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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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453話 甲蟲人:蠅8

 碧鰐の身体を突き破り姿を現した蠅型の甲蟲人。その姿を見て紫鬼と金獅子が言う。

「お前は蠅の王!」

「何故だ!お前は先月出したはず!」

 確かにその姿は先月倒したはずの蠅型甲蟲人。僅かに身体のサイズは小さくなっているように見える。150cmあるかないか。

 そんな蠅型甲蟲人は血に濡れた身体を気にすること無く口を開く。

「Yo!オレっちの再誕にお前らに驚嘆。簡単な話オレっちの卵をお前らの仲間に植え付けて淡々と成長、満タンになるまで力を蓄えて大胆に裁断。診断書はいらねぇぜ、お前らの仲間はすでに死んだんだぜ。最後にお前らの仲間は泣いたんだぜ。破綻するお前らの勝利への平坦な道程。をまさに横断するように英断。暗澹たる気持を胸に今お前らは死への階段を登るんだぜ。」

 蠅型の甲蟲人がまくし立てる。

「碧鰐は?」

「碧鰐が死んだじゃと?」

 蠅型の甲蟲人の足元には真っ2つに裂かれた碧鰐の抜け殻が転がっていた。

 その姿を見て改めて状況を把握した金獅子と紫鬼。

「碧鰐ぅぅぅぅう!」

「貴様ぁぁぁぁあ!」

 金獅子が大剣を振りかぶり甲蟲人:蠅へと振り下ろす。

 紫鬼も甲蟲人:蠅に向かって拳を突き出す。

 ヒラリと躱した甲蟲人:蠅は足元に落ちる碧鰐の亡骸が持つバトルアックスを手に取る。

「YoYo!ハンマーじゃなく斧か。この状況ではNoはないな。炎を出すような魔道具ではないのか?外に出てこれただけでももーぉ我慢するか!」

 手にしたバトルアックスを振り回す甲蟲人:蠅。ふとした拍子に片手斧から両手斧に柄が伸びる。

「Yeah!これならハンマーと大差ないぜ!もー返さないぜ!!」

 バトルアックスを振り回す甲蟲人:蠅。


 その時、後方から兵士達がやって来た。セカンダルからの増援だ。先頭には翠鷹の姿も見える。

「セカンダルからの増援、五千名の兵士達と千名の傭兵達の到着や!」

 翠鷹が声を張り上げ戦場に響かせる。すると後方で回復された兵士達も混じり甲蟲人:蟻の元へと走る。

 金獅子と紫鬼に気付いた翠鷹が駆けてくる。

「どうしたん?金獅子はん。紫鬼はん。こいつは?こんな前線に敵将か?」

 すぐさま細剣を抜き放ち構える翠鷹。

「こいつは蠅の王じゃ。先月攻め入ってきた時の敵将じゃ。」

「碧鰐がやられた。先月戦っていた時に卵を植え付けられたらしい。」

「碧鰐はんが?」

 見やれば甲蟲人:蠅と金獅子達の間に碧鰐の真っ2つに割れた身体が転がっている。

「碧鰐はん!」

「確かに先月戦った際に碧鰐は王鎧を割られていた。その隙間を狙って卵を植え付けたのだろう。」

「許せん!貴様よくも碧鰐を!王化!鬼王!剛鬼!」

 紫鬼が王化し、右腕にしたバングルにはまる王玉から赤紫色の煙を吐き出しその身に纏う。

 その煙刃体に吸い込まれるように消えていき、煙が晴れると額に2本の角を持つ鬼を象った赤紫色のフルフェイスの兜に赤紫色の王鎧を身に着けた鬼王の姿となる。

「王化!獣王!」

 続けて金獅子が声を上げると、右手中指のリングにはまる金色の王玉から金色の煙を吐き出しその身に纏う。

 次の瞬間、その煙が吸い込まれるように体の中に消えていき、煙が晴れると獅子を想起させるフルフェイスの兜に金色に輝く王鎧を身に着けた獣王の姿となる。

「ウチも!王化!賢王!」

 翠鷹が王化し、右手薬指のリングにはまる王玉から翠色の煙を吐き出しその身に纏う。

 その煙は体の中に吸い込まれるように消えていき、煙が晴れると鷹を象った翠色のフルフェイスの兜に翠色に輝く王鎧を身に着けた賢王の姿となる。


 突如後方で王化した金獅子達に気付き、紺馬と蒼龍が振り返る。

「な?!あれは先月倒した敵将の蠅型甲蟲人ではないか?」

「なに?倒したはずの敵将がいきなり後方に現れたのか?」

「ワタシ達も王化を!王化!精霊王!」

 紺馬が王化し、左手薬指のリングにはまる王玉から紺色の煙を吐き出しその身に纏う。

 その煙は体に吸い込まれるように消えていき、煙が晴れると馬を象った紺色のフルフェイスの兜に紺色に輝く王鎧を身に着けた精霊王の姿となる。

「うむ。王化!龍王!」

 蒼龍が言うと胸に下げたネックレスにはまる蒼色の王玉から蒼色の煙が吐き出される。

 その煙は体に吸い込まれるように消えていき、残ったのは龍をモチーフにしたような兜に蒼色の全身鎧を纏った龍王の姿となる。

「碧鰐の姿が見えない。3人では敵将の相手は辛かろう。ここは任せて良いか?」

 龍王が精霊王に問い掛ける。

「任せて。アイツは空も飛ぶ。気を付けてくれ。」

 精霊王は言って甲蟲人:蟻達に向かって火炎の矢を射る。

「火炎矢!」

「うむ。任せた。」

 それだけ言うと龍王も甲蟲人:蠅へと向かっていく。


「YoYo!そっちはヤル気満々だな!燦々と降り注ぐ太陽に段々と火照る身体。おい!そっち!散漫になってんじゃねーぞ。オレッちを見やがれ。」

 未だ碧鰐の亡骸に目を向けていた獣王達に甲蟲人:蠅が言う。

 横並びになる獣王、鬼王、龍王、賢王。武器を構えて甲蟲人:蠅と睨み合う。

 先に動いたのは鬼王。

 碧鰐の亡骸を飛び越えて甲蟲人:蠅に殴り掛かる。

 それに続く獣王、龍王、賢王。

 鬼王の拳を避けた所に獣王の大剣が迫る。

 バトルアックスを掲げてこれを受けようとする甲蟲人:蠅に龍王の三叉の槍による突きと賢王の細剣による突きが迫る。

 これには大きく後退して距離を取った甲蟲人:蠅。

 戦場の最前線にありながら敵将と4人の王の戦いが始まった。


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