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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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425話 聖都セレスティア42

 見事に地割れを起こしてゴブリン2体を屠って見せた茶牛は朗らかに言う。

「亀裂の深さは大体3mくらいだからオーガくらいなら飲み込めるだぁよぉ。これなら蟻の甲蟲人相手でも十分通用するべぇ。」

「そうだな。混戦の時には使い所が難しそうだけど、蟻相手なら向かってくる奴らを一気に落とせそうだな。」

「地割れの範囲は広げられるのか?数十kmもあれば、それこそ一網打尽だろ?」

 銀狼が茶牛に問いかける。

「んー。王化してみねぇとなんとも言えねぇだぁなぁ。今のところ5mくらいが限界だけんど、王化したらもっと伸ばせるかもしれねぇなぁ。」

「うむ。そうなれば蟻退治が随分と楽になるな。だが、あまり多くの蟻を亀裂に落としてしまうと元に戻る力に対抗されてしまうかもしれん。ほどほどが1番だろうぜ。」

 金獅子が顎髭を撫でながら言う。


 そんな話をしているうちに周りが騒がしくなった。ゴブリンの仲間達が集まってきたようだ。その数十体。だがゴブリン如きでは今の俺達の相手ではない。

 先陣を切ったのは紺馬だった。

 弓に3本の矢を番えると1番近くに寄ってきていたゴブリン3体の眉間を寸分違わ頭射貫く。

 次に動いたのは蒼龍だった。

 ゴブリン2体に迫ると三叉の槍を振り回してその首を刎飛ばす。

「出遅れましたね。」

 と言いながら動いたのは白狐。

 抜刀術で1体を下から斬り上げると、抜き身の白刃・白百合で続くゴブリンを袈裟懸けに斬り捨てる。

 そんなゴブリン達の中から3本の矢が飛んでくる。

 それを紫鬼が空中で3本とも掴み取る。

「ゴブリンアーチャーがいるな。結構大きなコミュニティだったかもしれんな。」

 そう言いながら矢を掴み取った拳でゴブリンをぶん殴る。

「お!奥にいるのはゴブリンジェネラルじゃないか?あれは俺様が貰った!」

「あ!兄貴狡いぜ。オレにも1体寄越せよな。」

「ふはははっ。早い者勝ちだ。」

 そう言い合いながら金獅子と銀狼が奥に控えていたゴブリンジェネラルに向けて走り出す。


「やれやれ。森の中じゃワイらの魔術の出番はなさそうやな。」

「ですね。火炎魔法なんて使ったら火事になってしまいますもんね。ウィンドカッターも木々が邪魔して打てそうにありませんし。」

「わたしもまだ聖術が必要な状況ではありませんしね。」

「ワイらはそっと見守りやね。」

 朱鮫と藍鷲、緑鳥がそんな会話をしている。

「せやったらウチはあんたらの護衛やな。黒猫はんも行ってきてええよ?」

「いや、俺も緑鳥達の護衛に回るよ。ってかもうほとんど討ち取ってるしな。」

 翠鷹に言われたが、見れば沢山のゴブリンの死骸があちこちに倒れている。

「それにしてもまだ聖都からそんなに離れてないのにここまで大量のゴブリンが出てくるんだな。」

「普段は大人しい野生動物や、出てきてもジャイアントボア程度のものなんですけどね。何かありましたかね。」

 緑鳥も不思議そうに言う。

 森の西側になにか強力な魔物でも現れて、住み家を追われたゴブリンがここまでやって来たとかか?

「西側になんか強い魔物でも出てきたんかなぁ。ゴブリン達は居場所を奪われてこっちにやって来たとか?確認しといた方がええんとちゃいます?」

 翠鷹も同じことをかんがえたようで緑鳥に問いかけていた。

「そうですね。聖都に近い森に強力な魔物が出現したとなれば放っておくわけにもいきませんね。折角森に来たのですし少し西の方にも行ってみましょうか。」

「西とは限りまへんやろ。北とか南とかから追われてこっちに来た言うことも考えられるやろ。」

 朱鮫が言う。

「確かにその可能性もなくはないか。したら3班に別れて北、西、南に向かってみるか?」

「そうですね。そろそろここは皆さんが片付けて下さったようですし。」

 緑鳥が言うので周りを見てみるとすでに立っているゴブリンはおらず、白狐達もこちらに戻ってきた。


 みんなが戻ってきたところで、先程の話をしてみる。

「なるほど。どこかから追われたゴブリン達のコミュニティだったかもしれないって事ですね。」

「十分あり得る話だな。」

 白狐と金獅子も納得していた。

「なら北にはオレと金獅子の兄貴で向かおう。」

「西にはワシが白狐と一緒に行こう。」

 銀狼と紫鬼が言う。

「では南は我と紺馬で向かうか。」

「ワ、ワタシが龍王と?」

「む?なにか不都合でもあるか?」

「い、いや。なにもないぞ。」

 と言うことで蒼龍と紺馬が南に向かう事になった。


 茶牛と翠鷹、俺は緑鳥と一緒に森の入口で待つ事にした。ホントに何か強力な魔物が出てきたのだとしたら他にも住み家を追われてこちらに向かってくる奴らがいるかもしれない。だからそういうのがいた時に備えて待機する事にしたのだ。

 緑鳥はもし怪我人が出た時の為に一緒に残ると言うが朱鮫と藍鷲は先に戻って王化の特訓を続けると言う。

 森から抜ける間にも魔物に出会すかもしれないが、その時は魔術でどうにか出来るだろうって事で2人だけを見送った。


「では行ってくる。」

「行ってきますね。」

「うむ。参るぞ紺馬。」

「は、はい!」

 金獅子、白狐が一声かけて北と西に向かった。

 紺馬は何か緊張している様子だったが大丈夫か?まぁ蒼龍も一緒だし大丈夫か。

 さて、鬼が出るか蛇が出るか。思いがけず森の散策が始まったのだった。


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