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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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493話 甲蟲人:百足2

 獣王の放った大剣による一撃は4本のナイフに受け止められた。

 腕が4本もある分、膂力も凄まじい。

 そのまま大剣を弾きあげると4本の右腕に握ったナイフで突きを放ってくる。

 大剣から左手を離してこれを避けた獣王。

 その左背後から精霊王が矢を射る。

 右側の各腕を狙った4本の疾風の矢が迫るも器用にナイフでこれを弾く百足型甲蟲人。

 その逆方向から龍王が三叉の槍で突く。

 これも4本のナイフを駆使して受け止める百足型甲蟲人。

 多碗でも繊細な動きも出来るらしい。


 しかし、さらに右横から飛び出した賢王。ナイフで三叉の槍を絡め捕るように受け止めているところを避けるように百足型甲蟲人の左脇腹へと高速突きを放つ。

「コンティニュアス・スラスティング!」

 脇腹を抉るような連続突きが放たれるも外骨格に阻まれてダメージは通らない。

「ちっ!硬ったいなぁ。刃が通らんわ。」

「なによ!寄って集って!アタクシもー怒りましてヨ!」

 三叉の槍を弾き、空いた左の4本腕からナイフが伸びる。

 よく見ればナイフの刃はヌラヌラと濡れている。

 伸びるナイフを細剣で弾きつつ、その事に気付いた賢王は皆に警戒を促す。

「ナイフの刃に毒塗ってあるで!気ぃつけや!」

 大剣を弾かれた獣王も弾きあげられた体勢そのままに大剣を振り下ろす。

 右腕2本でこれを受け止める百足型甲蟲人。残った2本の腕で獣王の胸元を薙ぎ払う。

 ガギンッと硬質な音が響く。獣王の王鎧はナイフの一撃を受けて横に二筋の切り傷をつける。

 獣王の右後ろから精霊王が火炎に燃え盛る矢を放つ。

「火炎矢!」

 狙いをつけて放たれた3本の矢であったが、百足型甲蟲人は難なく2本のナイフで払い落とす。

「ぐおぉぉぉぉぉお!」

 受け止められた大剣に力を込める獣王。

 2本のナイフでは支えきれなくなった百足型甲蟲人は左腕のナイフも大剣の下に敷き跳ね上げようとする。

 押し込もうとする獣王と跳ね上げようとする百足型甲蟲人。だがやはり数の多さに負けて大剣が押し上げられる。


 さらに側面から突きを放とうとしていた賢王向けて5本の足による蹴りが飛ぶ。

 獣王の大剣を受け止めながらも踏ん張る足が多数あるが為に放たれた蹴りである。

 その威力は賢王を吹き飛ばすには十分であり、1本の蹴りは細剣で防いだものの、残る4本の足に腹部を蹴られて賢王が吹き飛ぶ。

 さらに自由になった三叉の槍で突きを放とうとしていた龍王に向けて百足型甲蟲人がツバを吐く。

「けっ!」

 吐きかけられたツバを左前腕に受けた龍王。するとツバがかかった王鎧が解け始める。

「む?!此奴、強酸のツバを吐きよるぞ!」

 それでも構わず突きを放った龍王。

 しかし、2本のナイフにより受け止められてしまう。

 そして放たれる5本の足による蹴りが飛ぶ。

 蹴りは蹴り足だけでなく軸足がしっかり根を張っている必要がある。軸足で地面を踏み込む事で、その威力を蹴り足に伝えるのだ。その点5本もの片足を持つ百足型甲蟲人の蹴りは威力が凄まじい。それに5本足での蹴りともあって5連撃になる。

 ガードは間に合ったものの、龍王も吹き飛ばされてしまう。


「火炎矢!五月雨!!」

 10本の炎の矢を連射する精霊王。その矢は半数近くナイフにより落とされてしまうが右腕のうち下から2番目の1本を根元から焼き払う。肩口から千切れ跳ぶ1本の腕。

「ぎゃっ!熱い!痛い!!なにんのヨ!!!」

「後方には行かせん!」

 精霊王へと向かいそうになる百足型甲蟲人を獣王が引き留める。

 大剣を振り回し、斬撃を放つも7本のナイフによりこれは防がれる。

 さきほどから何度も斬りかかってはいるのだが、その度にナイフに阻まれ有効打は与えられない。

 やはり手が多いだけあり鉄壁の防御である。

 そこに吹き飛ばされていた賢王も復帰する。獣王の右横から体を出して細剣による刺突を繰り出す。

「当たれ!タキオン・スラスト!!」

 賢王自身の持てる最速の突きである。

 光速をも超えるその突きは見事に百足型甲蟲人の左脇腹へと突き刺さる。

「今や!スパークショット!!」

 さらに細剣をねじ込む賢王。追加の武具に込められた電撃もお見舞いする。

「ぎゃーっ!」

 これには堪らず全身を硬直させる百足型甲蟲人。

 すかさず獣王も仕掛ける。


「雷撃断頭斬!」

 大きく跳躍して敵へと兜割りを繰り出す。その大剣にも電撃が込められている。

 全身を硬直させながらも2本の腕を頭上でクロスさせてこれを受け止める百足型甲蟲人。しかし受け止めても電撃は伝わる。

「ぎょぎょぎょっ!」

 全身から煙を上げる百足型甲蟲人。しかしその動きら止まらなかった。


 左側1本の腕で賢王の細剣を弾くと残る右腕3本のナイフで獣王へと斬りかかり胸元に3筋の傷痕をつける。

「ぬぅ!」

 強烈な斬撃を浴びて蹈鞴を踏む獣王。だがその背後からは龍王も復帰した。

「龍覇連突!」

 三叉の槍での高速連続突きが百足型甲蟲人へと迫る。

 しかし、なんとその高速突きすらもナイフで巧みに受け流す。

 それどころか三叉の槍を背後に逃がして体勢を崩した龍王に向けて反撃してくる。

 右腕の多碗では精霊王の放つ火炎の矢を払いのけつつ、左腕の多碗では龍王に斬りかかる。

 ガギンッ

 龍王の左腕にナイフが叩き付けられるも王鎧により守られた生身の腕には傷は付かない。ただ王鎧の前腕部分には大きく切り裂かれた後が残る。

 多碗から繰り出される攻撃と防御をどう掻い潜るかが問題となった。


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