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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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471話 邪神教3

 コーモウンの叫び声を聞いたスケサルンは懐から卵のような球体を取り出すと口に含む。そのまま首を大きく膨らませて球体を飲み込む。

 変化はすぐに訪れた。

 着ていた着衣を切り裂きながら黒光りする副碗が生えてくる。

 ビリバリビリ

 肉体も皮を弾かせながら黒光りする漆黒のモノへと変化する。

 顔も皮を破り虫のそれへと変化する。

「フシュー。虫王、()ニゴザル。」

 大太刀を手にしたままスケサルンの体は一回り大きくなり、人型の虫のそれへと姿を変えた。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 コーモウンの叫び声を聞いたカクサエンは懐から丸い卵のような球体を取り出して口に含む。そのまま嚥下したカクサエンの、体が豹変する。

 ビリビリビリ

 肉体を突き破り黒光りする漆黒の体へと変化していくカクサエン。顔も皮を突き破り虫のそれへと変える。

「フシュー。虫王、団子虫(ダンゴムシ)ヨ。」

 多碗を動かしてカクサエンが言った。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 懐から出した卵のような球体を飲み込んだコーモウンに最初に現れた変化は服を突き破り生えてきた副碗である。黒光りするそれは左右に1本ずつ生えると

 バリバリバリ

 皮を突き破り黒光りする肉体が現れた。

 顔の皮も捲れ上がり大きな瞳を持つ、まるで甲蟲人の如き様相である。

「フシュー。虫王、飛蝗(バッタ)デアル。」 


 まるで甲蟲人のように様変わりしたコーモウン。

「お前、そこまでして。ってかどうやってさっきの卵?みたいなの手に入れたんだ?」

「フハハハ。アレハ数ヶ月前ノ事。イツモノヨウニ邪神様ノ御本尊ニ祈リヲ捧ゲテイタ時ニ邪神様ガ顕現ナサッタノダ。」

「なに?邪神が現れたってのか?」

「ウム。ソシテ仰ッタ。『ボクを信仰する人間とか珍しいね。まぁいいや。ちょうどいいからこれあげる。人間に甲蟲の力を授けるアイテムだよ。今は3つしかないけど、もしもの時に使ってごらん。面白い事になると想うよ。じゃあね。』ト。」

「人に甲蟲の力を授けるだと?」

「フハハハ。コウナッタ拙僧ニ、オ主ハ倒サレルシカアルマイ。」

「それ、元に戻れるのかよ?」

「フハハハ。邪神様ノ為ナラ人間ヲ辞メルコトナド造作モ無イワ。死ネ!」

 手にしたメイスで襲いかかってくるコーモウン。先程までとは速度が段違いだ。

 しかし右手のナイフで受け流すと左手のナイフをコーモウンの腹部に向かって振るう。

 ガキン

 まるで甲蟲人だとは言ったが本当に甲蟲人並に表皮が硬くなっている。

 このまま挑むのは分が悪い。

 俺は後ろに跳び下がると王化する事にした。

「王化!夜王!!」

 左耳のピアスにはまる王玉から真っ黒な煙を吐き出しその身に纏う。

 その後煙が体の中に吸い込まれるように消えていくと猫を思わせる真っ黒な兜に、同じく真っ黒な全身鎧を身に着けた夜王の姿となる。

 俺は影収納から主力武器である黒刃・右月と黒刃・左月を取り出した。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 蚊型の甲蟲人と化したスケサルンの動きもまた先程までとは段違いで、斬り合いとなった白狐は手数に負けて腹部を斬られ後退する。斬り傷は表皮を切り裂いただけで肉までは断たれていない。だが、このまま挑むには敵のパワーアップは想定外だった。

「仕方ないですね。王化。破王。」

 白狐の右耳にしたピアスにはまった真っ白い石から、白い煙が立ち上り白狐の姿を覆い隠す。

 次の瞬間、煙は白狐の体に吸い込まれるように消えていき、残ったのはどことなく狐を思わせる真っ白いフルフェイスの兜と、同じく真っ白い全身鎧に身を包んだ破王の姿となった。


「にしても人間ご甲蟲人になるなんて。さっきの卵みたいなものはなんだったんでしょうね。」

「クフフ。拙者モ詳シクハ知ラナイガ、邪神様カラノ贈リ物ダソウデゴザル。」

「邪神からの?」

「クフフ。オ喋リノ時間ハココマデデゴザル。存分ニ殺シ合オウゾ。」

 大太刀を手にした蚊型の甲蟲人、スケサルンは大上段からの斬り下げを行う。

 相当な膂力であったが、王化した破王はこれを受け止める事が出来た。

 鍔迫り合いへと至る両者。今度は破王の方が競り負けて後退させられる。

「全くやり辛くなっちゃいましたね。」

 破王は呟くとスケサルンへと白刃・白百合を振るう。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「なんだその姿は?甲蟲人になったのか??」

 団子虫型の甲蟲人と化したカクサエンに向けて紫鬼が問い掛ける。

「ウフフフ。コレガ邪神様ヨリ賜ッタ力。力ガ漲ルワ。今ノアタイニ敵ウ相手ナンテイナイワ!」

 強烈な回し蹴りが紫鬼を襲う。

 スピードもパワーも数段上がっている。

 辛くもこれを受け止めた紫鬼であったが続けて繰り出された正拳突きを腹部に受けて吹き飛ばされる。

「痛つつつ。まるで別人じゃのう。だがそっちがパワーアップするならこっちもパワーアップじゃ!王化!鬼王!剛鬼!」

 紫鬼が王化し、右腕にしたバングルにはまる王玉から赤紫色の煙を吐き出しその身に纏う。

 その煙刃体に吸い込まれるように消えていき、煙が晴れると額に2本の角を持つ鬼を象った赤紫色のフルフェイスの兜に赤紫色の王鎧を身に着けた鬼王の姿となる。


「はっ!」

「フッ!」

 両者の繰り出した拳がかち合う。パワーは互角か。前蹴りを放つ鬼王。だがこれを正面から受け止めたカクサエン。放たれた前蹴りの足を掴んでぶん回す。

「うおっ!?」

 ぶん投げられた鬼王。

「かなりパワーアップしとるのぅ。こりゃやり辛くなったわい。」


 再び両者の拳が交差する。


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