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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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456話 甲蟲人:蠅10

 上空から急降下してくる蠅の王。

 迎え撃つのは獣王。大剣を下に構えて振りあげる。

 ガギンッ

 大剣とバトルアックスが激突し火花が散る。

「おりゃぁぁぁあ!」

 そこに割って入るのは鬼王。

 滞空している蠅の王に向けて拳を突き出す。

 だが飛翔しこれを避けた蠅の王。そして唐突に向きを変えて賢王へと迫る。

 柄の長い方を持って片手で振るわれたバトルアックス。遠心力も加わり相当な力になる。

 これを細剣で受けた賢王。しかし、やはり細剣では威力を受け止めきれずに吹き飛ばされる。

 賢王が吹き飛んだ後にエントリーしたのは龍王。


 バトルアックスを振り切った後の蠅の王目掛けて三叉の槍を高速で突き出す。

「龍覇連突!」

 まるで槍の数が増えたかのように見えるほどの高速突き。

 その全てをその身に受けた蠅の王は吹き飛ばされながらも翅を動かし体勢を整える。

 その横手から獣王が大剣を振り抜く。

「雷鳴剣!」

 雷を纏った大剣の一撃をバトルアックスで受け止めた蠅の王。しかし、流れる電流は止められず身体が痺れる。

「うぉぉぉぉお!鬼拳!!」

 痺れたところに鬼王の渾身の右ストレートがヒット。吹き飛ぶ蠅の王。

 何度も吹き飛ばされた賢王が戻ってくるが左足を引きずっている。義足に不具合でも出たか。


「Yeah!やりやがったな!」

 蟻たちの中にまで吹き飛びつつもまだ起ち上がる蠅の王。

「まだ起ち上がるのか。」

「鬼拳がクリーンヒットしたと言うのにな。」

 獣王と鬼王が構える。

「翠鷹、足はだいじないか?」

 賢王に龍王が尋ねる。

「義足が外れそうなっただけや。動く分には問題ないわ。」

 足を曲げ伸ばししながら答える賢王。

 よく見れば蠅の王の顔面を覆う外骨格に罅が入っている。

 鬼拳の威力はしっかりとダメージを与えている。

 それでもまた上空へと飛翔する蠅の王。

「また上からの攻撃か。」

「あの高さでは跳躍しても届かん。下降してくるのを待つほかないな。」

 龍王が呟き、獣王が応える。

「来るで!」

 賢王が声を上げた。

 急降下してくる蠅の王。狙いは龍王。

「haha!」

 バトルアックスを振り抜く蠅の王。そのバトルアックスをしっかりと両手で支えた三叉の槍で受け止めた龍王。

 そこに鬼王、獣王、賢王が殺到する。

 バトルアックスを振り抜いたままの遠心力でその場で回り始める蠅の王。そこに獣王が大剣を振り下ろす。

 ガギンッ

 火花を散らしバトルアックスと大剣がぶつかる。競り負けたのは獣王。大剣を弾かれて蹈鞴を踏む。

 だが回転は止まった。

 そこに鬼王のラッシュが始まる。

 左ジャブ、左ジャブ、右ストレート、左フック、右ジャブ、左アッパー。蠅の王の外骨格に罅が入っていく。

 さらに賢王も攻める。

「スパークショット!」

 電撃を纏った突きが首筋に突き刺さる。

 龍王も黙ってはいない。

「龍覇連突!」

 高速突きが蠅の王の外骨格を削る。

「oh!」

 吹き飛ぶ蠅の王。それを追うように獣王が駆ける。

「雷鳴剣!」

 バリバリバリバリ!

 放電する大剣を振り抜く。

 蠅の王の左足に吸い込まれた大剣は付け根から左足を切断する。

 それでも蠅の王はまだ動き続ける。

 振り抜きざまに振り抜かれたバトルアックスは獣王を逆袈裟斬りにする。獣王の王鎧にも罅が入る。

「Yeah!」

「くそっ!なにがイェイだ!」

 大剣で突きを放つ獣王。これを翅を動かして避ける蠅の王。

 お返しとばかりにバトルアックスを振るい獣王を吹き飛ばす。


 片腕と片足を失ってなお、戦い続ける蠅の王の気迫に若干押され気味な王達。

「水撃・龍翔閃!」

 龍王の突き出した三叉の槍から高速で圧縮された水球が放たれ蠅の王へと迫る。

「ゴフッ!」

 水球は鳩尾に激突し滞空していた蠅の王を地上へと落とした。

「うおぉぉぉぉお!鬼拳!」

 地上に落ちた蠅の王へ鬼王が裂帛の気合を込めた拳を突き出す。

 ちょうど身体を起こそうとしていた顔面へと吸い込まれる拳。蠅の王が吹き飛ぶ。

 蠅の王とて満身創痍である。

 鬼王の隣に龍王、賢王も並ぶ。

 何度目かになる睨み合い。先に動いたのは蠅の王だった。


「Yeah!まだまだ飛べるぜ!流れを変えるぜ!!」

 また上空へと舞い上がる蠅の王。

 それに対して龍王が三叉の槍で突きを放つ。

「水撃・龍翔閃!」

 突き出された三叉の槍から高速で圧縮された水球が放たれる。

 バトルアックスでこれを真っ二つに切り裂く蠅の王。

 しかし次の瞬間。猛烈な火炎弾が蠅の背中に直撃した。

「な?!なんだ!」

 次々と降りかかる火炎弾。

 その火炎弾は朱鮫が後方から前線へと向けて放ったファイアショットの火球であった。

 ドコに避けようとも無数に飛んでくる火炎弾。

 その炎に翅を焼かれ墜落していく蠅の王。その背後には跳躍していた獣王の姿があった。

「雷撃・断頭斬!」

 電撃を纏った大剣の一撃を頭頂部に受けた蠅の王。

 頭の天辺から罅が入り、全身を痺れさせて撃墜される。

 墜落してくる蠅の王に向けて鬼王がジャンピングアッパーを打ち噛ます。

「鬼拳!」

 跳ね上げられる蠅の王。落下してきた獣王が再び雷撃の大剣を振り下ろす。

「雷撃・断頭斬!!」

 地面に叩き付けられた蠅の王。

 まだ僅かに動いている。

 そこに賢王が迫る。

「スパークショット!」

 電撃を纏った高速突きが蠅の王の首筋へと突き刺さる。

 痙攣したように体を跳ねさせる蠅の王。

 痙攣が治まるとピクリともにしなくなる蠅の王。

 こうして2度目となる蠅型甲蟲人との勝負が決したのであった。


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