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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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502話 聖都セレスティア55

 肉はバラ肉、モモ肉の塊をミンチ状にしていく。

 ちなみに今日は豚肉を使う。以前 はジャイアントボアの肉を使って作る事が多かったけど、街で豚肉を買うようになってからは豚肉で作っている。やっぱり猪肉だと独特よ臭みがあるからな。その点、豚肉なら余計なクセがない。

 まずはバラ肉、モモ肉を一口大にカットしていき、切り終わったら両手に包丁を持ってひたすら叩き切る。

 ちょっと粘り気が出てくるまでひたすらに叩くのだ。

 最初は軽くやって見せてから紺馬に変わった。狩猟をやっていただけあって、肉を切るのは慣れているようだ。だいたい1kgの肉塊があっという間にミンチ肉になった。


 俺の肉じゃがでのこだわりはコマ肉とミンチ肉の2種類を入れる事だ。コマ肉はそのまま具材に、ミンチ肉は肉そぼろのようになる。1度で2度美味しい感じにするのだ。

 紺馬がミンチ肉を作っている間に俺はせっせとニンニクとショウガをすりおりしていた。

「味付けによく使うのがニンニクとショウガのすりおろしだ。これは包丁じゃなくてすりおろし金でするだけだから今回は俺がやっといた。」

「わかった。ニンニクとショウガだな。覚えておく。」

 うん。素直な生徒でやりやすいな。


 さて、具材の準備は出来た。いよいよ調理工程である。

「まずは鍋に油を敷いて、ミンチ肉を炒める。この時におい消しても兼ねて下味をつける。塩コショウとさっきのすりおろしたニンニクとショウガを投入する。量はそうだな。感覚だな。俺はいつもだいたい肉200gに対してニンニクもショウガも一欠片くらいかな。」

「200に対して一欠片。」

 鍋には大量の肉が投入され、火にかけられる。今回はコマ肉とミンチ肉で1kgずつ肉を用意したから結構な量になる。

「よし、ミンチ肉に火が通ったらコマ肉も入れても炒める。」

「炒める。」

 なんだろな。やっぱり普段、料理してない人の手に掛かると二駆を炒めるだけでもなんかぎこちなさがでるもんだな。恐る恐るって感じでだからかな。


「肉に火が通ったら野菜も投入してさらに炒める。」

「野菜投入。炒める。」

「うん。全体的に油が馴染んできたら水を入れていよいよ味付けにはいるぞ。」

「水はどのくらいだ?」

「だいたい肉と同じ量かな。今回は2kgの肉が入るから2Lくらいでいいだろう。200gに対して200mLだな。」

「肉と同じ量か。」

 紺馬はちゃんと軽量カップを使って水の量を量っている。俺はいつもだいたいで作っちゃってるけど、初心者には量を量るのも重要な事だろう。


「よし、そうしたら醤油大さじ20、料理酒大さじ20、みりん大さじ20と顆粒になってる和風ダシを大さじ10を投入。」

 この顆粒の和風ダシの元が助かる。わざわざ出汁を煮出さなくて済む。作った人には感謝を言いたいね。こいつのおかげで調理工程がぐんと短縮された。

「煮立ったら砂糖を大さじ20入れてから全体に馴染ませて味見して、問題なければ落とし蓋をしてさらに煮込む。砂糖の量はお好みだな。甘めが良ければもうちょい入れてもいいし、サッパリさせたければ少な目に入れてやればいい。」

 スプーンで煮汁の味を確認した紺馬が言う。

「ワタシ的にはちょうどいい味に思える。」

「ならそのままでOKだ。落とし蓋をして、30分くらい煮込もう。ジャガイモに菜箸刺して突き刺さるようなら火が通ってる証拠だから、あとは味のしみこみ具合でさらに煮るか決めるんだ。」


 煮込んでいる間に俺達は何気ない会話をして時間を潰した。

「紺馬さんは結婚して何か変わりましたか?」

「いや、特にこれと言って変わりは無いかな。聖都での滞在が2人部屋に移されたくらいだ。」

「そうなんですか?それは寂しいですね。」

「いや、そうでもない。と、言うかワタシの理想は破王と夜王、お前達のような関係性だ。互いに適度な距離感で互いを尊重して思いやってる感じでちょうど良く思える。」

「あら。お互いを想い合ってるですって。」

「そ、そんなんじゃねーよ。ちょっと気にかけてるくらいのもんだ。」

 急にそんな話をふられたもんだから俺は2人に背を向けて答える。

「ふふふっ。クロさんは素直じゃないですねぇ。」

「まぁワタシ個人の感想だからな。他のメンバーがどう見ているかは知らないが。ワタシから見て理想型はお前達だ。」

「そんなに言われると照れますね。ね、クロさん。」

「べ、別に照れねぇよ。紺馬がどう思おうと紺馬の勝手だしな。」

「ですって。」

「そうだな。どう見るかはワタシの勝手だ。」

「ってか、そろそろ火が通ってんじゃねーか?確かめてみろよ。」

 俺は慌てて話題を変えた。

「ふむ。ジャガイモには火が通っていそうだな。割ってみても味が染み込んでいそうだ。」

「味見してみ。1番味が染み込む角切りあたりを。」

「ふむ。うん。角切りにはしっかり味が染み込んでいるぞ。」

「よし、完成だな。米も炊けてるはずだし、待ってる間に汁物も使った。翠鷹が戻ったら飯にしよう。」


 その後すぐに輸血を終えた翠鷹が食堂に姿を現した。

「いやークラクラしとったのがスッキリしたわ。医療ってのは奥深いもんやね。血が足りひんとあんなになるんやな。」

 腕を失った事は気にとめていないかのように話す翠鷹。だが左腕だけじゃ箸も持てないだろう。俺は翠鷹にはスプーンを用意してやった。

「あらま。お気遣いありがとさん。」

 全員にご飯と汁物が行き届いたところで金獅子が声を上げる。

「翠鷹が負傷したものの、全員揃ってまた飯が食える。取り敢えず今はそれを喜ぼうぞ。ではいただきます。」

「「「「「いただきます。」」」」」


 俺達の食事が始まった。


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