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瑠実、泊まりに来る(桂の視点)

2024/11/22(金)PM7:00


 学芸会のリハーサル前日の夜。俺は職場の残業を2時間終えて、クタクタの中車を走らせて家に帰るとなんと!、瑠実が「お帰り桂兄!」と出迎えてくれた。


「る、瑠実!。どうしてここに?」と驚きながら聞くと「何言うてんねん?。仕事で疲れてる旦那様を迎えるのは当然やろ!。てかもうすぐ夕飯が出来るさかい、一緒に食べようや。ご両親は先に頂いたそうやし。安心せえ、中間テストは今日終わったし、ウチの両親には了解得てるさかい」


 瑠実はそう言うとすぐさま台所に俺を連れて行き、出来立てで美味しそうな夕飯を一緒に食べた。ただ単に美味しいだけでなく、心も温まって行った。これからはこれが普通になるかと想うと、とても感慨深くなって来た。完食後、俺は瑠実と洗い物を済ませた、そして。


「桂兄、お風呂に入って来たらどや?。仕事で汗と埃まみれやろし」と言うとすかさず「一緒に入ろう♪」と不意にそう言った。


「何言うてんねん!、ご両親も居るんやぞ?」と咄嗟にそう返す瑠実を尻目に俺は「父さん母さん、瑠実と2人でお風呂入って来ても良い?」と聞くと両親共に呆れながら…。


「良いけど、あんまり羽目外し過ぎるなよ」と父さんが言うとすぐさま母さんが「風呂場でやらないでよ、掃除が大変だから。それと、今はまだ避妊しなさい、せめて瑠実ちゃんが高校卒業する迄は!」と釘を刺された。そして一緒にお風呂で体を洗い、そして俺の部屋で…。


 事後、瑠実が「随分激しかったな~、仕事で疲れてるんちゃうんかい?」との問いに俺は「デザートは別腹だろ?、あれと同じ理屈だ」と言うと「何やねんそれ…。」と半ば呆れてる瑠実に、こう切り出す。


「そうだ!。もし良かったら瑠実の生い立ちや、あびる達との馴れ初めを聞かせてくれないか?」と聞くと瑠実は静かに語り始めた。


「ウチは生まれも育ちも大阪府坂石市やねん。小学校ん時は割りと普通の女子で、中学時代はバスケ部だったんや。一生懸命頑張ったんやけど、才能無いせいか?、思ったより上達せず悩んでたんや。そんな中、中2の冬休み、例のパンデミックで外出も碌に出けへんから色んなMVを観てたら、●ルクのMVを観て衝撃受けて、何の楽器やるか考えた結果、ドラムやろう思ったねん」


「よくドラムやろうと思ったな!。お前なら可愛くて声も高いからボーカルも行けそうなモンだが…。」 と俺が言うと「何言うてんねん!」と瑠実が照れながらそう返しつつ、続ける。


「ドラムに決めた理由は、他の楽器は皆やりたがりそうやからや。ドラムなら必要とされる確率高そうやったからや」と言うと俺は「確かに、ドラムはセッティングが大変だし、場所取るからなあ…。」と言うと、瑠実が更に続ける。


「それからすぐお年玉もろたからドラムセット買って、バスケ部の練習の傍ら、ドラムも練習し出すと徐々に上達してって段々おもろくなって来て、1曲通して叩けるようになるとますます楽しくなって来たんや。せやけど中3の夏にバスケ部を引退してすぐに受験勉強せなあかんようになって、ドラム練習と同時並行してたんや、そんな中…。」と表情を曇らせつつ、更に続ける。


「中3の2月1日にオトンが会社から『再来月から宮城県米登市に転勤や』と言われたそうで、ウチは高校入試の願書を、瑠菜姉は大学入試の願書を宮城の学校に慌てて書き換えてそれぞれ受験し、何とか合格出来て、高校生活が始まったわ。


  瑠実の高校時代(瑠実の視点)2022/4/5(火)


「大阪の坂石中ってトコから来ました、桑島瑠実と申します。中学時代はバスケ部でした。趣味は音楽鑑賞で、ドラムも嗜んでます、宜しくお願いします」と自己紹介を終えた後。


「岩越中出身の鶴牧蒼絵と申します、中学時代は空手部でした。趣味は音楽鑑賞で、ギターも嗜んでます、宜しくお願いします」と偉いベッピンさんがそう自己紹介した。休憩時間になり、ウチは速攻で蒼絵姉に声を掛けた、あんな美人、引く手数多やろからさっさと声掛けへんと!、と思て。


