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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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423話 神通力3

 その後は紫鬼の指導のもと、神通力についての理解を深めていった。

「気力を丹田に溜めて、その奥に溜まった神通力を引き出すんじゃ。」

 紫鬼も俺の隣で王化した状態で腰を落とし、俺に声をかける。

「ふぅー。気を溜めるのには慣れてきたぜ。」

「ふふふっ。私も気を溜めるのはマスターしましたよ。」

 紫鬼との勝負に負けた白狐も今は紫鬼の指導のもと、俺と一緒に神通力を再度認識する方法を学んでいる。

「悔しいですが、紫鬼さんのやり方の方が確実に神通力を練れる感じがしますね。これなら私も神器化をより伸ばせそうです。」

「俺はまだ神通力を練るって感覚にはならないんだよな。気を練っているとその近くに別のエネルギーは感じるんだけどな。」

「うむ。言うても気と神通力は別物だからな。ただ気を練れれば神通力も合わせて練れる。あとは気から神通力に意識を持っていくだけじゃ。」

 そう言うと紫鬼も王化して俺の隣に立つ。

「ワシは気を練る感覚はばっちりじゃからな。すでに神通力を練る感覚で体内に流れる神通力を集める事が出来る。クロもあとは神通力を掴む感覚が持てれば神器化はすぐそこじゃ。」

 そう言うと腰を落とした体勢のまま力を溜める。

「神器降臨!」

 紫鬼が声高に言い放つと紫鬼の両腕に嵌めた手甲が光りだす。

 紫鬼の手甲は赤紫色に鈍く輝き、前腕から手の甲までを覆うタイプの手甲だ。

 その手甲が段々と姿を変えていく。


 光が収まった時、紫鬼の嵌めた手甲には3本の爪が拳の上から伸び、前腕部分には鋭利な刃が付いた形に変わっていた。

「ほぅ。それが神器化か。形も変わるんだな。」

「あ!ズルいですよ紫鬼さん!自分のだけ先にお披露目するだなんて。クロさん、私のも診て下さい。神器降臨!」

 白狐が唱えると手にした白刃・白百合が鞘ごと光りだす。

 光が収まってまず目が行ったのは鍔の形だ。通常だとフラットな木瓜形の鍔だったのだが、刃にクロスするように上に爪のような飾りが飛び出ている。爪の長さは3cmくらいか。

 鞘はもともとが艶々とした鏡面のような塗りの蝋色塗(ろいろぬり)だったのだが、より艶を出してまるで鏡の如く光を反射している。

 白狐が鞘から抜剣する。刀身は特にいつもと変わりないか。いや、いつもよりさらに白みがかっており、光り輝いて居るようにも見える。

「どうです?いつもよりも輝いて見えるでしょう?」

「あぁ。眩しいくらいだな。」

「ふふふっ。白百合も綺麗になって喜んでます。」

 そのままうっとりと刀身を眺める白狐。暫く自分の世界に旅立ったようだ。

 実際に神器化を見せられてよりヤル気が出たぜ。俺は気を練りつつ、奥底に溜まっていく神通力を意識する。


 お!神通力を掴んだ感覚があるぞ。

「紫鬼、神通力を掴んだぞ。ここからどうする?」

「掴んだか?ならその神通力を身体の中を通ってナイフに移動させるんだ。殺気を乗せるのと一緒だな。」

 なるほど。結局は武器に神通力を流すのか。白狐のやり方でも確かに間違ってはいなかったんだな。

 俺は掴んだ感覚のある神通力をゆっくりと持ち上げ、腹から胸に、胸から腕に、腕から手に、手から黒刃・右月へと移動させていく。

 いけるか?

「神器降臨!」

 次の瞬間、黒刃・右月が輝き出す。

 もともとの黒刃・右月はと言えばハンドルにヒルト、リカッソときてブレード、エッジと続く一般的な形をしている。さて、どう変わってくるか。


 楽しみにしていた。2人とも形が変わっていたから神器化したら形が変わるもんだと思っていたのだ。

 しかし、黒刃・右月に見た目上の変化はなかった。少しブレードが黒光りするようになった程度。

 まぁ、通常だと光すら吸収しそうな真っ黒なブレードだけに光ってるだけでも変化は変化である。

「クロさんの黒刃・右月はあんまり変化がないですね。」

「うむ。刃が黒光りしとるくらいじゃな。じゃが、エネルギーは感じるじゃろ?」

 確かに今までにないくらいのエネルギッシュさを右手に感じる。まるで膨らむ風船を持っているかのようだ。

「エネルギーは感じるな。しっかり握ってないと弾けそうなくらいだ。」

 俺は黒刃・右月を持つ手を強く握り締める。

「そこまでか?よほど込めた神通力が強かったんじゃろな。ほれ、クロよ。お前には左手にもナイフがあろうが。そっちにも神通力を流してみぃな。」

「黒刃・左月はどんな変化がありますかね?」

 え?もう練った神通力は全て黒刃・右月に流したんだけど。。。

「ほれ、早く左手に神通力を流してみせろよ。」

「どうしました?左手には流しづらいですか?」

 ここは正直に言おう。

「いや、練り上げた神通力は全部黒刃・右月に流しちゃった。」

「「え?」」

「いや、両手に流すなんて頭になかったから。」

「そうか。説明不足じゃったか。ワシも両手の手甲に神通力を流しとる。練り上げた神通力は両腕に流しているんじゃ。」

「そうか。両腕にな。次はそれを意識するか。」

「まぁ最初ですしね。黒刃・右月だけでも神器化出来たのは成功ですよね。」

 なんてな事を話しているうちに黒刃・右月の神器化が解けて黒く光るブレードがもとの漆黒に戻った。


 まぁ、ひとまずは神器化ってのがどういうものか分かっただけで良しとするか。

 その後も王化が続く限り神通力を練る特訓を続けたのだった。


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