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明未、レコーディングを見学(桂の視点)

2024/11/4(月)PM12:50


 俺は一昨日、明未の歌詞を描いたメモ帳をスマホで写メを撮り、帰宅後速攻で智枝ちゃんの曲を作り終え、明未の詞に曲を当て編曲を施し、完成させた。そしてレコーディング当日。氷の里ホールに予定より10分程早く着いたので、車から降りて明未達を待った。約5分後、「こんにちわ、桂お兄ちゃん」と言いながら明未が現れた。


「おお明未、あびる達と一緒に来たんだ」


「うん…、あの人達と一緒に行きたくないから書き置きして来た。ごめんね、あびるお姉ちゃん」


「気にしなくても良いよ、2人も3人も大して変わんないから」と言い終わるや否や、向こうから「蒼絵姉~!」と少女の声がした。蒼絵がその少女をこっちに呼び寄せた。


「ラッズ、紹介すっぞ。こいつがアタシらのバンド『Berryen』のドラマーだ」


「初めまして、ウチは『桑島瑠実くわしまるみ』言うねん。地元が大阪やから関西弁使ってんねん。オトンの仕事の都合で2年半くらい前からこっちに住んでんねん。話は蒼絵姉から聞いてるさかい、2人共タメ口でええで。宜しくな桂兄、明未姉!」


 とポニーテールをシュシュで縛った少女が、気さくな感じで大阪弁を喋りながら自己紹介してくれた。身長は160後半、と言ったトコか。Tシャツにジーンズで、胸は蒼絵よりやや大きめだ、Eカップ位かな?。


 俺が「こちらこそ宜しく、瑠実」と言った後、明未も続けて「よ、宜しく。瑠実お姉ちゃん」と言い終わるや否や、向こうから「蒼絵お姉様~!」と、別の少女の声がした。蒼絵がその少女もこっちに呼び寄せ、「紹介すっぞ。こいつはウチのベーシストだ」と軽く紹介した。


「ごきげんよう。わたくし『梨木初なしきうい』と申しますわ。好きなアニメは『マリア様みたいに』ですわ。わたくしにも、所謂『タメ口』で大丈夫ですわ。宜しくお願い致しますわ、桂お兄様、明未お姉様」


 とオールバックのロングヘアーをカチューシャで纏めた少女が、深夜アニメに出て来そうなお嬢様の口調で自己紹介してくれた。身長は瑠実と同じ位、と言ったトコか。クラシカルブラウスにロングフレアスカートで、胸はあびるよりやや小さめだ、Fカップ位かな?。


 俺が「あ、ああ。宜しく、初…。」と若干戸惑いながらそう返すと、明未も若干戸惑いながら「よ、宜しく、初お姉ちゃん。ていうか何で年下のわたしがタメ口なのに初お姉ちゃんが敬語なの?。あと『お姉様』って…。」


「気にするな、こういう奴だから…。」と蒼絵が言うと、「待たせたな、アイオリアよ!」と又別の少女の声がした。蒼絵がその少女もこっちに呼び寄せ、「紹介すっぞ。こいつがウチのボーカルだ」と、又しても軽く紹介した。


「ククク。我はBerryenの歌姫にしてレイガルマ帝国の女王『折北おりきたざくろ』、又の名を『ザクロード』。好きなゲームは『リングランサーⅠ&Ⅱ』だ。覚えておくが良いメイミス、そしてヤミノよ!」


 とツインテールを縦ロール、所謂ツインドリルにした少女が、深夜アニメでたまに登場する中二病キャラのような口調で自己紹介してくれた。それによく見ると、右目が青く、左目は赤い。恐らくカラーコンタクトをしてるのだろう…。身長は165cm位で、ゴシックロリータのドレスを着ていた、胸は瑠実と同じ位だ。


 明未が「よ、よく解んないけど宜しく。ざくろお姉ちゃん…。」と明らかに戸惑った感じで返すと俺も。


「よ、宜しくざくろ。それより、何で俺が『ヤミノ』なんだ?」と俺が聞くと、ざくろが当然のように「山野だからヤミノで良かろう!」と切り返して来た。俺は蒼絵にそっと近付きながら「蒼絵、本当に大丈夫なのか?、色んな意味で…。」と聞くと、蒼絵が。


「心配な気持ちはよ~く解る。だが安心しろ、こう見えて歌は上手いし、音域も広いから曲作り易いぞ」と言い終わるや否や、向こうから国太君達が「よおヅラ男、来てやったぞ~!」と言いながら少し遅れて現れた。


「来やがったか…。」と小声で言う蒼絵を他所に、智枝ちゃんが早速「何だこいつ、変な髪型しやがって、だっせー!」と、ざくろを指差しながら笑って来た。それを見て俺は(お前のその、チョンマゲみたいな髪型も充分変だけどな…。)と言いたいのをグッと堪えた…。


