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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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473話 邪神教5

 壇上で睨み合う破王と蚊型の甲蟲人と化したスケサルン。

 その2人の間では高らかな金属音が鳴り響く。常人には見えないほどの速度で斬り合っているのである。

「スピードがさっきまでとは段違いですね。」

「ムゥ。コレガ拙者ノポテンシャルデゴザル。」

「ふっ。何を言うかと思えば。単に甲蟲人化してブーストされてるだけでしょうに。」

「違ウ!神カラ授カッタコノ力コソガ拙者本来ノ力ナノデゴザル。」

 会話する間にも互いに手は止めない。

 ギンキンガキン

 と硬質な音が鳴り響く。

 未だ互いに牽制の距離で刃が辛うじて届くだけの距離である。

 と、ここで破王が仕掛けた。

 深く一歩を踏み出して胴を横に薙いだ。

 カキン

 と硬質な音を立てて白刃・白百合が弾かれる。やはり甲蟲人として外骨格の硬質化がされているようだ。

 その一撃に身を固くしたスケサルンだったが、自身が無事である事を確認すると強気に出て大上段からの振り下ろしを行ってきた。

 これを白刃・白百合で受け止めた破王。

「ん?スピード特化になったせいか先程よりも力は弱いですね。」

 大太刀を弾き上げて袈裟斬りに白刃・白百合を振るう。

 カキン

 またしても外骨格に阻まれて痛打には至らない。

「フハハハ。効カヌワ!」

 その後も振り回される大太刀を白刃・白百合で受けるとダメージにならないと分かっている胴体部に頻りに斬撃を与える破王。

「効カヌ!効カヌワ!拙者ノ速度ハコンナモノデハナイデゴザル。マダマダ速クナルノデゴザル!」

 言う通りスケサルンの斬撃の速度が増していく。

 それでも破王の身にその大太刀が届くことは無く弾かれ去なされ躱される。

 しかし反撃として繰り出される破王の一撃もスケサルンの胴体を斬ることは無い。

 互いに有効打のないままに斬り合いは続く。


 と、ここで破王が狙いを変えてきた。大太刀を握る左手首を執拗に狙ってくるようになったのだ。

 しかし、スケサルンは自身にその刃が効かない事を学んでいるため、一向に気にもとめない。

 が数合の斬り合いの中で突如として左手首が断たれた。大太刀を握る左手首が斬り離されたのだ。

「グワッ!」

「ようやく関節部に入りましたか。時間が掛かりましたがこれで大太刀を振るい辛くなったでしょう?」

「ナ、ナゼダ!?貴様ノ剣ハ拙者ニハ効カナカッタハズデゴザル?!」

「甲蟲人にも弱点はあるんですよ。知らなかったんですか?関節部の外骨格は意外と脆いんです。胴体部分を執拗に狙ったおかげで貴男は私の刃が自身には効かないと擦り込まれたようですが、私の狙いは最初から関節部だったんですよ。」

「ナニヲ!」

 大太刀は通常片手で扱うには大きすぎる刀であるが、そこは甲蟲人化した事でどうにか振り回せるだけの膂力はあったようだ。

 だが精細を欠いたその剣戟は破王には届かない。

 斬撃が届く中、破王は白刃・白百合を鞘に納める。

 そして。

「抜刀術・飛光一閃!」

 高速で抜刀、振り抜かれた刀により放たれた一閃はスケサルンの左肩を切断した。

「ギガッ!」

 切断された左肩から大量の体液が流れ出す。その血はもはや赤ではなく青みがかっている。

「ク、クソガァァァァア!」

 我武者羅に大太刀を振るうスケサルン。だがその刃は一向に破王を捕らえる事はない。

「抜刀術・閃光二閃!」

 抜き身の白刃・白百合を目にもとまらぬ速度で振り上げると大太刀を大きく弾き上げる。

「抜刀術・発光三閃!」

 その剣閃が通った先では大太刀を持つ右手首が切り離される。

「抜刀術・残光四閃!」

 一気に4度振るわれた刀により左肩に続き右肩も切断される。

「抜刀術・無光五閃!」

 1度に5度振るわれた刀がスケサルンの首を刎ねた。

「ガッ!ナ、ナゼダ!?」

「外骨格に頼りすぎたんですよ。私の剣が通らないと見て油断した貴女が負けるのは道理でしょう。私も無駄な剣閃は放ちませんから。」

 どさっと後ろに倒れ込むスケサルン。この首は体とは大きく離れたところに着地する。

 首を刎ねられても未だにビクビクと跳ねるように動く胴体部。

 破王はその腰部分を狙って一閃を放つ。

 それまでに与えた斬撃も相まって腰から上下に分かたれるスケサルンの体。その頃には跳ねるような動きも止まっていた。

 その事を確認すると王化を解く破王。

「単純な剣士としてなら甲蟲人化する前の方が脅威でしたよ。」

 物言わぬ屍となったスケサルンに向けて言葉を投げかけた白狐。

「さて、紫鬼さんは…もう終わりそうですね。あとはクロさんだけですか。」

 同じく壇上で戦う黒猫と飛蝗型の甲蟲人と化したコーモウンの闘いを見やる白狐。

 黒猫とコーモウンは互いに魔術を放ちながら接近戦を繰り返していた。

「あれなら放っておいてもクロさんの勝ちですね。私は残党狩りと行きましょうか。」

 逃げ惑う人々の中にあっても未だに武器を構えて遠巻きに見ていた集団もいた。

「そんな。幹部のお二人がやられてしまった。」

「コーモウン様が危ない。」

「教祖様を御守りするのだ。」

 ざわめく一同。

 その前に立ち塞がる白狐。

「クロさんの邪魔はさせませんよ。」

 そう言って1人ずつ血祭りに上げていく白狐であった。


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