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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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507/546

506話 旧王国首都ワンズ12

 白狐達と交代した俺達は迫り来るゴブリンを次々と殲滅していく。

 紺馬が弓矢で、緑鳥が魔導砲で遠距離から近付こうとするゴブリンを撃っていき、残って近付いてきたゴブリンは俺と紫鬼で撃ち倒していく。

 にしても紺馬の弓矢の扱いが上手すぎる。今までも見てきたがあの5本もの矢をそれぞれ別のターゲットに向けて射るのはどうやってるのか想像もつかないな。

 それに緑鳥も奮闘している。最初でこそ狙いを外すこともあったがだんだん慣れてきたのか今では必ずゴブリンのどこかしらに石塊を当てている。

 そう、緑鳥が魔導砲の扱いに慣れるほどにゴブリンが大量に湧き出てくるのだ。

 白狐達か倒した分も含めればすでにその数は1000体には及んでいるだろう。

 ワンズからそこまで距離が開いていない森の中でここまでの数が現れるとは思っても見なかった。

 それに襲い来るゴブリンの装備品もまちまちで、複数のゴブリンコミュニティから出てきているように思える。

 要するにワンズの北西には複数のゴブリンコミュニティが存在しており、俺が時たま狩っていたのはそのコミュニティから遠出してきた数少ない個体だったという訳か。

 本来ならそのゴブリンコミュニティを1つずつ潰していくのがいいのだろうが、ここまで数が多いとコミュニティ自体の数も相当なものだろう。今は迷宮に向かうのが優先の為、ゴブリン退治はまた今度だな。

 とりあえず襲い来る奴らだけでも討伐していこう。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 その後も白狐達と交代しつつ、休息を取ってはゴブリンと戦い、戦っては休息しを繰り返し、空が朝焼けに照らされ始めた頃になってようやくゴブリンパーティーは終わりを告げた。

 辺りには数千のゴブリンの死体が転がり、いつ他の魔物がその死体を漁りに来るかもしれない、と言うことで早々に俺達は野営の備品を回収してその場を後にした。


「もうゴブリンはお腹いっぱいですね。」

「そうだな。暫く顔も見たくないな。」

「わたしは的当てみたいで結構楽しめました。おかげで魔導砲にもすっかり慣れましたし。」

 女性陣がワイワイと会話しながら前方を歩いてくる。男共は夜通し続いたゴブリンパーティーに辟易していた。

 辺りは森が深く、昼間だと言うのに木の陰になって日の光が届かない。時折ワイルドボアやワイルドウルフと出会う事はあったが、進行速度は決して遅くはないだろう。

 となると、そろそろ事前情報にあったワイバーンの群れが住む崖が見えてくる頃だろう。


「あ!森が途切れましたよ。」

「本当だな。あれが噂の崖か?」

「ですね。上空にワイバーンの姿も見えますし。」

 白狐と紺馬の会話を聞いて森が開けた場所に出たことを知った。

 ワンズから北に行けば人族領の北方の山脈に出る。ここはその山脈の入口とも言える岩山の始まりで、森を抜けた先には立派な岩山が姿を現した。

 ここがワイバーンの住み家の崖で間違いなさそうだ。

 ただ白狐達が言うように上空を飛ぶワイバーンの姿はまだ見えない。

 人化の術で人になった白狐は、ほぼ人外だからさもありなんと言った感じだが、弓矢を扱うだけあって紺馬も相当目が良いらしい。

「ワイバーンの姿は確認できるか?」

「いや、オレには見えない。」

「俺様もまだ見えんな。」

「ワシもワイバーンどころか空の上には何も見当たらないな。」

 銀狼達に聞いても姿は見えないらしい。俺だけじゃなくて一安心。


「うむ。崖の上に数匹のワイバーンの姿が見えるな。」

 おっと。蒼龍にも見えているらしい。

「蒼龍も目が良いのな?」

「うむ。龍人族には龍眼と言うものが備わっておるからな。普通の人族よりは遠くまで見通せるし、魔力の流れなんかも目で見る事が出来るのだ。」

「龍眼か。ワシが妖気を見れるのと似たようなもんじゃな。ワシのはそこまで視力が良いわけではないがな。」

 蒼龍に尋ねたが紫鬼が妖気を見れるなんて初めて聞いた。確かに最初に会った時に鬼人族は妖気を感じ取りやすいとは言っていたが目視できるレベルだったんだな。

「妖気が見えるならヨルが死んだときに俺が妖気を引き継いでいた事も気付いてたって事か?」

「ん?そうじゃな。じゃが妖気を引き継いだからと言って王化も出来るようになっていたとは気付かんかったぞ?」

「まぁ、そりゃそうだな。妖気の有無で王化出来る出来ないが決まるわけじゃないしな。」

「うむ。そもも魔族領に行ってからというものお前さんにも少しずつ妖気の素養が見られてたからな。ヨルと同化した事で妖気を保持するようになって追ったのだろうよ。」

「そうか。なら教えて欲しかったな。」

「自分でも気付いておると思っておったからな。わざわざ言うことでもないと思ったんじゃ。」

「そうなのか?自分では全く自覚がなかったよ。」

「ゆっくりとヨルとの同化によって妖気を帯びていったんじゃろ。自分でも気付かぬうちにな。」

「そういうもんか。」

「あぁ。唐突にそこまでの妖気を手にしたなら自分でも気付いたじゃろうからな。お!ワシ目にもワイバーンが見えてきたぞ。」

 紫鬼が言うように確かに崖に近付くにつれて上空を飛びまわるワイバーンの姿が見えてきた。

「ワタシが上空のワイバーンを狙い撃つ。墜落してきたやつらへのトドメを頼む。」

 紺馬は言うなり矢を番え上空に向けて矢を射ったのだった。


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