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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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477話 聖都セレスティア50

 碧鰐が抜けて障壁の権能が使えなくなった今、緑鳥はじめ、朱鮫と藍鷲はやはり後方支援として前線から離れた位置で戦うことにした。最初は3人の護衛として1人つけるべきではないかとの意見も出たのだが、そこは朱鮫が

「ワイらの事はそこまで過保護にならんでもええよ。近付く甲蟲人がおってもワイの魔術でどうにでも出来る。それに藍鷲殿には『砂防の瓢箪』もある。」

「そうですよ。皆さんに譲って頂いた魔道具もありますし、わたし達の護衛に人を割く余裕もなくなってしまったはずですし。」

「こうなるとやはり碧鰐の障壁の権能の有用性がはっきりと見えてくるな。」

 銀狼が言う。

 と言うのも碧鰐から守護神の加護を授かった王玉のついたリングを譲り受けた金獅子であったが、蒼龍のようにネックレスと指輪のようにバラバラのものではなく、もともと右手中指に嵌めている自身のリングと、新しく嵌めることになった守護神のリングが同じ右手の人差し指ということで神通力の使い分けが大変難しいらしいのだ。

 これが左右別の手に嵌めているのならまだしも、両方右手となると、神通力を流すのにどの指に流すか繊細な調整が必要になり、指先まで意識せずにはいけない為、その微調整がまだ出来ていないらしい。

 どうやっても普段から慣れている右手中指に神通力を流してしまうらしい。

 俺達が出掛けていた間も金獅子は仁王の力を使えるようになるために猛特訓をしているとのことだった。

 蒼龍も同じく2つの王玉を持つ物として助言をしているそうだが、まだ時間はかかりそうとのこと。

 俺も紫鬼も2つ以上の王玉を持つがやはり同じ手に嵌めた別々のリングというわけではなく、俺は左耳のピアスと左手小指のリング、紫鬼は左右の手首のバングルと左足のバングルと別の部位のため、的確な助言は難しそうだった。

 こればっかりは金獅子自身に頑張って貰うしかないだろう。


 そんなわけで緑鳥達3人の護衛は設けない事に決めて、今まで通り残りのメンバーで甲蟲人との最前線に立ち、敵将には4人で挑む事にした。

 前線を守る人員が1人減ってしまう訳だが、そこは仕方ない。各地の兵士や傭兵達に頑張って貰おう。

 次の侵攻でようやく半分だ。

 6体目の魔将がどんなタイプの甲蟲人かは不明だが役割分担を決めておく事にした。

 先月魔将の相手をしたのが銀狼、茶牛、白狐と俺だった為、次回は金獅子、翠鷹、蒼龍、紺馬の4人で挑む事にした。

 やはり魔将の相手となると集中力も必要となり精神的に疲れが溜まるとの事で、交代することにしたのだ。

 金獅子は仁王の権能が使えるようになるだろうか。

 あと2週間程度で次の侵攻タイミングとなるため、仁王の力の制御が急がれる。

 金獅子には頑張って貰いたい。


 さて、ある程度先のことを決め終わった俺は皆にも魚料理を振る舞うべく台所に移動した。白狐も手伝いしてくれると言って一緒に来ている。

 まずは魔魚の解体を済ませる事にした。今までは旅の途中であったため、必要な量だけ切り分けていたが、この際だから全て切り身にしてしまうことにしたのだ。

 ハンマーヘットシイラの体長は6m程にもなる。切り身にしたら相当な量が取れるだろう。

 俺の手持ちのナイフでは解体に向かないため、白狐の白刃・白百合で卸してもらう。

 まず血抜きとして腹部に斬り込みを入れて詰まった内臓を綺麗に流す。この際にえらも落とす。

 尻尾を切り落としてから頭部分も切り落とす。頭は硬すぎて食べられたものではないので廃棄だ。

 そして身の切断に移る。

 まずは片側の上部背身を切り出してから下部腹身を切り出す。

 反転させて、再び上部背身を背骨に沿って切り出してから下部腹身を切り出す。

 背骨についた肉は俺がナイフで削ぎ落としていく。切り身にはならないが肉団子には出来るだろう。

 切り放した4つの部位から皮を剥いでいき、ブロック状に切り分けて貰う。

 ブロック状の天身を切り出してカワラ状にしてから、あとは適当な大きさにサクとして切り出せば完成だ。

 最終的に2000もの切り身が出来た。当分はこれだけであれば魚料理には困らなそうだな。

 だが毎回ハンマーヘットシイラの切り身では飽きてしまうだろう。やはり別の魚を仕入れるか。


 今日は魚のフライを作る事にした。

 まずは切り身を適当な大きさに切って塩を振る。

 卵、薄力粉、水を混ぜ合わせた衣にさっと通してパン粉をまぶす。

 きつね色になるまで揚げれば完成だ。

 今日はタルタルソースも作ろう。

 ゆで卵を作っている間にタマネギをみじん切りにして、水にさらしてから水気を取る。

 ゆで卵が出来たら、粗く潰してタマネギを加え、パセリ、塩コショウ、マヨネーズを入れて味を整える。

 皿に盛ったフライにタルタルソースをかけて出来上がりだ。


 食卓に並べられた料理がいつも碧鰐が座っていた茶牛と朱鮫の間が抜けた事で改めて碧鰐の死を実感した。

 が、俺が魚料理を作ること自体が珍しいので、皆よく食べた。タルタルソースの味も好評で魚は何の切り身だったのか聞かれたのでファイブラでのハンマーヘットシイラとの出会いについて話した。

 こんだけ美味いなら次は皆で釣りに行こうと朱鮫が言い出したが、今回はもうそんな時間はない。それに次の空き時間には迷宮探索を行う予定なのでまだまだ先の話になりそうだ。

 何はともあれ、魚のフライは好評でかなりの量を揚げたのだが、綺麗さっぱりなくなった。

 こんな事ならもっと揚げておいて影収納に仕舞っておくんだったな。


 こうして碧鰐を失ってから初めての皆揃っての夕食は終わったのだった。


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