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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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421話 神通力1

 白狐と紫鬼の言い合いは続く。

「では、最初の入口である神通力の使い方の説明を交互に行って、どちらがより分かり易いかをクロさんに決めて貰うって事でいいですか?」

「あぁ。それで構わんよ。ワシの方が絶対分かり易く説明出来るがな。」

「むむむっ。なら先行は紫鬼さんに譲りますよ。」

「いいのか?よし来た。クロよ。準備はいいか?」

 2人が熱い視線を俺に送ってくる。

 なんかいきなり2人が争う事になってるが、まぁいいか。俺もどっちかに教えて貰った方がいいだろうしな。

「あぁ。分かった。分かり易い方を決めればいいんだな。」

「あぁ。嫁さん贔屓はいかんぞ?」

「贔屓なんてしないって。」

「うむ。ではワシから先に教えるぞ?」

 って事で唐突に神通力の特訓が始まったのだった。


「まずは神器化に必要な神通力の使い方を教えるぞ?普段王化した際にも使っておる力ではあるが、神器化にはこれをもっと正確に扱えるようになる必要があるんじゃ。」

「あぁ。頼む。」

 俺は軽く紫鬼に頭を下げた。

「神通力ってのは緑鳥曰く、それぞれの加護神がそれぞれの王に授けてくれた力じゃと言う。じゃからワシなら鬼神様、クロなら暗黒神の力の一端って事になる。」

「あぁ。その認識はあるよ。」

「うむ。で、その神通力ってのは王化した際にはすでに力として備わっとるでな。あとはその力を意識して使えるようになればいい。」

「改めて神通力を習得するって訳じゃないんだな。」

 紫鬼は大きく頷いて続ける。

「そうじゃ。で、その神通力の感じ方から説明するがな。実際にやりながらの方がいいじゃろ。まずは王化する前に気の練り方を教える。腰を落として力みやすい体勢になる。」

 俺は言われた通りに少し腰を落として力を入れやすい体勢をとる。

「そうしたら気力を練るように丹田に力を込める。へそから指3本分くらい下、背骨に向かって5cmくらいの位置じゃ。」

「丹田?難しいな。」

「腹筋に力を入れた時に一番硬くなる位置じゃな。まずはへそ下に指を置いて3本分下を意識するといいかもしれん。」

「こうか?」

 言われた通りにへそ下に手を持っていくと指3本分下を確認する。

「うむ。じゃあそこにワシが指を置く。腹筋に力を入れて、そこから背骨に向けて5cmくらいの位置が硬くなるのを感じてみろ。」

 俺のへそ下に紫鬼が指を立てる。言われた通りに腹筋に力を入れてみる。

「確かに硬くなる位置があるかな。ちょっと奥の方だよな?」

「あぁ。そこじゃろう。そしたらその丹田を意識してまた力を込めてみろ。」

 俺は紫鬼に指で突かれている箇所の奥を意識して力を込める。

「力を入れたら今度は練り上げるイメージ、例えば螺旋を思い描いてみるといい。」

「螺旋?回転って事か?」

「周りから中心部に力を集める感じじゃな。」

「中心部に。力を集める。」

 言われたままに丹田を意識しつつ、中心部に力を集める事を意識する。


 10分ほどもそうしていただろうか。

 するとなんだかその辺りが温かくなってきた気がする。

「なんか温かくなってきたな。」

「おう。それが気を練るってやつじゃな。で、ここからが肝心じゃ。神通力ってのはあくまで与えられた力じゃからな。気を練る時にも自分の力プラス何かの力を感じるはずじゃ。」

「プラス何か?」

「あぁ。まずは気を練る感覚を掴むんじゃ。」

 俺は丹田に力を込め続ける。

「集中しろよ。それが自分の力を練っている状態じゃ。気を練る事に慣れてきたら次は王化して同じことをするんじゃ。」

「王化してみればいいのか?」

「おぅよ。」

「わかった。王化。夜王。」

 左耳のピアスにはまる王玉から真っ黒な煙を吐き出しその身に纏う。

 その後煙が体の中に吸い込まれるように消えていくと猫を思わせる真っ黒な兜に、同じく真っ黒な全身鎧を身に着けた夜王の姿となる。

「うむ。そしたらまた丹田に力を込めて気を練るんじゃ。そうしたら気を練っている間にも何か別の力を感じるはずじゃ。もう一つ隣に何かの力があるような感覚じゃな。」

「隣に。もう一つ。」

 気を練るイメージはなんとなく分かってきた。下腹部が温かくなるイメージかな。丹田を中心部として体中から力を集める感じ。

「うしっ。お前さんから気の高まりを感じるぞ。もうちょっとじゃ。練っている気に集中しつつ、その周りに別の力を感じ取るんじゃ。」

 難しい事言いやがる。気を練るなんてのも初めてやるのに、それに集中しつつ、周りも意識するとかいきなり縄跳びするやつに二重跳びから教えるようなものだろう。

「なによりも集中じゃ。自分の身の内を感じ取るんじゃ。」

 俺は気を練り続ける。


 そらに10分後、その時は急にやってきた。

 丹田に力を込めて、それを練り上げるように螺旋をイメージしていた時、それよりもっと奥に別の力が集まっているのを感じた。

 俺は気を練る事に意識を集中させながらも、その奥の力を掴もうとする。

「どうじゃ?何か掴めたか?」

 心配そうに紫鬼が俺の顔を覗き込む。

「んー。なんか丹田よりも深い所に力の集まりを感じる気がする。」

「おぉ!それじゃ!丹田に力を込めつつ、その力に意識を向けるんじゃ。」

 だが、その身体のより深い所にある力に意識を向けた途端に俺の丹田に溜めた気が霧散した。

「ダメだな。丹田に集中しないと気が練れない。何かしらの力を感じるところまでは行ったんだけどな。」

「むぅ。まずは気を練る特訓こらじゃな。」

 そこに白狐が口を挟む。

「では紫鬼さんの番はここまでですね。次は私のレクチャーを受けて貰いますよ。」

 鼻息荒く白狐が詰め寄って来た。


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