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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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458話 甲蟲人:蠍3

 蠅型甲蟲人を撃ち倒した獣王達4人はすぐさま最前線で戦う紺馬に合流した。

「蠅型は?」

「倒した。」

 精霊王の質問に短く答える龍王。さりげなく精霊王の隣に立ち、迫る甲蟲人:蟻の首を突く。

「そうか。火炎矢!火炎矢!!」

 これにも短く答えて攻撃を続ける精霊王。姿の見えない碧鰐の事は気になりながらも蟻達の相手を続ける。

「うおぉぉぉぉお!鬼拳!鬼拳!!鬼拳!!!」

 鬼王のジャブ、ジャブ、ストレートの3連撃を受けて甲蟲人:蟻が吹き飛ぶ。吹き飛んだ先では数体の蟻を巻き込み倒れる。

「はあぁぁぁ!雷鳴剣!!」

 獣王の電撃を乗せた大剣の一撃が、1度に3体の甲蟲人:蟻を切り裂く。

「スパークショット!スパークショット!!」

 電撃を纏った高速突きを繰り出す賢王。


「中央部はワタシと蒼龍で対処する。獣王は北側を、鬼王と、賢王は南側を頼む。」

 紺馬が指示を出す。

「分かった。」

「おうよ。」

「はいな。」

 3人は言われた通り最前線を駆け抜ける。

 立ち塞がる蟻共を蹴散らして各々最前線にて戦う兵士達の支援へと回る。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ファイアストーム!アイスハリケーン!!サンダーテンペスト!!!」

 さらに3つの竜巻を発生させた魔王はがくりと膝をつく。

「藍鷲殿、大丈夫かいな?」

「セカンダルへゲートを開いたのが効いてますね。六千人を通すのにかなりの時間ゲートを開いていたので。」

「無理はせんようにな。ワイが代わりに気張るさかいに。ファイアショット!」

 法王の持つ杖からは絶え間なく魔術が放たれる。

 魔術は大気中の魔素を使って放たれるため、魔法のように魔力切れの心配はない。此処ぞとばかりに魔術を放ち続ける法王。

「わたしも負けていられませんね。」

 笑う膝に力を入れて起ち上がる魔王。

「無理せんとき。藍鷲殿には戦闘終了後にもまたゲート開くっちゅう大仕事が残ってるんやから。さすがにセカンダルの兵士やら傭兵やらをここに残していくのは可哀想やろ。」

「自力で戻れる人達には頑張って欲しいところですが。確かに連れてきておいて帰りは勝手にというのもアレですね。」

「せやで。帰りの分のゲート開けるだけの魔力は残しとき。」

「いつもすいません。」

「何言うてんねや。藍鷲殿のおかげでワイらは戦場にいち早く到着出来てるんやで。1番の功労者やわ。」

「そう言って頂けると助かります。」

「本心やで。」

 言いながらも魔術を放つ法王。

「そうですよ。藍鷲様はすでに多大な成果を残されてます。セカンダルの兵士や傭兵の援軍がなければ今頃サーズダルは敵の手に落ちていたかもしれませんし。」

 一通りの治療を終えた聖王も傍までやって来た。いつの間にか王化していたようだ。

「回復はもうええのん?」

「重傷者の治癒は終わりました。しかし休んでいる暇はなさそうですね。また新たな負傷者が運ばれてきたようです。」

「緑鳥殿にしか出来んお仕事やからな。頼むで。」

「はい!行ってきます!」

 再び負傷者達の元へと駆けていく聖王。

「ほな、ワイももう一踏ん張りや!そろそろ足止めの魔術の方がええか。アイシクルランス!」

 法王の持つ杖の先に巨大な氷塊が現れる。それは槍のように三角錐の形をしており、ただぶつけてダメージを与えるだけで無く、飛び散った氷塊に触れると凍結する属性を持つ。

 そんな氷塊が戦場に降り注ぐ。

 蟻達は氷塊に当たりダメージを負う者と飛び散った氷塊に触れて凍りつく者と多大な損害を被る。

 法王の魔術は留まる事を知らない。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 数合にも渡る白狐と蠍型甲蟲人の斬り合い。それを制したのはなんと蠍型甲蟲人。

 白狐の胴を薙ぎ払い、前蹴りで転がす。

「くっ!」

 白狐が斬り合いで負けるなんて初めて見た。

 白刃・白百合とシミター、お互いに武器は1本ずつだが、蠍型甲蟲人には右手のハサミがあった。これで白刃・白百合を受けて空いた左手のシミターを自在に扱ったのだ。

 あのハサミが邪魔だな。

 そうこうしているうちに茶牛が復帰した。

 後方からバトルハンマーを振りかぶる。

 しかし、後ろに目でもついているかのようにこれをヒラリと避けた蠍型甲蟲人、お返しとばかりに右手のハサミで茶牛の胴体を挟み込む。

 ミシミシと茶牛の王鎧が軋む音が聞こえる。


「せりゃっ!」

 銀狼がその背後から斬りかかるも尻尾に阻まれて有効打を与えられない。

 このままでは茶牛の王鎧が砕けてしまう。俺は前方に回り込むと茶牛を挟むハサミの手首部分に斬りかかった。

 これを嫌がったように右腕を大きく振るい茶牛を吹き飛ばすと俺に向けてハサミを向けてくる。

 俺はこれを左手の黒刃・左月で跳ね上げると手首に向けて黒刃・右月を振るう。

 いつものガキンという音で無くザシュッと斬れる音がした。見事に黒刃・右月が手首の関節部に入ったようだ。

「くそがっ。お返しやで!」

 シミターを振るい俺を袈裟斬りにした蠍型甲蟲人。そのままクルリと1回転して尻尾を叩き付けられる。

 斬りつけられても王鎧には切り傷はついても生身が覗くほどの傷でもない。だが続く尻尾の一撃は俺の頭部を掠め脳しんとうを引き起こした。

 クラクラする中、吹き飛ばされた俺。恐らく前蹴りを腹に受けたのだろう。

 数回転がり動きを止めた俺は、いまだクラクラする頭を振るって蠍型甲蟲人を睨む。

 そこでは銀狼と蠍型甲蟲人の斬り合いが始まっていた。


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