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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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437話 旧王国領サーズダル4

 さらに米に食器や包丁などの調理用具も一式買ってきたあたりで夕方になり、紺馬はいよいよ調理を開始する事にした。

 最初に米を炊く。

 米をザルに入れて水洗いする。計量カップで1合分の米を量り、ザルに入れた。どのくらい洗えば良いのかわからず、取りあえず水が白く濁らなくなるまで研いだ。

 あとは飯盒に入れて水を入れる。水はどれだけ入れればよいか、線が引かれていた為、問題ないだろう。

 こちらは借家に備わっていた竈に薪を入れ、火をくべてから飯盒をセットした。


 次は野菜炒めだ。

 まずは豚バラ肉を食べやすい大きさにカットする。

 包丁など握りるのも初めてだったが、買ったばかりの言う事もあり、切れ味は抜群で、スパスパ切れた。


 次はキャベツだ。半玉買ったが量的に合っているのだろうか?そんな古都を考えつつも、芯をくり貫き、ざく切りにしていく。切ったキャベツはザルにいれて水で洗う。


 次はニンジンだ。軽く水洗いしてから買ってきたピーラーで皮を剥き、短冊切りにする。形は統一されていないが、ひとまずは短冊型に切ることが出来た。


 ピーマンなんて切ってある状態でしか見た事もなかった。へたの部分は切るのだろうと、上部のへたを切る。すると中から細かい種が出てきた。これは取るのか?いつものピーマンを思い出してもこんな種は付いてなかったな、と思った紺馬は切ったピーマンの中に手を突っ込み種を取っていく。細かい種は中まで水洗いして洗い流した。


 エリンギも短冊切りでいいだろう。水洗いしてから包丁で切っていく。ニンジンよりは形が整った短冊切りとなった。

 次のシメジはどうしたものか。根元らしき黒っぽいところは食べられるのだろうか?ひとまずは切り落とすか。と、包丁で切る。残りはどうしたら良いかなと思っていたが、手でほぐすと良い感じにほぐれてばらけた為、そのまま手でバラしてザルに入れ、水洗いした。


 モヤシそのまま使えるだろうとザルに入れて水洗いしただけである。

 この辺り、包丁でみじん切りにしたりしなかったのは、普段から野菜炒めを食べてどんな野菜がどんな形で入っているかキチンと、把握していたからであろう。


 そうこうしているうちに飯盒が吹きこぼれてきた。

 ここからは弱火にするはず。薪を調節して弱火にした。確か弱火で15分ほど時間をおくんだったか?曖昧な記憶を頼りに炊飯を進める。


 と同時に野菜炒めも作る。

 いよいよ、フライパンにオリーブオイルを敷いて焼きの工程に入る。

 まずは肉からだろう。と一口サイズに切った豚バラ肉をフライパンに投入する。

 敷いたオリーブオイルが若干多かったようで、焼くと言うより揚げるような形で肉に火を通していく。

 生肉は腹を壊す心配があるので、しっかり火を通す。赤い部位が無くなった事を確認した紺馬は次にキャベツ、ニンジン、ピーマン、エリンギ、シメジをフライパンに投入した。モヤシはすぐ火が通る事は知っていたので、後から投入するつもりである。

 が、如何せんキャベツの量が多かった。フライパンの上はキャベツの山が出来上がっている。火を通せば小さくなるだろうとは思うものの、それにしても多かった。

 紺馬はザルに少しずつキャベツを戻して半分くらいにした。半玉の半分だから1/4玉分である。

 それでもフライパンの上は野菜が盛られている。

 フライパンを振って混ぜるなどというテクニックもない紺馬は必至に菜箸で野菜を混ぜていく。


 キャベツがしんなりして来たところで、モヤシも投入して、塩コショウで味付け。ここでもフライパンを振ることはせずに菜箸で必至に混ぜる。塩コショウが全体に行き渡ったのか心配でかなりの量をかけてしまった。


 飯盒は弱火で15分ほど待ってから火から下ろして10分ほど蒸らした。これで米は炊けたはず。


 調理開始から30分後、どうにか野菜炒めを作り終えた紺馬は皿に移していくが、ずっとフライパンの下にあった豚バラ肉はカリカリに焦げており、長時間熱した事で茸類から水が出てしまい、平皿に盛り付けるのに難儀した。

 と色々あったが、どうにか紺馬は初めての野菜炒めを完成させたのであった。


 米は普通に炊けていた。とは言え少し水分量を間違えたようで、水気が多い出来だった。

 野菜炒めも肉はパリパリ、野菜もしんなりし過ぎた。

 完全に失敗である。

「うーむ。やはり最初から黒猫のように作ることは出来なかったな。そもそも黒猫は何者なのだ?金はかなり持っているし、料理も出来る。どう言う奴なのだ?」

 改めて思えば皆の生活資金などは黒猫が出している。となるとどこぞの貴族の息子か?いや、貴族なら自分で料理などしないだろう。

 となると、どこかの商家の息子か?長男は家督を継ぐから次男あたりか?そう考えれば相当な金を自由に使えて料理も出来る事に説明がつくかもしれない。

「まぁ、アイツが何者かなど、どうでもいいか。次に会った時にでも料理について教えて貰おう。」

 そう考えた紺馬であった。


 そんな事を考えられていた黒猫はと言えば、久々に仕事をしていたのだった。


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