麻痺する思考
香の煙が妖しく漂う。
「ウ、ルっ...もう」
「ダメだ真珠、君はまだわかっていない」
時間感覚は、とうに麻痺してしまっていた。いつからこの行為が始まり、いつ終わりを迎えるのか。
「もう...ダメっ あぁっ」
甘く甘く、でもとても残酷な時間。真珠は、何度も何度も高められ、最早正常な思考は残っていなかった。
「これは罰なんだ真珠。俺を見なかった事へのな」
ヒュッと喉が鳴った。彼が何を言っているか、真珠はすでにわからない。だが、彼が怒っているという事だけは本能で理解できた。
「ごめ、なさっ」
「口だけの謝罪など不用だ」
ズンと重くなる体。逃げ腰だった真珠の形の良いウエストを、痛くない程度で掴む男。
「俺の中だけで、泣いていればいい」
真珠はハラハラを涙をながす。このままでは、自分が自分でなくなってしまう。
「助け、てっ だれか」
真珠の言葉を聞いた男の紺碧の瞳が、一層深い色に染まった。
「誰に、助けを求めている」
「ヒッ」
組み敷かれ、真上から見下ろす男の顔は、絶世の美であると同時に、恐ろしいほどの情念が浮かんでいた。
体を貫かれる衝撃に、真珠の息が詰まる。もう涙で視界がぼやけて、無理に高められた快感を逃がそうとしても、掴めるものは最上級のシルクのシーツだけ。
真珠は理解力が低下した頭で、それでもこの甘い地獄が早く終わるよう懸命に男に縋るしかなかった。
この物語は、かれこれ15年以上前にネットのどこかで書いていたものです。当時は書きたい!という思いだけで始まり、結局途中からニッチもサッチもいかなくなり、放置プレイをかました最悪の黒歴史モノなんです。
今回はもう最後までの道筋は出来上がっているので、あとは私の文章力の問題ですね、純粋に。どうぞお付き合いいただければうれしいです。
今回もまた、かわいそうな主人公です。私はラブコメが書きたいんですがね...なんでだろう。
よろしくお願いします。