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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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534/546

533話 嘆きの迷宮23

「うぉらぁぁぁぁあ!」

「でりゃぁぁぁぁあ!」

「うぉぉぉぉぉぉお!」

「はぁぁぁぁぁぁあ!」

 金獅子が大剣で、銀狼が双剣で、白狐が白刃・白百合で、蒼龍が2槍で、紫鬼が風の爪で、俺も黒刃・右月と黒刃・左月を振り回して迫り来る水の刃を弾いていく。

 緑鳥と紺馬は?ふと目をやるが金獅子の障壁に護られて被害はないようだ。

 それにしてもいつまで続くんだ?この水の刃の猛攻は?ただひたすらに迫る水の刃を弾く。だが縦横無尽に迫り来る水の刃に足元を斬られて王鎧が傷だらけだ。だが頭と胸元を庇う事しか出来ない。

 果てしなく続く水の刃。

 足を斬られ、腕を斬られ、腹部を斬られて王鎧が砕けていく。

「ぐはっ!」

「うぉっ!」

 銀狼と紫鬼の声が聞こえた。水の刃に飲まれたか?

「負けませんよ!はぁぁぁぁぁぁあ!」

 見れば白狐が水の刃を弾きながらもリヴァイアサンへと向かっていく。

 そうか。ヤツを止めない限りこの水の刃は止まないのか。なら俺も前進あるのみだ。


「破滅の刃、七の型:狂化!」

 白狐が白刃・白百合を振るうもリヴァイアサンの振り回す槍に防がれる。

「破滅の刃、八の型:錯乱!」

 またしても槍に阻まれる。

 俺は迫り来る水の刃を弾きつつ、影収納から投擲用ナイフを取り出した。

「影縫い!」

「破滅の刃、九の型:猛毒!」

 一瞬動きを止めたリヴァイアサン。同時に水の刃が一瞬止まる。

 そこへ白狐の白刃・白百合がリヴァイアサンを袈裟懸けに切り裂いた。

「ぐはっ!」

 リヴァイアサンが足元から崩れ落ちる。

 その手から槍が落ちた。

「ぐっ!くっはっはっはっ。お主やりおるのぅ。これは毒か?指先も動かんわ。」

「ふふふっ。私ももう限界ですよ。水の刃に随分切り裂かれてしまいました。貴女、強いですね。」

「妾は大海の王じゃからな。」

 そんな会話を繰り広げるリヴァイアサンと白狐。

 そこで後方から大声が聞こえた。

「白狐!避けろ!強弓・雷電矢!」

 紺馬だ。復活した紺馬が雷の精霊の力を借りた電撃の矢を射た。

 強弓と言うだけあって矢は真っ直ぐに力強く飛んで行き、リヴァイアサンの頭部を穿った。

 バリバリバリバリッ

 リヴァイアサンの身体を高圧の電撃が襲う。

 プスプスと白い煙を上げてリヴァイアサンが倒れ込む。

「妾を…倒すとは…なかなか…やりおる…」

 それだけ言うとピクリともにしなくなった。見ればリヴァイアサンの頭部には矢が通り抜けた穴が空いていた。さすがに脳に穴を開けられては生きていられないだろう。

 最後は紺馬がやり返した形で決着となった。


「ふぅ。王鎧がボロボロじゃ。」

 吹き飛ばされていた紫鬼が立ち上がりながら言う。

「俺様も危なかったな。大剣で水の刃を弾くのも限界であったわ。」

 金獅子もボロボロだ。

 銀狼も胸部を砕かれた王鎧を纏いながら言う。

「もう少し水の刃が放たれてたらオレはやばかったな。」

「うむ。紛れもない強者であったな。」

 蒼龍が王化を解きながら言う。

「最後は紺馬が決めたな。もう大丈夫なのか?」

 俺が聞くと

「あぁ。全くやられたよ。聖王がいなければ死んでいたな。」

「聖術は破損した臓器までは再生できませんから今の紺馬様は片方の腎臓が失われております。しばらくは安静が必要でしょう。」

 緑鳥が言う。

「2つある腎臓でよかったな。」

「うむ。もう少しズレていたら不味かったな。」

「いずれにせよ。私たちの勝ちですね。あぁーぁ。今回は疲れましたね。」

 言いながら大の字に寝転ぶ白狐。

「大海の王と言うだけはあったのぅ。」

 王化を解いた紫鬼もその場に座り込む。

 ふと蒼龍を見ると、その手にしている三叉の槍が折れ曲がっている。近距離で水の刃を弾き続けて曲がってしまったのだろう。

「蒼龍、それまた曲がっちまったのか?」

「あぁ。以前にも曲がってしまって直して貰ったところだな。やはり修復した箇所は弱くなってしまうのかもしれんな。」

 そこで、俺はリヴァイアサンの死体に目をやった。そうだ。

「なぁ、蒼龍。その槍が大切なのは知っているけど、折角だからリヴァイアサンが使ってた槍に持ち替えてみたらどうだ?」

「む?リヴァイアサンの槍に?」

 そう言って蒼龍もリヴァイアサンの方を向く。

 崩れたリヴァイアサンの脇にはあの二股が捻り合うような穂先をした槍が転がっている。

「うむ。あの槍か。試してみるか。」

 そう言って蒼龍はリヴァイアサンの死体に近付き、その槍を手にした。

「な?!なんだこれは。初めて持った気がしない。手に馴染む。重さも長さも最適ではないか。」

 かなりの衝撃を受けているようだが、使えそうなら良かった。

「その三叉の槍は預かっておくよ。また直して儀礼用にでもさればいいさ。しばらくはその槍を使うだろ?」

「あぁ。これなら今まで通りに扱えそうだ。」

 槍を振り回しながら蒼龍が答える。

「そう言えば今回は宝箱が出てきませんね。」

 気付いたように白狐が言う。

「その槍が戦利品ってことじゃないか?」

 銀狼が答える。

「むー。宝箱が楽しみだったのに。残念です。」

「まだ望みはあるぞ?ほれ、部屋の奥にも扉がある。あの扉の先に宝箱がないとも限らん。」

 金獅子が言う通り、部屋の入口とは反対側にも扉があった。

「お?!なら早く行きましょう!」

 飛び起きる白狐。

「ちょっと待ってくれ。ワシも疲れたでもう少し休んでから行こうや。」

「だな。俺様もヘトヘトだ。ここなら魔物に襲われる事もなかろう。休憩にしよう。」

 と言うことで小一時間、休憩する事になった。

 俺は影収納から人数分の水を取り出し、全員に配る。

 さて、あの扉の先には何があるのか。逸る気持ちを抑えつつ、皆と一緒に休憩するのだった。


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