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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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422話 神通力2

「まずは王化を解いた方がいいか?」

「いえ。私はいきなり王化してスタートしました。そのままで大丈夫ですよ。」

 白狐が言う。

「まずは武器を手に持ちましょうか。」

「わかった。」

 俺は影収納から黒刃・右月と黒刃・左月を取り出す。

「気を練るなんて事を1から学ばなくてもクロさんなら殺気を放てますよね?」

「殺気?あぁ、まぁ出来るかな。」

「それじゃ、私に向けて殺気を放ってみて下さい。」

「白狐に?やってみるが上手く行くかな。」

「ホントに殺す気になって下さいね。」

 言われるがままにナイフを構えて白狐と対峙する。

 イメージするのは黒刃・右月で白狐の心臓を一突きする情景。

 突いて抉る。一撃で屠るイメージ。

 思ったよりすんなりとそのイメージは湧き上がってきた。

「んン。感じますよ。クロさんの殺気。でも足りないですね。私も殺気を送りましょう。」

 そう言うと抜刀術の構えを見せる白狐。完全に白狐の攻撃の間合いだ。

 背筋に冷たい汗が流れる。これは完全に殺気を当てられた時の感覚だ。背筋が冷える感じ。俺はその殺気を弾くように、こちらも殺気を放つ。

「いいですよ。そしたらその殺気をナイフに流して下さい。こうブワーッと武器に殺気を乗せるんです。」

 殺気をナイフに乗せる?こいつも難しい事を言うな。

 それにブワーッとってなんだよ。

「難しいぞ。」

「こうですよ。武器にグワーッと殺気を流し込むんです。」

 そう言うと白狐の白刃・白百合から冷たい気が放たれる。

 ブワーッの次はグワーッときたか。実に感覚的な指導だな。

「武器に殺気を乗せるって具体的にはどうやるのさ?」

「だからこうですって。グッと力を入れて武器を握ったらバッと武器と身体を繋げる感じでグググッと少しずつ殺気を流していけばいいんですよ。流れ始めたらブワーッと流せばOKです。」

 実際にナイフを振るう感じかな?斬るぞ。斬るぞと身構えて見せる。

「お?少しずつ殺気がナイフに移動してますよ。良い感じです。」

 なんか分かってきた気がする。武器で殺すって事を意識すればいいのかな。こいつで殺す。手にした黒刃・右月で突き刺し、抉り殺す。とそんな事を考えながらナイフを持つ手に力を込める。

「良い感じですよ。ナイフから殺気を感じます。あとはブワーッと流してやればいけますよ。」

 一気にブワーッと。

 手に力を込めて殺気を乗せようとした。が、次の瞬間殺気は消えてしまい、ナイフに乗せた殺気も霧散してしまった。

「あぁー惜しいですね。もうちょっとです。もう一回いきましょう。」

 ガンバッといいながら白狐が胸の前で両腕を握り腕を寄せる。ただでさえ強調されている胸が寄せられてさらに強調される。思わず目が行きそうになるのをぐっと堪える。


 20分も過ぎた頃、ようやく黒刃・右月に殺気を乗せる感覚が掴めてきた。

「そうです。そうです。グワーッと殺気を流して、そうです。もっとガーッと。お?いけましたね。」

「あぁ。殺気を流す感じはわかってきたよ。で、神通力は?」

「殺気と一緒に武器に宿ってますよ。あとは意識を集中させたまま、殺すって意識だけを手放して下さい。残った力が神通力です。」

 力は残しつつ殺気を消す?

「難しくないか?」

「そこまで深く考えなくて大丈夫ですよ。パッと殺気を消せばいいんです。集中していれば神通力は消えませんから。」

 言われたままに殺気を手放す。意識は黒刃・右月に向けたまま。すると確かに何かしらの力が黒刃・右月に宿っている気がした。

「おぉ?なんか力を感じるぞ?これが神通力か?」

「んー。私には他者の神通力までは感じ取れないですがクロさんが何か感じるものがあればそれが神通力ですよ。」

 これが神通力か。確かにエネルギーを感じる。

 が、すぐさまそのエネルギーも霧散してしまう。やっぱり殺気を消すとなかなかに力をナイフに残すのが難しい。


「よし、白狐の番はこのくらいでよかろう?さて、クロや。どっちの指導の方が分かり易かった?」

「クロさん、正直に答えて下さいね。」

 2人が熱い視線を送ってくる。正直にって言われても難しいな。

 紫鬼の場合は今までやった事の無い気を練る工程の中に神通力を集める感じだし、白狐の方は感覚的な指導だから掴むまでが難しい。

 俺は腕を組んで悩み出す。

「クロさん!どっちですか?」

「クロよ。どちらが分かり易かったんじゃ?」

 2人が詰め寄る。んー。困った。

「紫鬼の方はやった事の無い気を練る行為の中で確かに神通力を感じられた気がした。白狐の方は感覚的過ぎて掴むまでに時間がかかりそうだ。だから分かり易いで言ったら紫鬼の方かな。感覚さえ掴めれば白狐の方が早く習得出来そうな気がするけど。」

「って事は?」

「と言う事はどっちです?」

 2人が生唾を飲み込む。

「紫鬼に教えて貰おうかな。じっくりやるさ。」

「よぉーし!ワシの勝ちじゃな!」

「んー!私の方が習得早そうって言ったのに!」

 紫鬼はガッツポーズし、白狐は肩を落とす。

 ワーッとかガーッとか感覚的過ぎるんだよな。それもまた白狐が天才肌だからなんだろう。事戦闘センスは頭は抜けているからな。

 って事で俺はこのまま紫鬼に神通力について習う事にしたのだった。


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