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英雄双曲  作者: 時雨
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英雄探し

 異色の色をした転校生は突然やってきた。

何かを背負うには幼い年齢にありながら、彼は深い闇へと身を置いていた。

その怪しい彼に、僕は何故か興味を持ったんだ。

 

 肌寒い季節の秋。

セーターを着込んだ教室内で、禿げた担任が叫んだ。

「転校生を紹介する。」

期待と不安の入り混じった顔で僕達は扉をみつめる。

強くも弱くも無い風が、外の木々を騒がせる。

いつもは騒がしい教室内は、まるで通夜の様に静まりかえっていた。

そして、教室の扉が静かに開く。

目暮(メグレ) (シン)君だ。仲良くしてもらえよ!」

自分の手柄だと言いたい担任は腰に手を置いた。

紹介された転校生ー目暮は静かな声で呟いた。

「…仲良くなど、しない。」

僕だけかな?と思った。

誰も反応しないからだ。!!

転校生の台詞としてはおかしい。

だがそこは高校生。

お気楽、単細胞生物。

気だるさと熱気にまみれ、教室は一気に室温を上昇させた。

休み時間になってもやまない女子の質問攻めに、目暮ではなく僕達が疲れた。

机にうつ伏せ、うなだれてみる。

「みーくん!大丈夫?」

幼馴染の女子が僕の肩を優しく叩いてくれた。

「…アベル…僕は高校生ライフをエンジョイする自信がなくなったよ。」

落ちる僕を、影が包む。

「あべる?外人がこのクラスにいるのか?」

転校生目暮は集る女子達を巧みに交わし、僕たちを見下ろした。

「あ、アベルはこの子のことだよ~。」

逃げられても負けない女子達は目暮の背後から僕の幼馴染を指差した。

「…黒目、黒髪。

これのどこが外人だ?」

僕の幼馴染を”これ”とモノ呼ばわりする目暮。

「アベル・ゴールドって言うんだよ。」

余計なことをほざくクラスメイトに虫唾むしずが走る。

「…よ、よろしくね?」

仕方なくアベルは疑問符を並べて席を立つ。

交わされた握手に溜息が出る。

「…で?あんたが彼氏?」

目暮は僕を見下ろした。

猫背の僕の背中が正される瞬間。

目と目が合い俯く。

「名前は?」

目暮は自信があるらしい。

僕を見て軽く笑う。

桜花オウカ 美紅流ミクル



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