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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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452話 甲蟲人:蟻16

 俺達が蟻共と戦っていたところに銀狼達もやって来た。

「緑鳥と藍鷲、それに翠鷹は?朱鮫はさっき魔術をぶっ放してたから戦場には着いてるんだろうけど。」

 俺が銀狼に問いかけると

「緑鳥は朱鮫と共に後方で負傷者の手当をしている。藍鷲と翠鷹はまだ西門にいるはずだ。領主のテトラからセカンダルにゲートを繋ぐように依頼されてな。」

「セカンダルにゲートを?目印もないのにいけるのか?」

「さぁ?藍鷲次第だな。ただゲートを繋げられればセカンダルに待機している兵士五千名が支援にやってくるそうだ。」

「そうか。なら藍鷲に頑張って貰うしか無いな。」

「あぁ。それで敵将の姿は見えたか?」

「いや、きっと後方に待機しているんだろう。」

 そこで白狐が割って入った。

「私が後方に斬り込みます。クロさんも一緒に来て貰えますか?」

「分かった。」

「なら儂もいくだよぉ。最近活躍の場がなかったでなぁ。たまには敵将と戦うだよぉ。」

 茶牛もヤル気だ。

「3人じゃキツいだろう。ワタシは領主から兵士達と傭兵達の指揮を任されているから牙王、お前が一緒に行ってくれ。」

 紺馬が銀狼に言う。

「分かった。じゃあ前線の維持は任せた。」

「おぅ。任された。行ってこい!」

 金獅子も蟻相手に大剣を振るいながら言う。

 そう言うことで白狐を先頭に俺、茶牛、銀狼の4人は蟻を蹴散らしながら敵後方へと向かう事になった。


「今日の私は絶好調ですよ!」

 白狐が白刃・白百合を振り回し前方の蟻共を斬りまくる。

 俺はその後方から横から迫る蟻の腕や首を狙ってナイフを振り回す。

「うぉりゃあぁぁぁぁ!」

 俺の後ろでは茶牛がバトルハンマーを振り回して蟻共を吹き飛ばしている。

「見えた。最後方のさらに200m後方だ。あれが敵将だろう。」

 銀狼の声が後方から聞こえる。

 目を凝らして前方を見れば確かに敵将らしき姿が見える。かなり後方だ。俯瞰して戦場を見ているのだろう。

「このまま敵将まで駆け抜けますよ!」

 白狐がさらに速度を増して白刃・白百合を振るう。

 敵将の姿がハッキリと見えてきた。

 巨大な尻尾を持つその姿は蠍に違いない。

「敵将は蠍型だな。尻尾の針に気を付けよう。きっと毒持ちだ。」

「「「おー!」」」

 俺が言うと皆が返答する。

 蟻の集団を抜け出した。俺達は未だ腕を組み戦場を見渡す敵将へと迫る。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 前線に残ったのは紺馬、金獅子、紫鬼、蒼龍に碧鰐の5人。

 まだ戦闘前だと言うのに碧鰐は脂汗を流していた。

「碧鰐、大丈夫か?具合でも悪いのか?」

 金獅子が声をかける。

「ぐぬぬ…。声が…声が聞こえる。」

 そう言うと頭を押さえて屈んでしまった碧鰐。

「おい!大丈夫か?少し後方で休んでいろ。」

 紫鬼も碧鰐へと近付き、身体を起こす手伝いをする。

 紺馬と蒼龍はすでに甲蟲人:蟻との戦闘に入っており、後方の異変には気付いていない。

「Gyiiiiii!」

「Gaaaaaa!」

「Gyaaaaa!」

 甲蟲人:蟻共の声が辺りに響き渡り、一気に押し寄せる。

「しっ!」

 紺馬は1度に5本の矢を射て甲蟲人:蟻達を近付けないようにしている。

「てりゃっ!」

 蒼龍も三叉の槍を振り回して甲蟲人:蟻の首を刎ねていく。

「傭兵達を前線に!兵士達は抜け出した蟻共を包囲して!」

 紺馬の指揮が飛ぶ。

「「「「「おー!」」」」」

「「「「「やー!」」」」」

 集まった傭兵達はその多くがCランク程度。中にはBランクの者も混じってはいたが、絶対数は少ない。その為、3、4人で1体の甲蟲人:蟻と対峙している。

 兵士達の方はと言えば高く見積もってもCランク、その多くはDランク相当の実力しか無い。こちらも4、5人で1体の甲蟲人:蟻と戦っていた。

 事前に甲蟲人の外骨格は硬い為、関節部を狙うようにと紺馬からの指示があった為、ランク的には自分達より遙かに強い甲蟲人:蟻にもどうにか対応出来ている。

 しかし、傷つく者も多く、自力で下がれる者は後方まで下がり、その場に崩れた兵士などは近場の者が引きずって後方まで運んでいる。

 そんな事もあり、慢性的な人手不足は否めない。

 セカンダルからの増援が必須といった様相だ。


 そんな中、前線近くで頭を抱えてしまった碧鰐。

「ぐあぁぁぁ!頭が!頭が割れそうだ!」

 頭を抱えて悶える碧鰐。

 ただ事ではないと碧鰐の状態を見守る金獅子と紫鬼。

「お、おい。碧鰐。大丈夫か?」

「何があったんじゃ?どうした碧鰐?」

「あ…頭が…。割れそうだ。声が!声が響く!」

「声?蟻共の鳴き声か?」

「確かに五月蠅く騒いでおるがそこまで頭に響くものでもないぞ?」

「頭が!頭が!!」

 頭を抱えて仰け反る碧鰐。その眼帯をしていない右眼から一筋の涙が流れる。

 次の瞬間。

 ゴキッバリッゴリッ。

 碧鰐の頭頂部から罅が入っていく。

「頭が!頭が割れる!!」

「おい!碧鰐!」

「どうしたんじゃ?!碧鰐!」

 碧鰐の頭頂部から伸びる罅が額を通り、鼻まで進む。

 ゴキッバリッゴリッ。

 そして一気に顎下まで罅が伸びた。

 ビリビリバリバリッ

 そして次の瞬間。碧鰐が真っ2つに裂けた。

「Yooooo!oh!Yeah!」

 碧鰐の身体を引き裂き複眼を持つ蠅型の甲蟲人が姿を現したのだった。


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