「鶴牧さんってギターやってるんやろ、どんな音楽が好きなん?」


「桑島さんって言ったっけ、確かドラムやってるって言う。アタシはロックが好きで、特に●ルクが好きなんだ」


「ウチもラ●ク好きやねん!。ちなみにドラム歴は約1年3カ月やねん」


「アタシもギター歴それ位だ!。なあ、今度セッションしないか?」と蒼絵姉が言うとウチも「やろうや、ウチら絶対合う思うねん!」


 そうしてウチは、当時岩越町に住んでた蒼絵姉に自宅に招かれ、そこであびる姉とも出会い「あーしも付いてく!」と半ば強引に付いて来おった…。そしてセッションで意気投合したウチらは一緒にバンドを組む事になったんや。翌日の昼休み…。


「この間のセッション最高やったな~!」と蒼絵姉に言うと、あびる姉の方を向きながら「どした姉貴?」と聞いとったからウチも同じ方向を見ると「何かあっちから声聞こえて来ない?」と言ってあびる姉が指差す方を見ると、明らかにヤバそうな場面に遭遇したんや。


 そこには女子1人を、女子4人と男子1人で囲んでいじめとるように見えた。その中の女子Aが「何が『マリみた』だ、気色悪いな梨木!」と言うとすぐさま女子Bが「んだぞおめえ!、高校生にもなって」と言うと、梨木さんと言う女子が震えながらこう切り出す。


「どうしてわたくしがこんな目に遭わなければいけませんの?」との問いに女子Cが「おめえがキモイからだよ、その言葉使いも!」と言うと、女子Dも間髪入れず「そうだ。おめえのレズを直してやる。菅原、こいつとヤっちゃって。あたしは動画撮るから皆は梨木の事押さえて」と言うと菅原とか言うモブ男子が「任せろ!」と言いながら梨木さんを犯そうとしていた。


「やばいでこれ、先生に言った方が…、って2人共どこ行くねん!?」と言うや否やあいつらに向かって行きおった、この美人姉妹。


「嫌ですわ、離して頂きたいですわ~!」と必死に抵抗する梨木さんに菅原は「うるせえ、大人しくしてろこのレズ女!」と怒鳴ると梨木さんは「レズじゃありませんわ、百合ですわ!」と返した。


(てか今はそれより問題視すべき事があるやろ?)とウチが心の中でツッコんでる間に、あびる姉が菅原に不意打ちでかかと落としを食らわせて気絶させた。


 女子Aが「菅原!」と言うとすぐさま女子Bが「誰だおめえ?、つか不意打ちなんて卑怯だぞ!」と言う彼女らに蒼絵姉が「集団で女子1人を寄ってたかっていじめる奴等に卑怯なんて言われる筋合いねえんだけど~…。」と言い返した。更にあびる姉が。


「言っとくけどあーし、中学ん時空手部主将で、こっちの蒼っちは副主将だから。今度その子いじめたらあんたら皆纏めてサンドバッグにするよ。あーしら部員達と早速仲良くさせて貰ってるから。それにウチの高校、空手強豪校だから皆、下手な経験者より強いよ~♪」と言うといじめっ子達は気絶してる菅原を起こしてそそくさと退散した…。


 彼女達が去った後、梨木さんが「た、助けて頂いて有り難う御座います。お陰で何とか操を守り通せましたわ、何てお礼を言えば良いか…。」と言うとあびる姉が「お礼なら、その大きなおっぱいを堪能させて頂きましょうかー!」と梨木さんに襲い掛かろうとした、何してんねんあびる姉!


 梨木さんが「ひいーっ!」と驚いてると、蒼絵姉が咄嗟に「ボ、ボーカルやってくれ!。丁度アタシらバンド組もうと想ってたトコなんだ。ちなみにこっちはドラムの桑島瑠実って言うんだ」と言うとあびる姉が。


「待って、ベースにして。あーしボーカルに心当たりあるから」と言うと梨木さんが「ベースってあの楽器の?」と戸惑い出した。


「そんな安直に決めてもええんか?」と聞くと蒼絵姉が「こうでもしないとあの子、姉貴の餌食になっちまう。ああ見えて姉貴も百合属性なんだよ実は」と衝撃の事実を知ったわ。


 梨木さんが少し考えてから「解りました。わたくし、皆様の恩に報いる為に、今日からベースを始めさせて頂きますわ。自己紹介が遅れました。わたくし、梨木 初と申します。趣味はマリみたですわ~♪」とドヤ顔でそう言い切った、何でこの子がいじめられるか解った気がするわ…。てかこの子、ウチと身長同じ位やわ。


2022/4/10(日)午前10時頃


 この日初姉と共に、あびる姉の部屋に集まった。あれから初姉はお年玉を崩して初心者用のベースを買ったそうで、それを見せつつこう切り出す。


「今日は以前、あびるお姉様が仰ってたボーカルが来るんですわよね?」との問いにあびる姉が「そーだよ。もうそろそろ来る筈だけど」と言い終えるや否や、(ピンポーン)とインターホンが鳴った。


