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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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424話 聖都セレスティア41

 その後は王化が解けるまで神通力を練る特訓をしたが、気と共に神通力を練り上げる事は出来るようになったが、神通力を掴もうとすると霧散してしまい、黒刃・左月に神通力を流すまではいかなかった。


「でも早々に黒刃・右月の神器化が出来ただけ凄いですよ。私なんて丸1日は神通力を感じる訓練で消費しましたからね。」

「そうじゃな。やっぱり教え方が良かったんじゃろ?」

「ぐぬぬぬぬっ。次は負けませんよ!」

「望むところじゃ。次は神通力を武器に流した後の安定化の特訓方法で勝負じゃな。」

 白狐に慰められたかと思えばまた2人してどっちが俺に特訓をつけるかで争うらしい。

 まぁ、いずれにせよ王化可能になるまであと3時間はある。ちょうどいいので茶牛に声をかけてみるか。


「茶牛、俺の神通力の特訓は一段落したんだけど。そっちはどうだ?」

 まだ王化状態の茶牛に声をかける。

「んぁ?黒猫かぁ。儂ももうちょっとで王化が切れるからちょっと待っとれぇ。」

 見れば茶牛の持つバトルハンマーも少し形状が変わっている。

 ハンマーの片側につくピックが普段よりも大きく鋭くなっている。こころなしかハンマー自体も大きくなっているような。

 和牛も順調に神器化の特訓を進めているらしい。

 暫く眺めていると神器化が解けてバトルハンマーがいつものサイズに戻る。直後に茶牛の王化も解けた。


「お待たせぇ。んじゃ西の森にでも行くかのぉ。ゴブリンくらいなら出てくるだろうさぁ。」

 俺は頷き返す。

「あぁ。西の森ならすぐだしな。茶牛の新しい必殺技を見せて貰うには最適だな。」

 そこに白狐と紫鬼もやって来た。

「今必殺技とか言ってませんでした?」

「茶牛のって聞こえたぞ?」

 俺は2人にも説明してやる事にした。

「茶牛がこのバトルハンマーで新しい必殺技を開発したらしいんでな。ヒントを出した事もあってそれを見せて貰おうって話さ。」

「クロがヒントを出したんか?」

「んだぁ。黒猫が儂が王化した際に大地の声を聴くことが出来るって話したら、それなら大地の弱い箇所なんかを聴いて地割れなんかも起こせないかってヒントをくれてなぁ。今じゃ王化しなくてもアースフィッシャーを使えるようになっただぁよぉ。」

「アースフィッシャー?」

「新しい技の名前ですか?小洒落てますね。」

「あぁ。翠鷹がつけてくれたんだぁ。森に入って特訓するのに翠鷹が付き合ってくれてなぁ。」

「ほぅ。ではまだその技を見た事があるのは翠鷹だけか?」

「んだぁ。完成したらまずは黒猫に見せようと思ってなぁ。」

 何を思ったのか右腕をピンと上げて白狐が言う。

「はいはいっ!私も一緒に見学させて貰ってもいいですか?王化も解けてちょっと暇なんです。」

「ワシもいいか?茶牛の必殺技が気になるでな。」

 俺は茶牛を見やる。

「構わねぇぞぉ。誰に見せても減るもんじゃねぇしなぁ。折角だから皆にも声かけるべかなぁ。」

「だな。金獅子達も呼んでくるよ。」

「では私は翠鷹さんと紺馬さん達に声をかけてきます。」

「んじゃワシも朱鮫と藍鷲に声をかけてこよう。」

 と言うことで結局全員揃って西の森に向かうことになった。

 ただ碧鰐だけは体調が悪そうだったので自室で休ませる事にした。


「王化しなくてもって言ってたけど、大地の声を聴かなくても地割れが起こせるものなのか?」

 気になったので道すがら茶牛に聞いた。

「あぁ。何度も大地の声を聴いて割れそうな所を探してたんだけどなぁ。そのうち声を聴かなくても地割れが起こせるようになったんだぁ。それでもやっぱり弱ってる地面の方が長く地割れが起きてる状態になったりと変化はあるけどなぁ。」

「へぇ。んじゃいつでも地割れは起こせるって事か。地面のコンディションに関係なく。」

「だなぁ。今は王化出来ないから一番規模の小さい地割れになるだろけどなぁ。」

「まぁそれでも楽しみだな。」

「おぅ。楽しみにしてろぉ。」

 そんな会話をしていると聖都の西に広がる森へとやって来た。


 森には幾つもの獣道が存在しているが、そこまで人の出入りがあるわけでもないので、踏み固められた地面はほぼない。無数にある獣道のウチの1本へと茶牛を先頭に進んでいく。

 20分ほども進んだだろうか。目の前に2体のゴブリンの姿があった。幸いこちらにはまだ気付いていないようだ。

 立っている位置も木々から少し離れており、地割れを試すにはもってこいな状況だった。


「んじゃまずはアースクエイクで足止めするぞぉ。」

 そう言うと和牛はバトルハンマーを大きく掲げて地面に振り下ろす。

「アースクエイクぅ!」

 局所的な地震が発生し、ゴブリン達の足元を揺らす。

 指向性を持たせており茶牛のうしろに待機する俺達の足元は揺れない。


 ゴブリン達はバランスを崩して地面に手を突く。1体は前屈状態、もう1体はしゃがみ込んだ状態だ。

「で、ここでアースフィッシャーぁ!」

 立て続けに茶牛がバトルハンマーで地面を叩く。

 すると叩いた所からメキメキと音を立てながら亀裂が地面に走る。亀裂がゴブリン達の足元に迫る。次の瞬間、亀裂は大きく地割れとなり、ゴブリン達を亀裂の中へと落とし込んだ。

「ギギギャ!」

「ギギャギャギャ!」

 慌てるゴブリン達。だがすでにその体は地割れの中に収まった。

 這い出ようと腕を伸ばすゴブリン達。しかし、地割れは時間制限つきである。

 ゴゴゴゴゴッと音を立てながら地割れが元に戻っていく。地割れに挟まれたゴブリン達には為す術もない。

 結果、這い出ようと下際に上に伸ばした前腕部分を残して綺麗さっぱりゴブリン達は亀裂の中へと収まり押し潰されてしまった。


「どうだぁ?これがアースフィッシャーだべぇ。」

 茶牛が振り向き得意そうな顔で言うのだった。


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