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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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504話 ドワーフ王国20

 皆との食事を終えてすぐにドワーフ王国へのゲートを藍鷲に開いて貰い、ドワーフ王国へとやって来た茶牛と翠鷹。

 2人は早速王城内に開いたゲートから茶牛が世話になっている工房の『鋼の四肢』へと向かうため、王城の中庭を歩く。

 するとそこに兵士長のマクベスが通りかかった。

「おぉ!茶牛じゃねーかぁ!」

「おぉ!マクベスかぁ!久しぶりだのぉ!」

 2人はがっしりと肩を抱き合う。

「お前さんが定期的に帰ってきてるのは知ってたがぁ、まだ時期的に早くねぇかぁ?」

 茶牛から離れたマクベスが問う。

「あぁ。今回は義肢作成が目的だぁ。こっちのが仲間の翠鷹だぁ。翠鷹、こっちはドワーフ王国の兵士長のマクベスだぁ。」

 話を振られた翠鷹が頭を下げる。

「翠鷹です。宜しゅう頼みます。」

「おぉ、あんたが茶牛の仲間かぁ。べっぴんさんだなぁ。どれ。あぁ、腕を無くしたかぁ。うちの兵士の中にも四肢を無くした奴らはいてなぁ。いつも茶牛んとこで世話になっているんだわぁ。茶牛の腕は確かだから心配すんなぁ。」

「えぇ。茶牛はんの腕は信じてますわ。実は両足も義足でしてなぁ。それも茶牛はんに作って貰いましてん。」

 翠鷹の言葉に頷くマクベス。

「そうかぁ。両足と腕かぁ。なぁに、茶牛に任しておけば大丈夫だぁ。うちの兵士の中には四肢全てを茶牛の義肢に世話になっている奴もいるぐらいだからなぁ。」

「せやね。茶牛はんに任せますわ。」

「うんうん。それがいいわぁなぁ。」

「んじゃマクベスぅ、そろそろ儂らは行くでなぁ。」

「おぅ。そうかぁ。頑張ってなぁ。」

「お前もなぁ。」

 そう言うとマクベスは去って行った。

「兵士長さんと随分親しい関係性なんやね?」

「しょっちゅう兵士達の義肢作成を頼まれてたからなぁ。納品時に必ずマクベスも同席しとったから自然と仲良くなったんだわぁ。」

「なるほどなぁ。」

 そんな会話をしつつ、『鋼の四肢』へと向かった2人。


『鋼の四肢』へと到着した茶牛は奥に声をかける。

「おぉーいぃ。店長ぅ。いるかぁ?」

 する髭面の背の低い男が店先にやってくる。

「おぅ。茶牛じゃねぇのぉ。また義肢の作成かぁ?」

「あぁ。そうなんだぁ。新規の作成でなぁ。ハナさんに採寸をお願いしたいんだぁ。」

「そうかぁ。おぉーい。ハナぁー。仕事だぞぉー。」

「はいよぉ。」

 呼ばれてやって来たのは採寸担当は背の小さい髭面の女だ。

 ドワーフは男女に関係なく髭が生える為、男女の区別は胸元を確認する他ない。あとは声の高さくらいだろうか。

 ハナと呼ばれた採寸担当はメジャーを片手に翠鷹に近付く。

「義肢を作るのは右腕だねぇ?ではまずは左腕での長さを測るからねぇ。」

 そう言うと肩口から手首までの長さを測る。

 次に肩から肘、肘から手首、手首から手のひら、手のひらから各指の長さを測られる。

 次は右腕だ。肩口から切断面までを測り、肩から肘までを測る。

 それで採寸は終了。各パーツ毎の長さを書いた紙を茶牛へと渡してハナと呼ばれた女はまた奥へと引っ込んで行った。

「テキパキしてはるなぁ。」

 採寸された紙を見ながら茶牛が答える。

「ハナさんは店主の奥さんでなぁ。しょっちゅう採寸しているから仕事が早いんだわぁ。んじゃ儂は早速義手の作成に入るからよぉ。翠鷹は宿でも探して休んでてくれやぁ。2日後にまた来てくれればいいからよぉ。」

「そうかぁ。せや、義手作る際にお願いしたいことがあったんや。ウチの最大の武器は速度と正確性やねんな。でも普通の義手やとウチの腕の振り逃げ着いて来れんくて外れてしまうと思うんよ。せやから外れにくい義手にして欲しいんやわ。」

「外れにくい義手かぁ。そうなると着けにくくもなりそうだけど、構わないかぁ?」

「オリハルコン製なら風呂の時に毎回外さんでも錆びる事はないやろ?」

「そうだなぁ。オリハルコンなら水にも強いからそうそう錆びる心配はないわなぁ。」

「せやったらそれで頼むわ。神速の突きに耐えらるだけの強度を持った義手、よろしゅう頼んます。」

「無事な左腕の肘先にも工具着ける事になるかもだけどぉ、大丈夫かぁ?」

「どうせまた、あの魔石を入れ込む痛みが待っとるんやろ?せやったらあとはどんな痛みにも耐えられると思うわ。」

「そうかぁ。わかっただぁよぉ。ちと工夫して外れにくい義手にするだぁよぉ。」

「頼んますわ。」

「んじゃ、3日後だなぁ。あるこるやるからあと1日余裕が欲しいわぁ。」

「3日後やね?午前中でええか?」

「昼過ぎに来てくれるかぁ。それまでには作っておくからよぉ。」

「わかったわ。3日後の昼過ぎにまた来るわ。」

 そういって茶牛と別れて『鋼の四肢』を後にした翠鷹。

 まずは3日間の滞在場所の確保が必要不可欠である。

 翠鷹は1人街に出て宿屋を探した。


 幸いにも前回両足の義足作成のタイミングで泊まった宿屋に空きがあった。

 2階のツインルームしかないと言うが翠鷹は他を探す手間を考えてここに泊まる事にした。

 黒猫から支給された金で支払いを済ませて部屋に案内される翠鷹。

 部屋に着くなり広さがある部屋の真ん中に立って左腕で細剣を構えた。

「茶牛はんにはあぁ言うたけども、やっぱり義手で神速の突きは耐えられるとは思われへんからなぁ。左腕で再現するしかないわなぁ。利き腕とちゃうから奇妙な感じやわ。」

 そう言うと左腕での突きの特訓を始めた翠鷹。


 茶牛の言うように義手が出来上がるまでに3日間ある。それまでに左腕でも普通に細剣を扱えるようになりたい。

 翠鷹は1人、左腕の特訓を始めたのであった。


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