 蒼絵姉が「来たか?」と言うとあびる姉が「あーしが出迎える」と言って部屋を出て、少し経って連れて来て「皆、ボーカル連れて来たよ。とりま自己紹介して」と促された少女はなんと?、所謂ツインドリルでゴスロリの格好をしとった!。身長165cmのその少女が戸惑いながらあびる姉にこう問い出す。


「ほ、本当にあの自己紹介を言うの?」と言うとあびる姉が「嫌ならMyTubeで1年前にリングランサーのイベントに出た時の自己紹介を皆に見せるから同じだよ?」と言いながらその動画をウチらに見せて来た。


 そこには同じ格好をしたその少女が「くくく、我が名は折北ざくろ。又の名を『ザクロード』、レイガルマ帝国の王女だ。ぐわあっはっはっはっはっは!」とそのキャラクターに成り切っとるざくろ姉がおった。(てかもう動画見せとるやん!)とツッコもうとした時、ざくろ姉がその動画同様に自己紹介させられ、ウチら3人は呆気に取られた…。


「まさかこの子がウチらのバンドのボーカルとか言うんじゃ…。」とウチが聞くと、あびる姉は「そだよ。この間の音楽の授業で皆の前で1人ずつ歌ったんだけど、ざくっちが1番声が高くて、低い声も普通の女子並みに出るし、おまけにこんなに美少女だよ、歌も普通に上手いし。正にボーカルにピッタリじゃね?、あと色々面白いし」と言うとざくろ姉が「まだ『やる』と決めた訳じゃーー」


「んじゃこの『ザクロード』の姿とMyTubeの動画、学校中に言いふらしてやる!」とあびる姉がスマホ内の画像を見せると蒼絵姉が「何だその画像、いつ撮った?」と聞くと、あびる姉が「昨日の朝、この格好で歩いてるトコを、あーしが朝ランニングしてた時に偶然見かけたから速攻で撮ったんだ。そしてリングランサーの事を調べたら、さっきの動画に辿り着いたって訳よ」と楽しそうにそう言った。


「昨日仙台でリングランサーのイベントがあって、その為の正装なのだ!」とざくろ姉が言うと、あびる姉が「こればら撒いたら、いじめられるかもよ、下手したらそこの『ういっち』みたいな目に遭うかも?」と言った。ざくろ姉が「どういう事だ?」との問いに、あびる姉があの時の出来事を説明すると。


「そんな事があったのか?。悪魔にも劣る外道共め、我が闇魔法で地獄の業火を味合わせてやりたいわ!」と怒りを露わにしていた。一呼吸置いて初姉が。


「ざくろお姉様。もし何処にも所属してないのであれば、わたくし達とバンド活動なさいませんか?、自分の身を守る為にも…。」と訴え掛けるとあびる姉が「腕っぷしなら任せてよ、あーしも蒼っちも強いんだよ~♪」と言うと、根負けしたのか、ざくろ姉が「解った、我と同盟を結ぼう…。」と言うとあびる姉が大喜びしながら「ありがと~!、これでメンバー揃ったね?。ちなみにバンド名は『Berryen』ね!」と言った。


「バンド名迄考えてたんかい!」とウチが思わずツッコむと初姉が「どういう意味ですの?」と聞き返した。


「皆自分の名前に何かしらベリーに関するワードが入ってるから」とあびる姉がそう答えると、初姉が「凄いですわあびるお姉様、とても素敵なお名前と由来ですわ!」と言うと、蒼絵姉が更に「こういうのを考えるのは得意なんだよ姉貴は…。」と若干呆れ顔やった…。


   そして現在(桂の視点)


「それから毎年文化祭に出たりライブハウスや地元のイベントとかに出たりもしたんやけど、どれもパッとせえへん結果が続き、蒼絵姉がギターの弦買う為に楽器屋に行ったら、メン募の掲示板に桂兄の貼り紙があったから応募して桂兄と出会い、今に至るっちゅう事やねん…。」


「そういう事だったのか…。」と俺が言うと瑠実が「今度は桂兄の半生を聞かせてくれへんか!」と目を輝かせて聞いて来た。


「生憎、お前が期待するような人生じゃなかったぞ。それでも聞きたいか?」と聞き返すと瑠実が「全然構へん!」と言い出したから、俺は自分の半生を要点を纏めて簡潔に語った。({ep2:桂のこれ迄の人生}を参照)


 俺が自分の半生を一通り語り終えると「そうやったんや、桂兄も色々苦労して来たんやな~…。」と言って優しく抱きしめると、俺も『回復』し、そのまま『2回戦』に突入し、今迄女性とそういう事が出来なかった分を取り戻すかのように、瑠実と交わった…。

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