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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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460話 甲蟲人:蠍5

「せいやっ!」

 気合の掛け声と共に白狐が斬りかかる。

 白刃・白百合とシミターとの激しい剣閃が舞う。

 正直今近付いても白狐の邪魔になるだろう。俺達は固唾を飲んで見守る。

 白狐がシミターを跳ね上げがら空きになった胴体へと刀を一閃させる。

 ビギッ

 蠍型甲蟲人の外骨格に罅が入る。

 しかし、その直後、蠍型甲蟲人がシミターを振るい白狐を再び袈裟斬りにする。飛び散る王鎧の破片。どうやら白狐の王鎧に亀裂が入ったようだ。その亀裂に向けて再度シミターを振るう蠍型甲蟲人。白狐は吹き飛ばされてしまう。


 だがおかげで蠍型甲蟲人が後ろを向いた。

「今だ!」

 俺と銀狼も躍りかかる。

 がまたしても蠍型甲蟲人はその場で1回転。長大な尻尾が俺達の行く手を遮る。

 が回転が終わったと同時に茶牛が動いた。

 後方からのハサミを失った右腕目掛けてバトルハンマーをフルスイング。

「ぐはっ!」

 よろける蠍型甲蟲人。そこに俺は斬りかかる。

 黒刃・右月と黒刃・左月を縦横無尽に走らせ外骨格を削っていく。

 さらに俺の後方からの銀狼も躍り出た。

「双狼刃!」

 振り抜かれた双剣により右肩口から右腕が斬り離される。

「ふんがっ!」

 蠍型甲蟲人が尻尾を差し向ける。

 銀狼は自ら右腕を晒してこれを受ける。が受け止めきれずに吹き飛ばされる。

 続いて蠍型甲蟲人は尻尾を振って茶牛を跳ね飛ばす。転がる茶牛。それを横目に俺は再び斬りかかる。


 俺のナイフの軌道を予測しているかの如くシミターで全てを受けきる蠍型甲蟲人。それだけで無くシミターを振るいながら尻尾の針を突き刺そうとしてくる。

 俺は思いっきり後方へ跳躍してこれを避けた。

「飛剣!」

 戻ってきた白狐が空かさず飛ぶ斬撃を放つ。しかしシミターを振り抜きこれを霧散させる蠍型甲蟲人。

 あの尻尾が邪魔だな。リーチも長いため、うかつに懐に入れない。

 なら中距離攻撃だ!

「影針!」

 俺は影を伸ばし蠍型甲蟲人の足元まで影が伸びたところで影の針を出現させる。

 下からの攻撃は予測してなかったのだろう。影針は硬い外骨格をも砕き蠍型甲虫蟲人の尻尾を縫い止める。

「今!」

 白狐が斬りかかる。

 シミターで応戦する蠍型甲蟲人。白刃・白百合を弾きながらもモゾモゾ動き影針から逃れようとする。させるか!

「影針!」

 さらに俺は影の針を浴びせる。

 長大な尻尾は格好の的となり、俺の影針が突き刺さる。

「影針!」

 影の針が蠍型甲蟲人の左足にヒット。外骨格を砕く。

 それを見た白狐。一気に狙いを左足へと変えて白刃・白百合を振るう。

 これには堪らず蠍型甲蟲人は無理矢理影針から抜け出して後方に跳ぶ。

 そこには復帰した茶牛の姿がある。

「おりゃぁぁぁあ!」

 裂帛の気合と共に振り抜かれたバトルハンマー。尻尾を上へとかちあげる。そしてできたすき間を縫って背中へとバトルハンマーをフルスイング。

 蠍型甲蟲人はこちらへと吹き飛んできた。

 チャンス到来!

 俺はシミターを握る左腕手首を狙って黒刃・左月を一閃。手首を斬り落とす。

 それでも蠍型甲蟲人はかち上げられた尻尾を戻して俺に針を向けてくる。黒刃・右月でこれをガードするも勢いに負けて転がされる。

 俺が起ち上がると隣に吹き飛ばされていた銀狼が戻ってきた。


 何度目かになる睨み合い。

 だが今は右腕も左手首も失い、蠍型甲人には残る武器は尻尾の針しかない。

「せいっ!」

 白狐が斬りかかるも手首を失った左腕を掲げて白刃・白百合を受け止めた蠍型甲蟲人。反撃とばかりに尻尾の針で白狐の胸部を突く。

「喰らえや!アサシンズスタブ!」

 吹き飛ぶ白狐。毒は?大丈夫か?

 起ち上がった白狐。王鎧の胸部に罅は入っているが貫通はしなかったようだ。

 銀狼が前に出る。次の獲物を見つけたとばかりに蠍型甲蟲人の尻尾が銀狼へと迫る。

「氷結狼々剣!」

 振り抜かれた双剣。弾かれる尻尾の針。よく見ればその針の先端は凍りついている。

「始めからこうすれば良かったな。凍らせてしまえば毒もだせないだろう。」

「ナイス!銀狼!」

 俺は蠍型甲蟲人の前に躍り出る。

 後方からは茶牛も迫る。

「ワテの尻尾になにしてくれとんのじゃ!」

 喚く蠍型甲蟲人。

 白狐に付けられた胴体部分の罅に向けて黒刃・右月と黒刃・左月で滅多斬りにする。外骨格が砕けた。だが先端は凍っても尻尾はまだ動かせた。俺は振り抜かれた尻尾に吹き飛ばされる。


 後方から迫っていた茶牛も尻尾の一撃を受けて吹き飛ぶ。

「ワテは負けへんで!ハサミを失おうと左手首を切り落とされようともワテにはこの尻尾がある!」

「ならその自慢の尻尾も切り落としてあげますよっ!」

 白狐が白刃・白百合を振るう。

 影針により穴の空いた箇所に刀を突き入れると強引に切り裂く。

 そして再び連続斬撃を放つ。

「抜刀術・飛光一閃!」

 高速で振り抜かれた刀により放たれた一閃は蠍型甲蟲人の尻尾を的確に狙う。

「抜刀術・閃光二閃!」

 抜き身の白刃・白百合を目にもとまらぬ速度で振り上げ、振り下ろす。

「抜刀術・発光三閃!」

 その剣閃が通った先ではさらに尻尾が千切れる。

「抜刀術・残光四閃!」

 一気に4度振るわれた白刃・白百合刀により尻尾が半ばから完全に千切れた。

「抜刀術・無光五閃!」

 1度に5度振るわれた刀が蠍型甲蟲人の背中を切り裂き外骨格に罅を入れる。

 さらに後方からは茶牛がバトルハンマーを振りかぶる。

「ふんぬっ!」

 罅の入った背中にフルスイングをぶち当てて外骨格を砕く。

「がはっ!」

 前面に倒れ込もうとする蠍型甲蟲人。だが休ませてはやらない。

 俺と銀狼は前方から猛攻を仕掛ける。

 銀狼の双剣が腹部の外骨格を砕き、俺のナイフが肉へと届く。

 俺達は止まらない。

 腹部を切り裂き、突き刺し、ズタズタにする。

「あ…ぁ。ワテが…負け…るなんて。」

 倒れ込む蠍型甲蟲人。

 その首筋へと白狐が白刃・白百合を潜り込ませて首を刎ねた。


 こうして、敵将を討ち取った俺達だった。


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