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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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476話 ヌイカルド連邦国14

 翌日からまた6日間掛けて聖都まで戻った。

 1日目の街道を進んでいた時には魔物の襲撃もなく順調に進めていたが、森に囲まれた通りに入るなり途中またグルートエイプの下位種であるワイルドモンキーなどの猿軍団に襲われつつもこれを撃退。

 南北を森に囲まれた位置まで移動したところでワーウルフとワイルドウルフの混成軍に襲われた。

 ワーウルフはワイルドウルフを人型にしたような存在で人狼などと呼ばれる事もある。高い知能を持ち、人族領にありながら魔人化している事も多く、話の通じる魔物として有名だ。

 なかでも食事を与えたら襲ってくるどころか感謝を述べて森に帰っていったと言う話は有名だ。


 だが、今回襲ってきた奴らは軽くしか人語も扱えない野蛮なタイプでとにかく襲いかかってきた。

 ワーウルフ10体にワイルドウルフ6匹の大所帯だった為、近くに巣があるのかも知れない。

 ワーウルフは鋭い爪と高い膂力を持ち、ランク的にはBランク相当になる。

 連携技もなかなかなもので、1体が囮になりつつ、後方から2体同時に爪擊を放ってくるなど、攻撃パターンも多彩だった。

 さらにワイルドウルフも居たことで足元へも注意を払わなければならず、それなりに苦戦した。

 だが王化するほどの脅威ではなく、俺が積極的にワイルドウルフを狩り、白狐と紫鬼でワーウルフの相手をするという役割分担で殲滅していった。


「かなり大所帯でしたね。近くに巣でもあるのかもしれませんよ。」

「これだけの数じゃ。襲われたら普通の旅人やら商隊やらは手間取るだろうよ。」

「どうする?巣を探して潰して回るか?それなりに広い森だから時間はかかるだろうけど。」

「森に馬を引き連れて入るのもなかなかにむずかしいですしね。」

「うむ。今後も襲いかかってくる奴らは逃がさず倒すとして先を急ぐか。緑鳥にも邪神教についての顛末を伝えにゃいかんしな。」

「そうだな。それにこれからの事もある。早めに戻って相談する必要もあるだろう。」

 と巣を潰しに行くかと言う話も出たがサッサと聖都に戻って今後について皆と話をしようと言うことでその後も襲い来るワーウルフ達を撃退するに留めた。


 途中の夕飯で出したハンマーヘットシイラのムニエルが好評だった。

 作り方は簡単で、まずは切り身に塩コショウを振って馴染ませてから水気を切る。小麦粉を薄くまぶして中火で軽く焼き色が付くまで焼いたら裏返して蓋をして両面しっかりと焼く。

 焼き終わったら皿に盛り、溶かしたバターとショウユを合わせたソースをかけて出来上がりだ。

 やっぱり淡白な魚にはフライかムニエルが合うよな。

 幸い巨大魚なだけあってまだまだ切り身には残りがある。今度漁師町に行くことがあったらまた仕入れようと思う。


 とまぁ、そんな感じで先を急ぎつつも、久々の3人度を満喫した俺達は聖都に着くなり神殿に顔を出して緑鳥始め他のメンバーに事の顛末を伝えた。

「人が甲蟲人になったのか?」

 銀狼が問うてくる。

「えぇ。卵?みたいなものを飲み込んだと思ったら体が内側から裂かれてあの黒光りする外骨格が現れました。」

「最初は理性もあったんだがな。途中で狂戦士の如く周りに誰彼構わず襲いかかっておったぞ。」

 白狐と紫鬼が説明する。

 すでにモードの村から帰ってきていた金獅子もこれには興味を惹かれたようで、

「となると邪神のやつは人類を皆、甲蟲人に変える計画でもしているのかもしれんな。」

「碌でもない事を考えるものだな。」

 紺馬も呟くように言う。

「教祖の話ではまだ3つしかその卵?はなかったらしいけど、十分考えられるかもしれないな。」

 俺も頷く。

「せやけど、そんな不気味なもん邪神教徒以外が口にするかいな?」

 朱鮫が最もな意見を口にする。

「そこはあれちゃう?その卵とやらを口にしなかったら殺す言うて脅すとか。」

「うむ。いくらでも口にさせる事はできそうだな。」

 翠鷹に蒼龍が答える。

「まぁいずれにせよ、そうそうないとは思いたいが人間が甲蟲人に変わる事もあるとして今後は留意しておこう。」

 銀狼が纏めた。


 俺達が留守にしていた間に銀狼と翠鷹の義肢のメンテナンスも終えて茶牛達も帰ってきている。銀狼の義手については修理では直せず、作り直しになったと言うことでそれなりに費用がかかったようだ。またどこかしらに盗みに入らないと手持ちの金も少なくなってきた。

 ちょうど魚を仕入れたいとも思っていたところだ。次はシックスムやセブンガ辺りにまで足を伸ばしてみようか。


 皆はもう聞いていたようだが、金獅子からもモードの村での事について共有された。

 碧鰐の娘さんには盛大に泣かれたそうだが、奥さんは意外と冷静に受け止めたらしい。また、それまでの俺達といた時の碧鰐の様子について聞かれたそうで、3日かけて色々と話をしてきたそうだ。

 金獅子から獣王国で2人の面倒をみようかとも提案したそうだが、碧鰐と過ごした家を出るのが忍びないということでやんわりと断られたそうだ。

 だが金獅子の個人資産から2人に援助する話にしてきたそうで、碧鰐がいなくなっても2人で生活出来るだけの支援はするとの事だった。


 その後も改めて碧鰐の抜けた穴をどう埋めるか皆で話し合うのであった。


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