「ぐぬぬ…。」と怒りを露わにしているざくろを、蒼絵が「ザック、今は堪えてくれ。頼む!」と宥めるも、智枝ちゃんは更に続ける。


「そいつらが『アホエ』のバンドメンバーか、『あひる』?」


「誰がアホエだ!。つか、あひるって姉貴の事か?」と蒼絵が怒り出すとあびるが「まあまあまあ」と宥めた。蒼絵が一旦落ち着いて「で、だったら何だってんだ?」と言うと、智枝ちゃんが何の悪びれも無く「おめえら学芸会当日、あだしのバックバンドやれ、勿論ヅラ男もだ!」と言い出しやがった。


「嫌や!、何でウチらがそんな事せなあかんねん?」と瑠実が即答した、俺もすぐさま。「それこそお友達に頼めば良いだろ?、沢山要るみたいだし」と言うと智枝ちゃんが。


「あだしの友達、ギター、ベース、ドラム弾ける人いねえんだよ。それにどうせだからバンドでやりてえし」と言うと、国太君がすかさず。


「つかてめえ、何口答えしてやがんだ、ヅラ男のくせによお!、ああ?」と詰め寄って来た。


「お、俺は良いけど、他のメンバーが何て言うか…。」と言うと智枝ちゃんがすぐさま。


「もしやんねえんなら、智加がお父さんに何発ブン殴られるかな~?」と悪そうな顔でニヤニヤしながらそう言った。


「お願い皆。今回だけ協力して、この通り!」とあびるが瑠実と初に頭を下げて来た。蒼絵も続けて、「アタシからも頼む。あいつら、本当にやり兼ねないから…。」と懇願し出した。


 少し考えて瑠実が、「今回だけやで…。」と了承し、初も「瑠実お姉様の言う通りですわ!」も同じく了承してくれた。


「有り難う皆、感謝するよ~!」とあびるが感謝し、蒼絵もすぐさま「すまねえ皆!」と言い、明未も続けて「本当にごめん皆、智枝の為に…。」と申し訳なさそうに感謝の意を伝えた。


 そしてスタジオの中に入り、智枝ちゃんの曲のレコーディングを始めた。気持ち良さげに歌っている智枝ちゃんをよそに、俺は心の中でこう想っていた。


(あほくさ、とっとと終わらせたい…。)と想う中、レコーディングは滞りなく終わり、智枝ちゃんが「どうかな?、おとーさん」と聞くと国太君が。


「すげえな、ヅラ男のショボい曲がお前の歌声で格段に良くなったぞ!。さあ、俺らは帰って夕飯の買い出しに行くぞ!」と言うとすぐさま晃子さんも「はいはい」と同調し、智枝ちゃんが「早く帰ろ~、つーがあだしお菓子買ってもいい?」と言いながらスタジオを出て行った。国太君達が帰った後、開口一番、ざくろが。


「何だ!、あの悪魔にも劣る外道共は?」と怒りを露わにし、続けて初も「ざくろお姉様の言う通りですわ!」と同調し出した。


「話に聞いてはいたが、ホンマにしょうもないな、あの3人!」と瑠実も怒りを露わにして、蒼絵も続けて「あいつのバックバンドなんかやりたくねえ…。」と落胆しながらそう言った。


「本当にごめんね皆、あの人達と来たら…。」と明未が申し訳なさそうに謝罪した。俺はこの暗い雰囲気打破するようにこう切り出す。


「明未の良い曲は、これよりもっと良い曲にするから期待して待っててくれ!」と言うと明未が「本当に?、有り難う桂お兄ちゃん!」と喜んでくれた。


「てか凄いやないけ桂兄!。これで東京に居た時プロになれへんかったんか?、どんだけレベル高いねん東京!」

「瑠実お姉様の言う通りですわ!」

「まさに闇の都、パンデモニウムではないか?、東京という所は!」

「な、アタシの言った通りだろ?。こんな感じでアタシらの曲もアレンジされんだぞ!」と皆絶賛してくれた。それだけでも頑張って作った甲斐があったよ…。


「そうだ皆、お腹空いたろ。これからファミレスにでも行かないか?、親睦を深める意味も兼ねて。勿論俺の奢りだ!」と言うと。


「わーい、アリガトな桂兄!」

「瑠実お姉様の言う通りですわ!」

「くくく。今回は庶民の食べる食物を所望するとしようか」

「最高にロックだぜ、ラッズ!」

「あーしも毎回作るのは流石に大変だから、今回はずらっちの好意に甘えさせて貰うよ」

「いつもごめんね、桂お兄ちゃん…。」


 と皆喜んでくれた。こうして俺達は急遽、Berryenのメンバーと親睦会を行ないつつ、ファミレスのご馳走に皆で舌鼓みし合った…。

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