表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

551/557

550話 開国祭7

 開国祭4日目となる今日も朝から闘技場に向かった。流石に露店の飯にも飽きてきたので朝早くから簡単なサンドイッチを作って持ってきたので、俺は若干寝不足気味だ。

 だがそんの事は言ってられない。

 準々決勝は1回戦から銀狼の出番だ。

 相手は現在の序列1位の闘技士、長剣使いの閃光のラッシュだ。速度特化の闘技士で試合開始早々の一撃で敵を撃ち倒すと有名な選手だった。

 周りの観戦客の反応的には閃光のラッシュの方がやや優勢と見る声が多いようだ。


 準々決勝と言う事もあってか選手の呼び込みにも熱があった。

「さぁ準々決勝第1試合は経歴不明、謎の傭兵シルバーウルフ対本闘技場の序列1位の闘技士、閃光のラッシュだぁ!閃光のラッシュは序列1位の腕前を存分に発揮できるか!皆さん、盛大な拍手で選手をお出迎え下さい!!」

 呼び込まれた銀狼と閃光のラッシュが壇上に上がる。

「さぁ、いよいよ準々決勝の開幕です!」

 開戦直後、閃光のラッシュが仕掛けた。高速移動で銀狼に近付くと右手に持った長剣で斬りつける。だが、銀狼は冷静に左手の剣で長剣を弾き上げると右手の剣で逆に斬りつけた。

 咄嗟に身を引いた閃光のラッシュだったが、鮮血がほとばしりその胸元には切り傷が。だが、傷は浅くまだ戦闘継続可能と判断したのだろう。再び踏み込むと長剣での突きを放つ。

 これは右手の剣で下方へと弾き、空いた左手の剣でまた斬りつける。今度は長剣を持つ腕を狙っての攻撃だ。

 肩口をザックリと斬られた閃光のラッシュは1度距離を取り自身の身体の調子を確かめるように右腕を回す。まだ動かせるようだ。

 と、今度は逆に銀狼が踏み込んだ。双剣による連撃を繰り出す銀狼。閃光のラッシュもどうにか長剣で防ごうとするも手数が違う。銀狼が斬りつける度に鮮血が舞い、閃光のラッシュは後ろに下がりながらも長剣を振るう。

「双狼刃!」

 上段からの双剣による切り下ろしを長剣を盾にして受け止めた閃光のラッシュだったが、勢いを殺すことが出来ず、いつの間にか壇上ギリギリまで追い詰められていた閃光のラッシュは場外へと落ちていった。

 銀狼の圧巻の勝利に終わった試合となった。


 準々決勝2回戦は金獅子とサーベル使いの序列3位の闘技士、神速のガウディとの対戦だ。

「第2試合は本闘技場、序列3位の闘技士、神速のガウディ対これまた経歴不明の謎の傭兵、ゴールドレオだぁ!今日も神速のガウディの華麗なる技が見られるか!皆様盛大な拍手を!!」

 呼び込まれた金獅子と神速のガウディが闘技場に姿を現す。

「では第2試合、開始ぃ!」

 大剣とサーベルという物量の圧倒的不利を思ってか、神速のガウディは最初は様子見に徹していた。

 金獅子が大剣を振るうもサーベルでいなして軌道を変える。常人ならサーベルが折れそうなものだが、流石は序列3位といったところか。

 金獅子か攻めて神速のガウディが避けるといった攻防を続けていたが、金獅子の大剣が大きく上に流れた瞬間に神速のガウディが攻めに転じた。

 サーベルを真っ直ぐ伸ばしてお手本のような突きを放つ。

 金獅子はこれを身を捩って避けると大きく上に流れた大剣を力任せに振り下ろす。

 まさかそのまま攻撃に転ずるとは思っていなかったのか神速のガウディはサーベルを掲げてこれを受けてしまった。

 バキリと音を立てて折れるサーベル。大剣の勢いは止まらずそのまま神速のガウディを袈裟懸けに斬り裂いた。

 よろめき倒れ込む神速のガウディ。しばらくしても起き上がれずに審判員によりドクターストップがかかった。これが勝敗を分ける一撃となり金獅子が勝利したのだった。


 準々決勝3回戦は紫鬼と序列2位の闘技士で大盾と長剣使いの堅実なモードン。

 準々決勝の後半戦ということもあり呼び込みの声にも更に熱が入る。

「第3試合は本闘技場、序列2位の闘技士、堅実なモードン対これまた経歴不詳の傭兵、パープルオーガの対戦だぁ!これまで闘技士で勝ち残ったものはいません。堅実なモードンは闘技士の意地を見せられるか!では第3試合ですっ!」

 試合は終始紫鬼の猛攻が続き、堅実なモードンは大盾を構えて防御の姿勢を崩さない。

 紫鬼のスタミナ切れを狙ったのかもしれないが、常に甲蟲人戦で前線で戦っている紫鬼のスタミナは半端ない。次第に押され始めた堅実なモードンはどんどん押し込まれて壇上ギリギリまで後退させられた。堅実なモードンは起死回生の大上段からの斬り下ろしを放つも紫鬼の手甲に弾かれてがら空きになった腹部に強烈なボディブローをかまされて身体をくの字に折る。

 それでも咄嗟に大盾を前面に突き出して紫鬼の追撃を防いだのは流石だ。

 だがボディに受けたダメージが甚大だったのか、さきほどまでよりも大盾が安定しない。そこを狙った紫鬼が大盾を蹴り上げるとまたしても腹部ががら空きに。蹴り足を戻すと共に回し蹴りを放った紫鬼。その蹴りが腹部に突き刺さると場外にまで吹き飛んでいった堅実なモードン。

 そんなわけで危なげなく紫鬼の勝利で終わったのだった。


「なんと闘技士の決勝戦出場者なし!大番狂わせの今大会、準々決勝最終4回試合は孤高の傭兵カブス対勇者パーティーの戦士ライオネルだっ!」

 呼び込まれて入場してきたカブスは明らかに昨日のダメージを引きずっていた。

 対するライオネルは大したダメージも残っておらず万全の態勢。

 試合開始早々のライオネルの斧による斬り下ろしをカブスが辛うじて受け止めたまではよかったが、案の定、カブスがすでに満身創痍な状態で反撃に出られず終始ライオネルが押し気味。最後はザックリと胸元を斬られたカブスが敗北を宣言して決着となった。


 さて、次はいよいよ決勝戦。金獅子対銀狼の戦いだ。

 2人が本気でやり合うところは見た事がない。

 どうなることやら、俺は試合を見届けることにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