表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

430/547

429話 聖都セレスティア46

 北、西、南に向かった3組を待つ間、俺達は思い思いに過ごした。

 俺はもちろん気を練る練習だ。この気を練る事がスムーズに出来るようになれば王化した際の神通力を練り上げる速度に直結するからな。

 紫鬼に教わった通り、丹田に力を込め、螺旋を描くように体中から力を集めるイメージをして、気を練っていく。

 丹田に熱を感じ始めたら1度気を解放して再度練り始める。

 今じゃ気を練りながら会話できる迄になった。

 その間に他の3人に話を聞いたが、俺と同じように紫鬼式に気を練って神通力を感じるようになったのは茶牛のみで、翠鷹と緑鳥に関しては白狐式で武器に気を乗せる方式で神器化させることが出来ているらしい。

 そもそも聖術を扱う緑鳥は気の流れを掴むことに長けており、自身の気を高める以外にも他者に気を流して自己回復力を高める事まで出来るらしい。聖気が尽きて聖術が使えなくなった場合には気の流れで仲間を癒す事が出来るそうだ。と言っても効果の程は聖術とは比べるまでもなく、重傷者にはあまり効果がないらしいが。

 翠鷹にしても軍隊の中で気を練る訓練を行っているそうで、もとより気を武器に乗せる事が出来ていたらしい。王になる前からその技法は確立しており、気を乗せた攻撃の方が鋭く速度も乗るんだとか。

 みんな思ったよりも気を使っていたらしい事に驚きを感じた。俺なんて今の今まで気を使うなんて発想すらなかったからな。もちろん気功術ってのがある事は知っていた。が、一部の武闘家が扱うものであり、武器を持って戦う俺には関係ないと思っていたからな。


 そんな会話をしつつ、気を練る訓練を初めて3時間も経過した頃、白狐と紫鬼が戻ってきた。

「ただいま戻りました。」

「おかえり。何か異常はあったか?」

「あぁ。オークキングを始めとしたオークの一団が巣くっていたぞ。あの数ではゴブリン達が逃げてくるのも納得っと言った感じじゃったわい。」

 紫鬼が俺の問いに答えてくれる。

「オークの一団か。でもこの森にはもとからオークは生息してなかったっけ?」

「オークに関しては生息していますが、キングを頂点とするコミュニティは無かったと思いますよ。きっと最近オークが進化してキング種になったんでしょうね。」

 俺の疑問に白狐が答える。

 なるほと。魔物は一定の数、殺生するとその倒した者の力を取り込み進化する事が稀にあると言う。今回は一介のオークに過ぎなかった個体が何らかの理由で進化してキングにまでなったのだろうと言う話だ。

 まぁ魔物の進化についてはまだ完全に解明されていないらしいので、そう言う事もある、と思っておく他ない。


 そうこうするうちに北に赴いていた金獅子と銀狼も戻ってきた。

「今帰ったぞ。」

 金獅子が言う。

「おかえり。」

「北部にはぐれヒュドラがいた。あれが元凶だろうぜ。」

 とは銀狼の言葉。

「北部にも異変が?西部にもオークキングを始めとしたオークコミュニティが発生していたらしいが。」

「なるほどですね。北部が先か西部が先かはわかりませんが、北か西かに生息していたゴブリンコミュニティがその場を追われ、他に行くところがなくなった為に人里に近い東に逃げてきたってところですかね。」

「うむ。白狐の言うとおりだろうな。と鳴ると南側にも何か異常があってもおかしくは無いか。」

 金獅子が相変わらず顎髭を撫でながら言う。

「蒼龍様達の帰りを待ってからですね。」

 緑鳥が冷静に言う。聖都のトップとしては近場の森に起きた異変は気が気ではないだろうに。


 暫くすると蒼龍と紺馬も戻ってきた。

 ん?なんか2人の様子がおかしい気がする。何というか距離感が近いような。

「戻ったか。蒼龍。紺馬。他は皆戻ってきているぞ。」

 金獅子が声をかける。

「む?そうか。我等が1番遅かったか。」

「で、南側はどうだった?」

「うむ。特に異変は見当たらなかったな。森の終わり際まで行ったのだがな。」

「そうか。北にははぐれヒュドラ、西にはオークキングを始めとするオークコミュニティが存在しておったわ。」

「む?そうか。我等が行った南側だけが何事も無かったと言うことか。」

「だな。ところで紺馬。どうした?モジモジしてからに。」

「う。いや。その。これは。」

「そこは我から話そう。この度、我と紺馬は婚儀を結ぶ事となった。」

 突然の蒼龍の宣言にいち早く反応したのは翠鷹だった。

「なんやて?!婚儀って結婚よな?なんで急に。いつの間にか2人はそう言う関係やったん?」

「うむ。先程お互いの気持を知ってな。ならば婚儀を結ぶかと言う話になった。」

「ちょっ?!いきなり結婚っちゅう事かいな?いきなり過ぎひん?紺馬はんもそれでええの?」

「うん。ワタシは龍王の妻となる決心がついた。」

「そうかぁ。ほな周りがどうこう言う話とちゃうなぁ。おめでとさん。紺馬はん。」

「紺馬さんは前から蒼龍さんの事、気にしてましたしね。2人とも、おめでとうございます。」

 白狐も続けて祝いの言葉をかける。

「まぁ。結婚だなんて素晴らしいお話ですわ。お二人とも本当におめでとうございます。」

 緑鳥も祝いの言葉を投げかける。

 これについていけないのは男衆の面々。

「結婚か…碧鰐に続いていきなり2人が家庭持ちになったな。」

「黒猫と白狐も一応夫婦だろ?」

「一応とはなんです。一応とは。私とクロさんはれっきとした夫婦ですよ。」

 金獅子、銀狼に言われて白狐が反論している。

「なんにせよ。めでたいなぁ。蒼龍もおめでとうなぁ。」

 茶牛はすんなり受け入れたようだ。

「まぁ、俺が言うのもなんだけど、タイミングは今でいいのか?甲蟲人やら邪神やらと大忙しだが?」

「うむ。だからこその今、と言うタイミングでの婚儀だ。」

 俺の質問に蒼龍が答え、それに紺馬も頷いている。

「まぁ、2人で決めた事じゃて。周りがどうこう言うもんでもないしな。おめでとさん。」

「それもそうだな。おめでとう2人とも。」

 紫鬼に言われて俺も素直に祝いの言葉を述べた。

「さぁ、早く帰って朱鮫さんや藍鷲さん、碧鰐さんにも早く伝えてあげましょう。」

「そうだな。早く帰ろうか。」

 白狐に言われてみんな聖都へと足を運ぶ。

 結婚か。まさかこのメンバー内で結婚する組が出てくるとは思わなかったな。

 なににせよ、おめでたい話だ。盛大に祝ってやるとしよう。

 今から何の料理を出そうか考えながら聖都へと戻る俺であった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