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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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555話 旧王国首都ワンズ14

 帝国の開国祭が無事に終わり、俺達は蒼龍達の合流を待ってから藍鷲のゲートを使って聖都に戻ってきた。


 聖都で一晩過ごしてからはすぐに毎月のお決まりとなっている皆で各地に散るタイミングだ。

 藍鷲にそれぞれの向かう先にゲートを開いて貰い移動を開始する。

 俺はいつも通り、ワンズの街の外れにあるツリーハウスへと戻ってきた。もちろんヨルジュニアも一緒だ。

 ヨルジュニアはすでにツリーハウスが自身の家である事を認識しているのか、ゲートを潜ってすぐに木に駆け上りツリーハウスへと入っていく。

 俺はツリーハウスに昇る前に親父の遺体を埋めた場所へと足を運び、しゃがみ込んで手を合わせる。

 親父の思っていた普通とはかけ離れているかもしれないが、今の俺には仲間もいて、人を殺すだけではない人生を送っている。甲蟲人との戦いなんかを普通と言って良いかはさておき、あのまま殺し屋を続けていた状態では考えられなかったような日々を過ごしている。これも親父の一言があったからだな。


 にしてもここ数年で色々な事があったな。

 猫又に取り憑かれて殺し屋を辞めて盗賊になって。妖狐と知り合って結婚して旅に出て。鬼人族に出会って一緒に行動し始めて。ちょっと生意気な子供に出会って。闘技場のトップ戦士と仲間になって、聖都で皆と合流して。そこから魔族領に行って魔族と戦って。大切な仲間を沢山失って。魔将を沢山倒して、ただ邪神の復活を止められず、皆の元を去って。1人で盗賊家業に勤しんで。かと思いきや、また仲間に引き入れて貰って。また多くの仲間を得て。藍鷲と各地を回ってゲートの目印を立てて回って。そこからは月1で襲い来る甲蟲人と戦って。また仲間を失って。気付けば甲蟲人の侵攻も半年を超えた。

 こう考えると全然普通ではないか。だが、殺し屋を続けていたよりはよっぽどいいんじゃないかな。

 少なくとも他者と関わりを持って生きている。

 親父、俺は元気にやってるよ。

 一言付け加えると俺は立ち上がりツリーハウスはの縄ばしごを降ろして上に昇る。


 ツリーハウス内ではヨルジュニアが餌皿を加えて俺を待っていた。よし、ハンバーガーショップでも焼くか。

 俺はレットボアの肉を影収納か、取り出して肉塊を包丁で叩いてミンチ肉へと変えていく。

 足元にはヨルジュニアが擦り寄ってくる。

「ちょっと待ってろよ。今美味しい飯を準備するからな。」

「にゃー。」

 相当量になったミンチ肉にはタマネギを加えずに肉とパン粉と卵、牛乳に塩コショウだけで形を形成する。

 魔道コンロとフライパンを取り出すと火にかけ充分に熱されたところで油を敷く。

 形成した肉をフライパンに敷き詰めて両面を焼き目が付くまで焼いたら水を少量くわえ蓋をして蒸し焼きにする。

 竹串を刺して肉汁が透明になっている事を確認して、フタを外して水分を飛ばし、ハンバーグを取り出す。

 空いたフライパンに肉汁が残った状態で水

 ケチャップ、ウスターソースを加えてよく混ぜ合わせればソースの完成だ。


 俺はヨルジュニアが咥えている餌皿を受け取ると、ハンバーグを2つ乗せて目の前に置いてやる。

 ヨルジュニアはすぐに食べ始めた。

 俺も食べるか。

 影収納から炊いてあった米を取り出して皿に盛ると、その上にハンバーグを乗せる。ソースは多めにかける。

 汁物がないけど、まぁいいか。

 俺も座り込んで食べ始める。

「美味いか?」

「にゃー。」

 こいつは言葉を理解しているのかな。ヨルみたいに念話が使えるようになればいいんだけど、エレメンタルキャットは念話を覚えたりするのだろうか?まぁ、まだ子猫だからな。成長して念話を覚えるのに期待しよう。

 そんなヨルジュニアは子猫とは思えないくらいの食欲を見せてあっという間に皿を空にする。

「にゃー。にゃー。」

「なんだ?足りないのか?ちょっと待ってろよ。追加のハンバーグ焼くから。」

「にゃー。」

 俺は残っていたハンバーグのタネをまた焼き始める。

 昨日までは祭りに参加して今はペットに餌を準備している。あぁ、平和だな。

 だがいつまでも平和を味わっている訳にはいかない。まだ神器化も特訓が必要だ。

 飯を食い終わったら気を練る特訓をしよう。


 食事の片付けをしてから地上に降りて気を練る特訓を開始した。

 王化はせずに丹田に力を込めて気を練っていく。丹田からじわじわと全身に力が漲っていく。

 ある程度気力が満ちたら次は全身に巡った気力を維持する。

 30分は維持できる事を確認すると次は王化して同じことを繰り返す。

 今度は黒刃・右月と黒刃・左月を取り出して神通力を引き出す。

 身体の奥底から気力と共に神通力を引きずり出して両手に持った黒刃・右月と黒刃・左月へと流す。

 最初の方こそ黒刃・右月にも黒刃・左月にも見た目上の変化はなく、少しブレードが黒光りするようになった程度だったが、今は少し形状が変わってきている。ハンドル部分が少し伸びてフィンガーガード部分が横広に、さらにブレード部分にまで先端を尖らせる。肝心のブレード部分も長さが変わり、少し厚みが増している。

 黒刃・右月、黒刃・左月ともに神器化させて30分を維持する事が出来るようになった。

 だが神器化が解けた際の脱力感が半端ない。

 全身の力が抜けるようだった。

 これでは実戦で使うのはまだまだ先になりそうだ。

 その後も出来る限り神器化の特訓を繰り返し、夜になるまで続け、夜はカレーを作って食べた。

 暫くの間は神器化の特訓だな。


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