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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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492話 甲蟲人:百足1

「王化!獣王!」

 金獅子が声を上げると、右手中指のリングにはまる金色の王玉から金色の煙を吐き出しその身に纏う。

 次の瞬間、その煙が吸い込まれるように体の中に消えていき、煙が晴れると獅子を想起させるフルフェイスの兜に金色に輝く王鎧を身に着けた獣王の姿となり駆け出した。


「王化!精霊王!」

 続けて紺馬が王化し、左手薬指のリングにはまる王玉から紺色の煙を吐き出しその身に纏う。

 その煙は体に吸い込まれるように消えていき、煙が晴れると馬を象った紺色のフルフェイスの兜に紺色に輝く王鎧を身に着けた精霊王の姿となり金獅子に続く。


「王化!賢王!」

 翠鷹も王化し、右手薬指のリングにはまる王玉から翠色の煙を吐き出しその身に纏う。

 その煙は体の中に吸い込まれるように消えていき、煙が晴れると鷹を象った翠色のフルフェイスの兜に翠色に輝く王鎧を身に着けた賢王の姿となり駆け出した。


「王化!龍王!」

 蒼龍が言うと胸に下げたネックレスにはまる蒼色の王玉から蒼色の煙が吐き出される。

 その煙は体に吸い込まれるように消えていき、残ったのは龍をモチーフにしたような兜に蒼色の全身鎧を纏った龍王の姿となり金獅子達の後を追うように駆け出した。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 金獅子、蒼龍、翠鷹、紺馬が王化して駆け出して行った。後方の敵将に向かったのだろう。

 遅れて前線にて戦うメンバーも王化し始めた。

 俺も王化するか。

「王化!夜王!!」

 左耳のピアスにはまる王玉から真っ黒な煙を吐き出しその身に纏う。

 その後煙が体の中に吸い込まれるように消えていくと猫を思わせる真っ黒な兜に、同じく真っ黒な全身鎧を身に着けた夜王の姿となる。

 そのまま俺は影収納から主力武器である黒刃・右月と黒刃・左月を取り出して構える。

 いつも通り右手は順手、左手は逆手でナイフを握る。


 アダマンタイト製のナイフで戦っていた時に思ったが若干蟻の外骨格が強度を増しているように感じた。

 そのせいもあってか、最前線はまだ崩壊した村の中であり、瓦礫に足を取られやすい。

 先に到着したはずの獣王戦士団の面々も戦い辛そうにしている。

 村とは言え、そこそこの世帯数があったと見えて崩落した家屋の数は多い。

 瓦礫は山のように連なり足場を限定する。敵の背後に回り込みたい時などにも邪魔になる。


 と、そこに王化した白狐がやってきた。

「クロさん、私は金獅子さんから緑鳥さん達を守る最終防衛ラインを任されました。クロさんも後方に抜けそうな甲蟲人がいたら先に潰して下さい。」

 緑鳥は後方の無事な家屋内で負傷した兵士達の治療にあたっている。

 朱鮫と藍鷲はその家屋前で魔術・魔法をぶっ放していた。

「わかった。あまり前には出ないようにしよう。」

「お願いします。」

 さて、白狐と俺が最前線から抜けるとなると紫鬼、銀狼、茶牛に頑張って貰わないと敵を押し込めないだろう。3人は敵中央部に集まって蟻の相手をしている。

 これなら左右から抜けてくる蟻だけ気にしておけば大丈夫だろう。


 俺は迫り来る蟻の長剣を左手の黒刃・左月で受け、右手の黒刃・右月で手首を切り離し、そのまま黒刃・左月を振るい蟻の首を刎ねる。

 蟻達との戦いにも随分慣れたものだ。今回の侵攻で6回目。ちょうど折り返しのタイミングだ。

 外骨格が硬くなってはいるが関節部分が弱い事は変わりない。

 これで関節部分の強化でもされてきたら苦戦するかもしれないが、それはないと信じよう。

 さて、蟻は続々とやってくる。お掃除の時間だ。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 敵後方に向けて駆け出した金獅子達は迫り来る蟻型甲蟲人を退けつつ、前進する。幸いにも今回は左右に大きく広がっている為、後方に抜けるのは容易かった。

 敵最後方を抜けて周りを見渡す獣王。しかし、敵将の姿が見えない。

「む?敵将の姿がないぞ?」

「ほんまやね。姿が見えんわ。」

 賢王もそれに続く。

 その後方からやって来た精霊王がさらに後方500m程の距離に敵影を発見。

「あれか?疾風矢!」

 その敵影に向けて風を纏った突風の矢を放つ。

「ぎゃっ!」

 後方から悲鳴が聞こえた。矢が当たったようだ。

 そこからの敵の動きは素早かった。あっという間に500mの距離を走ってくる。

「危ないじゃないのヨ!いきなり矢を撃ってくるなんて!」

 そういう敵将の姿はグロテスクだった。

 それまでの甲蟲人は蟲を無理矢理にも人型にしたものだった。

 それに対して今回の敵将は長い胴体から伸びる足が5対10本、腕が4対8本と明らかに数が異常だった。

 その他にも胴体からは腕や足になりかけに見える突起が飛び出しており、もっと成長すれば手足も増えそうな勢いだ。

 8本の腕にはそれぞれ短めのナイフを握り、胸元には微かな膨らみがある。

 声の高さも考慮するに雌の甲蟲人らしかった。

 だが何よりも目を見張ったのはその頑強そうな顎である。エラ張った頬と合わせて見ると何でも噛み砕きそうに見える。

「危ないからあんなに後方に待機していたのに!まさかその距離も無視して攻撃されるとは思わなかったわヨ!!」

 ご立腹の様子。

 片側の5本の足で地団太を踏んでいる。

「もー怒ったんだから!やってやるわヨ!」

 10本の足をわしゃわしゃさせながら獣王へと迫る。

「こいつは百足か?手足が多い!どんな攻撃をしてくるかもわからん。注意せよ!」

 獣王が残りのメンバーに声をかけて大剣を振りあげる。

 こうして百足型甲蟲人との戦闘が始まったのである。


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