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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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548話 開国祭5

 翌朝、簡単な朝食を終えた俺達は闘技場に向けて足を運んだ。

 観覧の整理券を配っている列は相当な長さになっており、中間地点にすでに蒼龍達の姿がある。

「先に並んでおいたぞ。」

「一緒なんやから後方に並び直さんでもええんちゃう?」

 と朱鮫が言うのでちょっと狡いが蒼龍達と合流した。


 観覧の整理券は無事に人数分手に入れられた。隣で本戦の観覧券を売っているというので9人分まだ空きがあるか確認すると前列の席に横並びの空きがまだあるとのことだったので、迷わず購入した。本戦2日分を9人分で18万リラ。かなりいい商売だな。以前紫鬼が出た大会では観覧席ももっと安かったが、流石はお祭り価格だな。


 そうこうしているうちに出場者の集合時間になったので、金獅子達はそちらに向かった。

 まぁ、予選は余裕で勝ち残るだろう。ってもまだ予選会のルールも聞いてないが、多分前と同じでバトルロイヤルで人数減らして本戦行きの人数に絞るのだろう。

 予選会開始までまだ時間があったので、観戦しながら食べられるものを露店に買いに行った。俺が買ったのはタコ焼きとイカの姿焼きだ。

 白狐にもタコ焼きとヤキソバを買ってきた。

 忘れずに簡易水筒に、入った水も買っておく。影収納には水も入ってはいるが、人混みの中で影収納から物を取りだすのは至難な技なので水分補給用に買っておいた。

 そんな事をしているうちに観覧席への案内が始まったので俺達も闘技場に戻った。


 観覧席はやや後方、辛うじて出場者の顔が認識出来る程度の距離だった。結構早くから並んだつもりだったが、そこまで良い席には当たらなかった。まぁ立ち見の客もいるくらいなので、席が取れただけマシか。

 と、席に着いたところで、通信用水晶から金獅子の声が聞こえた。

「聞こえるか?俺様だ。」

「あぁ。聞こえてるよ。ルール説明は終わったのか?」

「おう。終わったぞ。予選は一組10から13人でのバトルロイヤルになるようだ。銀狼が4組、俺様が16組で、紫鬼が21組だ。」

「本戦出場は32人だったっけ?予選も32回戦あるってことだよな?」

「あぁ。最長でも30分らしいぞ。それまでに1人勝ち抜けが出なかったら会場内の拍手の量で出場者を決める事になるらしい。」

「なるほど。観客でもあり審査員でもあるのか。」

「うむ。今日の組数が明日のトーナメントの枠になるらしいから俺様と銀狼が準決勝で当たることになるな。」

「おいおい。始まる前から気が早いな。もしかしたらまだ見ぬ強者がいるかもしれないぜ?」

「なぁに。俺様も銀狼も並の相手に負ける訳がなかろう。と、言うわけで今日は俺様達は一日中ここに缶詰になりそうだ。紫鬼の組が終わったら先に帰ってくれていいぞ。」

「あぁ。まぁその辺りは適当に切り上げるさ。」

「うむ。ではまたな。」

 通信が切れた。


 結果だけで言えば最長16時間かかる予選会は9時間で幕を閉じた。

 銀狼は着実に1人ずつ撃ち倒していき、試合時間は10分ちょっとで残り1人となり本戦出場を決めた。

 金獅子は力任せに大剣を振るい、近付く者を撃沈させていき、5分強で本戦出場を決めた。

 紫鬼に関しては無手と言う事もあり最初に全員から狙われたが、ばったばったと殴り飛ばして全員を場外にして本戦出場を決めた。

 他の本戦出場選手としては以前見た大会にも出ていた序列4位の闘技士モーリスだったり、序列1位の閃光のラッシュ、たしかこいつは以前は3位か4位くらいだったので、この2年ちょっとで力を付けたようだ。

 他にも知った顔としては序列2位の堅実なモードン、大盾と長剣で戦っていたやつだ。あとは勇者パーティーの戦士ライオネルも出場していた。

 突出した実力者で他を圧倒した者もいれば、30分ぎりぎりまで戦っていた者、30分でも決着がつかずに観客の拍手の量で、本戦出場枠を得た者もいた。

 なんやかんやで、途中露店に昼食を買いに出たくらいで、全ての予選会を観覧した。初めて闘技大会を見るメンバーもいたので、それなりに楽しめたんじゃないかな。特に蒼龍なんかは思いのほか熱中しており、

「ほらそこだ!」

「それいけ!」

 などと声を上げて応援していたくらいだ。

 朱鮫なんかは

「なんや。結構戦える奴もおるやんか。これなら甲蟲人侵攻があってもそれなりに戦えるんとちゃうか?」

 と冷静に戦力を観察していた。

 藍鷲なんかは感心しっきりで

「皆さんの他にも強い方も沢山いるんですね。僕も身体を鍛えた方がいいかな?」

 などと言っており

「藍鷲様はいまのままで充分ですよ。」

 と緑鳥に言われていた。

 茶牛はモードンの持つ大盾に興味を惹かれたようで、

「あれはドワーフ族作の大盾だなぁ。」

 と言うので

「わかるのか?」

 と聞くと

「あの盾と全く同じ物を知り合いの鍛冶師が作って売っておったからな。」

 との返答だった。


 夜になって、蒼龍と紺馬が宿屋に向かったあと、俺達は借家に戻ってきた。

「明日の本戦は今日と一緒で30分制限でベストエイトまで数を減らすらしい。で、明後日の準々決勝からは試合時間が1時間になるそうだ。」

 と銀狼が教えてくれた。

 明日も出場者は9時半集合との事なので露店で買ってきた夕飯を食べて早めに就寝した。

 明日からの本戦もなかなか楽しみである。


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