孤独な力の真実
影喰いを倒した夜、二人は廊下で向き合っていた。
「お前、その力、使うたびに何かが削られているんじゃないのか。」夏陽が静かに言う。
玲は微かに笑いながら答えた。
「そうかもね。でも、僕にはこれしかないんだ。」
「それだけじゃないだろう。」
夏陽の言葉に、玲は少しだけ微笑みを崩した。
「……僕の力は、影を引き寄せるだけじゃない。」
玲は目を伏せ、小さな声で続けた。
「もし制御を失えば、僕自身が影そのものになってしまう。」
「影そのものに……?」夏陽が眉をひそめる。
「篠宮の一族は、影を封じる力を持つ家系だった。でも……」
玲の声がわずかに震える。
「僕はその力を抑えきれなくて、一族を……僕の家族を失ったんだ。」
その言葉に、夏陽の胸に小さな痛みが走った。
彼自身もまた、影によって家族を失った過去を持つからだ。
「……だから、お前は一人でいるのか。」
玲は苦笑いを浮かべて答えた。
「僕が誰かを巻き込む前に、遠ざけた方がいいだろう?」
夏陽はしばらく沈黙した後、静かに言った。
「それが正しいと思っているなら、お前は本当の意味で戦っていない。」
玲は驚いたように目を見開いたが、何も言い返せなかった。