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儀式の後、甘い時間

公開儀式が終わり、神殿内部へ移動する二人。ウルは決して真珠の手を離さず、目線が固定されたかのように真珠だけを見続けていた。


神殿内部へ移動すると、白亜の神殿に灯る無数の燭台が、祭壇を金色に染めている。


ここで、王家と神殿双方の証人の前で、真珠とウルは互いに誓いの言葉を交わした。厳粛な式は無事に執り行われ、王家の血を継ぐ王太子が、ただ一人の伴侶を神に誓う。伴侶はその血と力を受け止め、王家を支える。それはアメニアでは絶対の契約。


誓いを結び、香炉の煙が薄く漂う神殿をあとにした二人は、祝福の言葉を受けながら王宮の回廊を歩いた。


真珠は青い絹の裾を軽く引きずりながら、何度も肩で息をしていた。緊張で背筋を伸ばしすぎていたせいだ。でもその横で、黒衣のウルはずっと真珠を支えていた。逞しい腕がそっと腰を抱く。それだけで胸がきゅうっと鳴る。


「……大丈夫か」


低い声が耳元に落ちる。真珠は少しだけ笑った。


「……大丈夫……緊張しただけ」


ウルは青い瞳を細めて見下ろす。


「……もう終わった」


その声があまりにも静かで、でもぞくりとするほど熱を帯びていた。真珠は頬を赤くして小さく頷く。


「……そうだね」


それを聞いたウルの瞳が、微かに震えた。神殿を出てもなお、祭壇で誓った言葉が耳に残る。


『私は、この方の伴侶となります』


その言葉が真珠の声で、今も胸を抉っていた。


後宮に戻ると、女官たちが二人を迎えた。祝辞を述べ、香を焚き、酒を献じる。ウルはそれを一通り受けながらも、ずっと真珠を離さなかった。


真珠が「少し一人で着替える」と言ったときでさえ、ウルは頑として動かなかった。女官たちが困惑して視線を交わし、アサナがため息をついた。


「殿下、真珠様もお疲れです。着替えくらい……」


「……俺が脱がせる」


「は?」


「俺が脱がせる」


断固としたその声に、真珠は苦笑いを浮かべ、アサナは呆れてため息を吐き、女官たちは慌てて下がるしかなかった。


着替えの間。


王族用の広い寝室。真珠は白く金糸の入った婚約衣装を脱ごうとして、ウルの視線に気づく。真っ黒な婚礼用の王衣を着たウルが、真珠を見下ろしていた。その紺碧の瞳が、炎のように揺れて。


「……脱がせて」


真珠が小さな声で言った。途端に、ウルの喉が鳴る。大きな手がそっと背中の紐を解いた。青い衣装が音もなく崩れ落ちる。肌が露わになるたび、ウルの息が荒くなる。でも手はとても優しかった。


真珠は視線を逸らさなかった。頬を赤くしながらも、しっかりウルを見上げる。


「……誓ったよ、ウルだけに、全部預けるって」


ウルの目が見開かれ、そして細まった。


「……そうだ」


滑らかな素肌を大きな手が、滑るように撫でる。


「お前は俺のものだ、全部、俺のものだ」


衣装が全て脱がされると、ウルは荒い呼吸を吐きながら真珠を抱きしめた。その胸板は硬く、熱かった。


「……痛くしない。今日は、絶対痛くしない」


小さな声で何度も言った。


「お前を泣かせたくない……笑ってほしい」


真珠はその耳元で笑う。


「……バカね」


ウルの首に腕を回し、その逞しい身体をグッと引き寄せる。


「泣いてもいいよ、だって嬉しくて泣くのも、ウルのものなんだから」


その言葉に、ウルの全身が震えた。大きな手が真珠の頬を包む。


「……真珠」


低い、掠れた声が名前を呼んだ。


「大好きだ」


真珠の心を騒つかせる、深い深い紺碧が覗いてくる。


「お前が、全部欲しい」


そして、ゆっくりと口づけた。今までのような荒い、噛みつくようなキスではなく、誓いを確かめるように、甘く、深く、熱く。


寝台に倒れ込んだ二人は、もう何も言葉を交わさなかった。唇が触れるたび、熱が溶けるように混ざり合った。真珠は目を細めて、息を震わせながらウルを抱いた。ウルは真珠を抱き締めたまま、何度も名前を呼んだ。


夜が更けるまで、何度も口づけた。誓いを、契約を、証を、体と心で刻み込むように。痛みではなく、甘い痺れが残るように。


そして最後は、抱き合ったまま、静かに眠った。

外には、祝宴の余韻がまだ微かに響いていたけれど、この寝室の中は二人だけの世界だった。


この後のRをムーンに載せてます。

エピソードタイトルは「気持ちいい事しかしない」です。

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