表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

410/549

409話 聖都セレスティア36

 タンドリーチキンを作るのに必要なものは鶏もも肉、塩コショウ、オリーブオイル、それに無糖のプレーンヨーグルト、トマトケチャップ、スパイス類、塩、おろしニンニク、おろしショウガってところだな。

 鶏もも肉は500gくらい。これを食べやすい大きさにカットして両面に塩コショウを振り擦り込む。

 この時の注意はあまり小さく切らない事だ。少し大きめに切る事でジューシーさが残る。

 大きめのボウルにプレーンヨーグルト大さじ3、トマトケチャップ大さじ2、スパイス類を大さじ1、塩小さじ1/2、おろしニンニク小さじ1、おろしショウガを小さじ1入れて混ぜ合わせたら鶏肉を放り込みよく絡める。

 本当ならここで1時間程度放置するのだが、時短の為に30分だけにする。

 その間に残り少なくなったご飯を補充する為に米を炊く。ここで活躍するのが先日競り落とした炊飯器だ。

 米を研いで水と一緒に炊飯器に入れるだけ。なんて素晴らしいのだろうか。これだけで1時間後には米が炊かれているのだ。やっぱりいい買い物したな。

 そんなこんなで30分くらい経過したので、フライパンにオリーブオイルを敷いて中火で熱して、鶏肉を皮の付いた方を下にしてフライパンに並べていく。

 皮がパリッとしてきたら上下ひっくり返して蓋をして弱めの中火で4分ほど蒸し焼きにする。

 4分経ったら1つを半分に切って中まで火が通っている事を確認して出来上がりだ。


 ヨルジュニアの分はあまり大きいと食べ辛いだろうから一口サイズに切ってやる。

 皿に盛り付けヨルジュニアの前に差し出すと、最初は鼻をヒクつかせて匂いを嗅いでいたが、パクリと一口口に放り込む。すると次の瞬間にはガツガツと食べ始めた。

 どうやらお気に召したらしい。

 俺も炊いてあったご飯を影収納から取り出して夕食にした。

 漬け置き時間がやっぱり短かったかもな。次に作るときには1時間程度は漬け置きする事にしよう。

 でも何気に作ったにしては良い出来ではないだろうか。

 肉も柔らかく、皮はパリっとしながらも噛んだときのジューシーさが引き立っている。

 スパイス類も良い味出しており、米が進む。

 と、1人で食事してた所に茶牛がやって来た。

「美味そうな匂いだなぁ。何作ったんだぁ?」

「おぅ。茶牛か。タンドリーチキンだよ。食うか?」

「いいのかぁ?おめぇさんの分がなくなっちまうぞぉ?」

 そう言いながらテーブルに座る茶牛。

「大丈夫だよ。少し多めに作ったからな。味見程度に分けるくらいなら問題ない。」

「そうかぁ。んじゃ少し頂こうかなぁ。」

「はいよ。」

 俺はタンドリーチキンを小皿に分けてやると茶牛の前に出してやる。

「うん。美味そうな匂いだぁ。頂きますぅ。」

 茶牛は器用にナイフで肉を切り分けると一口大にした鶏肉を口に運ぶ。

「うん。美味ぇなぁ。スパイスが効いてて飽きない味付けだなぁ。これになら火酒が合いそうだぁ。ちょっと待ってろ。部屋から持ってくるからぁ。」

 と、席を立っていった。火酒とはアルコール度数90度程度の強い酒で飲むと火を吹きそうになる事からその名が付いたものだ。

 ドワーフは酒に強く、アルコール度数が高い酒を好むが、火酒を飲む者はそうそう多くはない。茶牛は余程アルコールに強いのだろう。

 そんな事を考えていると茶牛が1本の酒瓶を携えて戻ってきた。

「これだぁ。『スピリタス』って言ってなぁ。アルコール度数が96度もあるんだぁ。酔えるぞぉ。」

 そう言うと酒瓶をテーブルに置いてキッチンから小さめのグラスを2つ持ってきた。

「ほれぇ。黒猫も飲めぇ。」

 そう言って小さめのグラスに火酒を注いで俺の前に渡してきた。

 その頃には米も食べ終わりタンドリーチキンが少し残る程度。たまには酒を飲むのも悪くないか。

「おぅ。いただくよ。」

 俺はグラスを手に取り口に運ぶ。

 匂いだけで酔いそうになるほどに強いアルコールを感じる。俺は少量を口の中に入れた。

 火酒とはここまでかと思うくらいに強いアルコールに喉が焼ける。

「くぅー。強いな。」

「だろぉ?儂らドワーフはこうやって飲むんだぁ。」

 そう言って茶牛は火酒の入ったグラスにマッチで火をつけた。

 燃える燃える。クラスから火が立ち上りまるで蝋燭のように燃える。そんな火を上げるグラスを手に取り茶牛は一気に口に放り込んだ。

「くぅー。効くなぁ。タンドリーチキンの辛みとも合うなぁ。」

 タンドリーチキンを一口口に入れては火をつけた火酒を飲む茶牛。

「なんで火をつけるんだ?」

「んぁ?あぁこうするとアルコールが飛んでより香りが立つんだぁ。やってみるか?」

「あぁ。試してみよう。」

 俺が答えると茶牛はマッチの箱を俺の方に放った。

 空中でキャッチして、火酒の入ったグラスに火をつける。おぉ。燃え上がった。

「火はそんなに熱くないから一気にいけぇ。鼻に抜けるアルコールがガツンとくるぞぅ。」

 俺は言われるままに酒をあおる。

「かぁー!来るなぁ。いつもこんな強い酒を飲んでるのか?」

「んぁ?火酒はたまにだなぁ。普段はもっとアルコール度数が低い奴を飲んどるよぉ。ただ火酒はアルコール度数が強いから少量で酔えるからなぁ。どれもう1杯いくかぁ?」

「そうだな。あと1杯だけ。それ以上は明日に残りそうだ。あと1杯で止めておくよ。」

「そうかぁ。まぁ慣れない酒は酔うからなぁ。んじゃもう1杯だけなぁ。」

 俺達はその後もタンドリーチキンを肴に火酒を吞んだ。たまには仲間と酒を飲むのも悪くないなと思ったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