を立たない。

 やがて、マロードがすべての作業を終えると「皆さん、お待たせいましたわ」と謝罪の言葉を述べ、立ち上がった。

 それにならい、シャーグル、アーガ、ドレイル、ルイ、カザミスも立ち上がった。

 反逆者が全員立ち上がったのを確認すると、最後にゆっくりとした動作でロッグが立ち上がり、おもむろに右手を目の高さまで持ち上げた。

 他の反逆者達もそれに習いロッグと同じポーズを取る。

 コレは儀式だ。

 反逆者。

 『プラント・ゼロ』のはじかれ者達の集まりである彼らの結束を確かめるための儀式にすぎない。


「メイク ザ ヘブン」


 ロッグの言葉を残りの反逆者が復唱して、同時に皆、右手の拳をきつく―今の言葉を自分に刻み込むように―握りしめた。


「メイク ザ ヘブン」



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