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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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538話 迷いの森13

 俺と白狐はヨルジュニアを抱いてドランに乗って空の旅を満喫中だ。

 神殿の中庭を飛び出して早2時間弱。すでに迷いの森の上空に到達した。以前来た時は3時間程度はかかっていたので、ドランの飛行速度も向上しているようだ。

 前に鞍を着けてやることも考えていたが、今のところドランの成長速度が早くて身体に合った鞍を探すのは難しそうなので手綱だけを噛ませてドランに乗っている。速度もかなりのものなので、白狐は俺にしがみついて振り落とされないようにしている。

「結構早いですね。」

「あぁ。以前より身体が大きくなったからか速度も上がっている。しっかり掴まってろよ。」

「はい!」

 そんな会話を交わしながら水辺にドランを降ろした。

「4日間滞在だからな。この水辺に野営の準備をしよう。」

「わかりました。テント出して貰えます?」

 俺は影収納から2つテントを取りだした。

「2つ?1つでいいのに。」

「俺とお前は別々だよ。」

「なんでですか?夫婦なんですから一緒でいいじゃないですか?」

「いいから。2つテント建てるぞ。」

「全く。クロさんはクロさんですね。」

 文句を言いながらも白狐はテントを建てるのを手伝ってくれた。


 ちょうどテントを建て終わったところでジャイアントボアが現れた。

「お!獲物ですね。早速この小太刀の性能を確認出来ますよ。」

 言うなり白狐は水色の鞘に収まった小太刀を抜いた。

「クロさんは見ていてください。私がやりますから。」

「あぁ。任せた。」

 俺はドランとヨルジュニアが向かって行かないように2匹を遠ざけた。

 水でも飲みに来たのであろうジャイアントボアは俺達を見つけるなり興奮状態になり突進してきた。

「ブヒー!」

「お!ヤル気ですね。では早速。水刃!」

 その場で小太刀を振るう白狐。その小太刀から水の刃が発生し、ジャイアントボアへと向かう。

「ブヒッ!?」

 額に水の刃を受けたジャイアントボアは一瞬脚を止めるが再び突進してきた。

「んー。流石に一刀両断とはいきませんか。でも水刃。水刃。水刃。」

 3連続で小太刀を振るい水の刃を発生させる白狐。直線的な突進をしてくるジャイアントボアに全弾命中する。

「うん。連射速度は飛剣よりも早いですね。威力は下がるようですが、連射出来るのはありがたいですね。」

 顔面に4発の水の刃を受けたジャイアントボアだったが、諦めずに突進してくる。

「次は小太刀の切れ味の確認ですね。」

 突進してくるジャイアントボアへと走り寄る白狐。突進をヒラリと避けるとその横っ腹を小太刀で斬りつける。

「ブヒッ!」

 小太刀の刃の長さは約55cmほど。やはりジャイアントボアを一刀両断するほどの長さはない。

 だが深々と斬られたジャイアントボアはフラフラと数歩歩くと横倒しになり絶命した。


「お、終わったな?皮剥いで血抜きするから手伝ってくれ。」

 俺は倒れたジャイアントボアに近付きながら言う。

「はいはい。皮剥ぐのは任せて下さい。この小太刀、かなり切れ味いいですよ。解体用ナイフよりもよく切れそうですし。」

「んじゃ任せた。」

「はい。任されました。」

 その後、皮を剥いで血抜きしている間にもジャイアントボアが数匹現れた。

 やはりここは魔獣の水飲み場になっているようだ。

 追加で現れたジャイアントボアはドランとヨルジュニアが仕留めた。

 ドランはドラゴンクローで一撃、ヨルジュニアは火炎を吐いて牽制しつつ、尻尾を刃にして切り刻んでいた。

 2匹ともに戦い慣れてきているのがわかる。

 倒したジャイアントボアは全て皮を剥いで血抜きしてから肉塊に切り分けた。

 最終的に5匹分になったがドランがいるので一食分だろう。


「昼飯の時間かな?ジャイアントボアのステーキでいいよな?」

「クロさんが作ってくれるならなんでもいいですよ。」

「グギャ!」

「ニャーン。」

 みんなジャイアントボアのステーキでよさそうだったので、水辺の石を集めて竈を用意すると大きめの鉄板を影収納から取り出して火にかけた。

 十分に熱されたところで、肉塊になったジャイアントボアの肉を鉄板に乗せる。

 ジューと肉が焼ける音が辺りに響く。

 暫くすると肉の焼ける良い匂いが漂ってきた。

「んー食欲をそそる匂いですね。」

「だな。味付けは簡単に塩コショウだけな。」

「いいですよー。クロさんが焼いてくれたステーキは絶妙な焼き加減で塩コショウでも十分美味しいですからね。」

 そうこうするうちにステーキが焼けた。俺と白狐、ヨルジュニアの分は300gくらい。ドランの分は1kgくらいの塊だ。

 表面はカリッと中はレアで仕上げた。

「んー。捌きたてだからお肉が柔らかいですね。」

「グギャ!」

「ニャー!」

 白狐も2匹も満足げにステーキを頬張る。

 ドランもヨルジュニアもあっという間に完食してしまい、もっと食べたそうだったので、追加で肉を焼いてやる。その間に俺は自分のステーキを頬張る。

 うん。いい焼き加減だな。歯応えもあって肉を喰らっている感じがする。うん。美味いな。

 また肉焼ける匂いが漂ってきたので、各面を鉄板に当てて軽く焦がして肉汁を閉じ込める。

 6面に塩コショウを振りかけてやって2匹の前に出してやる。

 追加分とは思えない勢いで2匹とも食べ始めた。


 さて、4日間ある。何をしようか。2匹を連れてハンティングもいいが、ドランを自由に飛ばせてやる事も忘れずにいないとな。

 こうして俺達のキャンプ生活が始まったのだった。


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