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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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415話 迷いの森11

 その後もジャイアントボアやジャイアントベア、ブレードラビットなどに出会しては影針を試していった俺。オーガの強靱な肉体をも突き刺した俺の影針の強度はアダマンタイト並で俺の想像通りの威力を発揮した。

 ほぼ一撃でジャイアントベアまで倒すことが出来た。

 完璧な仕上がりだ。


 辺りが暗くなり始めた頃、4体のレッドベアを従えるクリムゾンベアに遭遇した。

 ここに来て初めてのAランクの魔物である。その体長は6m程度とかなり大型のクリムゾンベアである。

「ゴォォォォオ!」

「ゴガァァァァア!」

「グォォォォオ!」

「ガァァァァァア!」

 俺がその存在に気付いた時にはすでに4体のレッドベアがこちらに向かって駆けてきた。どれも体長4m近い巨体だ。

「グギャ!」

「にゃー!」

 ドランとヨルジュニアも臨戦態勢だ。

 王化していた俺も影を伸ばして準備する。1番手前のレッドベアが伸ばした影に差し掛かった。

「影針!」

 四つ脚で駆けてきた先頭のレッドベアの腹部に影の針が突き刺さり、その動きを止める。

「ゴフッ!」

 しかし、残りの3体が近付いてきた。

「「「ガァァァァァア!」」」

「グギャ!」

 ドランのドラゴンクローが炸裂。しかし、左腕を掲げてこれをガードしたレッドベアが反撃の右腕の爪擊を放つ。

「グォォォォオ!」

「グギャ!」

 これを左腕を上げて受け止めたドランはその場で半回転。ドラゴンテイルでレッドベアの横っ面を弾き飛ばす。


 吹き飛び、木に衝突したレッドベアだったが、すぐさまドランに向かってきた。

「ガァァァァァア!」

「ゴワッ!」

 ドランの口内に高温の火球が発生したと思ったらドラゴンブレスを吹き出した。

 炎に撒かれるレッドベア。そもそも高い炎熱耐性を持つレッドベアだが、ドラゴンブレスには敵わなかったようだ。

「ギャォォォォ!」

 転がりつつ身体に着いた火を消していたが遂には動かなくなった。


 残る2体は俺とヨルジュニアで対応した。

 ヨルジュニアは先制の黒雷でレッドベアの動きを止めると、追撃の黒炎を吐き出す。

「にゃー!」

「ボフッ!」

 全身を焼かれながらも前進してくるレッドベアに対して、尻尾を剣に変えたヨルジュニアが真っ向から立ち向かう。

 俺はと言えば、咄嗟に影収納から黒刃・右月と黒刃・左月を取り出してレッドベアの突進を迎え撃った。

「クギャァァァァ!」

 交差させた黒刃・右月と黒刃・左月に頭から突進してきたレッドベア。

 だが王化した俺を吹き飛ばすほどではない。俺は交差させた2本のナイフを振り抜き、その頭部を切り裂く。

「グゴォォォォオ!」

 頭頂部を斬られたレッドベアが立ち上がり雄叫びを上げる。その首元に向けて両手のナイフを一閃。

 ちょっと浅かったか。

 レッドベアは首から大量出血。血を吹き出しながらも右腕の爪擊を放ってくる。

 これを左手逆手に握った黒刃・左月で突き上げるように切り裂くと、血を吹き出す首元に黒刃・右月を突き刺す。

 背骨に当たる感触。俺はそのまま黒刃・右月を深く突き入れた。

「これで終わりだ!」

「グゴッ!」

 最後に一鳴きして息絶えたレッドベアが覆い被さってくる。

 これを右足のハイキックで退かした俺は、まだ動かないクリムゾンベアに向かって駆けだした。


 クリムゾンベアも立ちあがり迎撃の姿勢を見せる。

 その距離が5mほどに近付いた時、俺は影を伸ばして影針を発動させる。

「影針!」

 しかし、野性的な直感なのかクリムゾンベアは影針を避けやがった。尻尾を掠める影の針。クリムゾンベアが近付いてくる。

「ちっ!影針!」

 その進行方向に影の針を出現させる。

 しかし、またしてもクリムゾンベアはこれを避けた。右脇腹を掠める影の針。血を吹き出しながらも迫ってくるクリムゾンベア。

 強烈なぶちかましが俺を襲う。俺もこれを交差させた2本のナイフで受けたが、吹き飛ばされた。


 2mほど後退させられたが、無事に着地。再び迫るクリムゾンベア2向けて影針を発動させる。

「くそがっ!影針!影針!!」

 左右に2本の影の針を発生させた。これなら左右どちらに避けてもどっちかは突き刺さる。

 左に避けたクリムゾンベア。しかし、狙い通り1本の影の針が右足の付け根を突き刺す。

「グゴッ!」

 しかし、普段なら2m程は高く生える影の針はクリムゾンベアの固い筋肉を突破出来ず、その外皮を切り裂く迄に留まった。

 強度と勢いが足りない。咄嗟に発動させたからか目論見通りの威力が出なかったようだ。


 クリムゾンベアが俺に迫る。そこに割り込んだのはドラン。その場でクルリと回りドラゴンテイルをクリムゾンベアに叩き付ける。

「ゴアッ!」

 クリムゾンベアの体長は6m程とドランよりもデカい。そんなクリムゾンベアだからか両腕を交差させてドラゴンテイルを受け止めた。

 足元を見れば数cmくらい後退したのがわかる。だが見事に受け止められてしまった。

「グギャ?!」

「ゴワッ!」

 クリムゾンベアが両腕を振り上げてドランの尻尾を弾き上げると、そのままドランに爪擊を放つ。

「グギャ!」

 尻尾を大きく切りつけられたドランだったが気持では負けてなかった。

 その場で再びクルリと360度横回転してドラゴンテイルを打ち噛ます。

 爪擊を放った姿勢のままだったクリムゾンベアは顔面に強烈な尻尾の一撃を受けて吹き飛ぶ。

 木にぶつかって止まったクリムゾンベア。まだその目はヤル気に満ち満ちていた。まさに目で殺す勢いだな。

 距離が空いた事で余裕が出来た。今度こそ影針を突き刺してやろう。


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